第61話 ワンスモアの歓迎会
ユウとリン、『ワンスモア』の一行は、電車で池袋に向かっていた。ハルが入部して、歓迎会をする事になったのだが、OBの先輩たちが参加して、しかもご馳走してくれると言うので、先輩の都合に合わせて出て来たのである。
ユウとリンは、その先輩たちとは初対面だが、マナとヒワは一年生の時に四年生の先輩とは面識があると言う。最も四年生の先輩は就職活動などで忙しく、三年生の先輩はいなかったので、マナとヒワは当時二年生でありながら、すでに部長となっていたミトがほとんど面倒を見てくれた。
ミトは嬉しそうだった。先輩たちからサークルを引き継いだ時は、自分の代で『ワンスモア』は終わりだと思っていたが、ユウとリン、ハルが入部してサークル存続の目処がついた。胸を張って、先輩たちに会える。
池袋に着いた。だが、まだ時間に余裕があったので、それまでは自由行動となった。リンはデパートを冷やかしに行き、ユウは大きな本屋に行く。
少しして、ユウは慌てて会場であるスペインバル風の居酒屋に向かっていた。立ち読みしてた本が面白くて、つい時間を忘れてしまったのである。エレベーターに乗ると、前からスーツを着た女性が小走りでやって来た。閉じかけたエレベーターのドアを開くと乗り込んで来て、
「ありがとう。」と微笑んだ。グラマーでキレイなお姉さんである。2人は同じ階で一緒に降りた。居酒屋の入り口でミトが待っていて
「ユウさん、遅い。」と笑って言った瞬間、直立不動となった。
「レイ先輩、お久しぶりです。」
「元気そうね、ミト。」
このグラマーなお姉さんが『ワンスモア』のOBだったらしい。
3人が席に向かうと、銀縁のメガネをかけた知的な感じのスレンダーなスーツ姿の女性が座っている。この人がもうひとりの先輩のようだった。
「それでは、皆さん、お待たせいたしました。メンバーも揃いましたので始めたいと思います。何はともあれ、まず乾杯をいたしましょう。」
ミトが音頭を取る。
「では皆さん、ハルさんの入部を祝って、カンパーイ!」
「「「「「カンパーイ!!」」」」」
ハルのグラスに入っているのは、ウーロン茶にしては泡だっているように見えたが、ユウは見ないふりをした。
「現部員の皆さんに、OBの先輩を紹介します。今日の会は先輩たちのおごりですので、敬いましょう。初代部長のレイ先輩と二代目部長のコトコ先輩です。」
どうやら、グラマーな先輩が初代部長のレイ先輩で、銀縁メガネでスレンダーな先輩が二代目部長のコトコ先輩であるようだった。
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