2-6

その日の中間休み。


クラスの男子が今大人気でどこに行っても流れている社会現象レベルの曲を下ネタに替え歌したものを歌い始めた。


それはもうえげつない下ネタ。おかげでその曲が流れてくる度に想起しそう。


実際に家で食事中テレビからその曲が流れてくると飲んでいたスープを吹きそうになってむせた。


翔也に一体何があったのか聞かれたので、細かく説明してやると爆笑しながら


「やめて、やめてもう。キララと共演出来なくなる。」


と言い出した。詳しく聞きたがったのは自分じゃないか。


この元の歌を歌った歌手の名前は森ノ宮きらら。

24歳で、本名は下の名前を漢字にしてそのままの名前らしい。漢字は公表されてはいないが、キラキラネームを持つ芸能人と知られている。


そしてきららが歌ったこの曲はあるドラマの主題歌。

それをクラスの男子の速水大地、通称大ちゃんがえげつない下ネタに替え歌してしまったのだ。


まあこれが初めてのことではない。大ちゃんはどこにでもよくいる下ネタばかり言っている男子で、小学生の頃からヒットした曲を下ネタに替え歌しては大喜びしている。


しかし彼の替え歌は下ネタだけではなく、思った事を音楽に合わせて歌ったりもしている。


ここまで来るともしかしたら作詞の才能があるのではないかと思えてくるが、多分才能がある故に無駄遣いしているのだろう。


とりあえず大ちゃんのせいで、街で学校でテレビで流れてくるキララの曲を聞くと毎回下ネタが浮かんできて日常生活に支障が出てしまうのだった。


本当になんてことしてくれたんだろう。帰ってきた翔也が


「事務所でキララの曲流れて一瞬昨日の下ネタ思い出したけど、ぐっと抑えて事なきを得たよ…事務員とめちゃくちゃ真面目に喋ってたから笑ったらまずかった。」


俳優にもとんでもない支障も与えてしまったようだ。

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