Scene05. 2月13日 夕方1
久しぶりに、悠斗の部屋に来た。
家の前まで送ってくれた悠斗が心配そうに私の手を離さなかったからだ。
私はなんとか悠斗をなだめて、急いで制服から私服に着替えると悠斗の家におじゃまする事にした。
「あれ、小春ちゃん。ひさしぶりじゃない」
悠斗の家のチャイムを鳴らした私を出迎えてくれたのは、悠斗のお姉さんの瑤子さんだった。
「あ、あの……おじゃまします……」
私は気まずくなって俯いてしまう。悠斗の家に遊びにくなるようになってからずっと会っていなかったから。
お姉さんは涼しげな目もとが悠斗とよく似ているので、真っ直ぐに見つめられると同性なのにドキドキしてしまう。お姉さんは悠斗よりも背が高いすらりとした体型でとてもかっこいい。それなのに胸はとても豊満で紺色のカーディガンを押しのけるようにブラウスが張り出していた。
私は思わず自分の慎ましい胸元を撫でおろしてしまう。
やっぱり悠斗も大きい胸の方が好きなのかな、なんて考えてしまう。
いやいや、大きい胸は家族で見慣れているから小ぶりな方が新鮮味があっていいんじゃないかな。
そんな事を考えているとお姉さんの背後から悠斗が慌てて階段を駆け下りてきた。
「姉さん! 小春に変なこと言ってないだろうな?」
悠斗は着替えの途中だったのか、制服のジャケットを脱いだだけの姿だった。
「おっ、なんだ悠斗。まだ着替えてなかったのか。まぁ、どうせ脱いじまえば同じだからな!」
カラカラと笑いながらお姉さんは悠斗を冷やかした。
「脱がねえよ! ほら、小春。こっち来て」
私は悠斗に促されて階段を昇る。と、後ろからお姉さんが小さく手招きをして耳打ちしてきた。
「小春ちゃん、ゴム持って来てる? 良かったらあたしが買ってきてあげようか」
「姉さん! 小春に変なこと言わないでくれよ、もう!」
悠斗は顔を真っ赤にして怒って部屋に引っ込んでしまった。
私も慌てて悠斗の部屋に入る。
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