Scene16. 2月13日 (2週目) 放課後

 私は悠斗に、明日2月14日に悠斗が殺されてしまう事を話した。

 それと、悠斗が私と同じように未来から来て助けてくれた事も話した。

 その時に殺されてしまったのが私だったらしいという事も、ちゃんと話さないといけなくなった。

 お昼休みのうちに全てを話す事ができなかったので、私は悠斗の部屋で続きを話す約束をした。

 私が悠斗の部屋に行く事を悠斗は嫌がったけれど、未来の悠斗から聞いた事を伝えたら観念してくれた。

「悠斗、一緒に帰ろう」

 放課後になってホームルームが終わると、すぐに私は悠斗に会いに行った。

 悠斗のクラスで悪目立ちしてしまうのはちょっと気が引けたけど、事情が事情だし。

 それに悠斗とは家が隣同士なのだから、一緒に帰るぐらいきっと問題ないはず。

「あ、ああ。行こうか……」

 悠斗は何だか気まずそうだ。

 私を助けに来てくれた時はあんなにカッコよかったのに、何だか頼りないなぁ。

 でも大丈夫。私が守るから。

 私が悠斗を連れて廊下に出ると、廊下を歩いていた同学年の男子が声をかけてきた。茶髪で、どこか浮ついた様な軽い印象の男子だった。

「なんだ、城之内は女の子とデートかー」

「おう、森谷。悪いけどカラオケはまた今度な」

「リア充め、爆発しろ! へっへっへ」

 へらへらと笑いながら悠斗に話しかける様子から、多分悠斗の友達だと思う。

 でも、何だろう。

 ……どこかで会った様な?

 その顔、その声、どこかで……。

 その瞬間。

 私の中にある光景がフラッシュバックした。

 急に寒気がする。肩がふるえて止まらない。

「悠斗、行こう……」

 その森谷っていう男子の事は置いておいて、私はすぐにその場を立ち去りたくなった。

 この人を、悠斗の近くに居させちゃいけない。

 そう記憶が訴えかけている。

 私は悠斗の袖を掴んで半ば強引に廊下を進んだ。

「ちょっと、小春! ああ、もう」

 悠斗の困った声が聞こえる。

 でもダメ。

 早くあの人から逃げないと。

 悠斗が、また殺されちゃう……!

 私は悠斗を連れてずんずんと階段を下りる。

「なあ、小春。どうしたんだよ一体」

「……」

「それに、ああいうのは良くないと思うぞ」

「……」

「何か言えって。訳わかんねえよ」

「……」

「言えない理由があるのか?」

 校舎一階の下駄箱の前に来た所でピタッと私は悠斗を解放する。

 悠斗に靴をはきかえさせている間に、私も手早く靴を履き替える。

 2人の履き替えが終わると、また悠斗を連れて今度は校舎を出る。

「小春! わけを話してくれよ!」

「待って……聞かれたら困る」

「はぁ? 誰にだよ」

「さっきの男子、森谷君だっけ? ……悠斗を殺したのは、あの人だよ」


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