第4話

「篠崎、、修哉君はおやすみ、ですか」


担任、、日向咲がほくそ笑むように呟いた。

そのセリフに周りからヒソヒソと声が聞こえる。


『またあいつ休みかよ』

『さすが不良だわぁ』

『日向咲先生の優しさに漬け込んでサイテー』


一瞬こちらを見て哀れむような表情をしたのを見て頭の中が真っ白になる。

昨日あの場所で、ケラケラと笑いながら今は教卓の上のプリントをまとめる手で情もなく斬り殺そうとしたのは紛れもなく目の前のこの男だ。

何故今日修哉が学校に来れていないのか、誰よりも知っているはずのその人は知らんふりをして僕のことを面白がっている。

それにひどい嫌悪感を抱きつつ黙ってその男を見つめるも僕だけに見えるようほくそ笑む。


「今日の三者面談は、、佐々木、高野、高山、静野、、、、、、、木之原」


木之原。

彼がそう呼び僕を見つめる。

木之原晴。それが僕の名前だ。

教師の視線に答えながら「はい」そう小さく答えた。


「あ、木之原」


不意に日向咲に呼ばれ何かと思い顔をあげる。

目の前に来ていた日向咲に耳元で囁かれた。





「楽しみだな、、、、、今日の三者面談。

君がおとなしく意見を変えていてくれてる事を期待しておくよ」




ぞくりと背中に寒気が走った。

こみ上げる殺意に似ている憎悪と嫌悪。

グッと握りしめた拳から血が滲むのさえも気にならないくらい

目の前の男が腹正しかった。

他の生徒には絶対に見せることがないその姿が腹正しくて睨みつけるだけでは意味ないことはわかっているもののそれでもただ、用事を済ませ悠々と部屋から出て行く彼の姿を睨みつけることしかできないでいた。

兄が怪我をしている以上今日この場にくるのは父親以外ありえなかった。

まぁ父親といっても遠く遠く全く血の繋がりのない親戚の叔父さんだが。

母親が死んでから父親は人が変わったように僕ら兄弟を嫌悪した。

毎晩酒を飲んでは怒鳴り散らし暴力ざんまい。

その上ギャンブルざんまいで借金まみれ。

挙句その借金を僕ら子どもたちに残したまま彼は自殺した。

その後今のおじさんのところに引き取られたが借金を返すのは僕らの役目、家にいたところで人間以下の扱い。

まぁそれでも育ててくれているのは今の叔父さんだ。

今日も彼が来るのだろう。


『世間一般の一般論を語りに』







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