Scene04. 2月13日 放課後
悠斗が話してくれた事によると、私が殺されてしまうのは明日14日の事らしい。
だから、もし運命がその通りなのならば今日は護衛してくれなくても良いんだけれど……。
でも悠斗が私と一緒に居たがってくれているので、素直にそれに従う事にした。
「小春、一緒に帰ろう」
放課後になってホームルームが終わると、すぐに悠斗は私に会いに来てくれた。
クラスの中で悪目立ちしてしまうのはちょっと気が引けたけど、事情が事情だし。それに悠斗とは家が隣同士なのだから、一緒に帰るぐらいきっと問題ないはず。
「ありがとう、悠斗。じゃあ行こうか」
明日殺されるかもしれないというのに、私は呑気に現状を楽しんでしまっていた。
悠斗に連れられて私が廊下を出た所で、友達の岡崎可奈子ちゃんと出くわした。
「あら、城之内くん。それに小春ちゃん。仲が良いのね、一緒にお帰りかしら?」
可奈子ちゃんは悠斗と同じA組の生徒だ。去年は私と同じクラスだった。
「可奈子ちゃんも帰り? 途中まで一緒にどうかな……」
私は何気なく可奈子ちゃんを誘おうとしたのだけれど、悠斗の様子が変だった。
「小春、行こう……」
悠斗は可奈子ちゃんをものすごく怖い目で見つめている。……というより、睨みつけている。
そのまま悠斗に腕を引っ張られて、引きずられるように私は廊下を歩かされる。
「ご、ごめんねーっ、可奈子ちゃん! また今度ー!」
廊下に取り残された格好となった可奈子ちゃんは、何だか呆れた様子で私たちの事を見ていた。
いい加減足がもつれそうになっていた私は、悠斗に歩調を合わせて早足になる。
「もう、なんなの? ああいうの良くないと思うな」
「……」
「ねえ、悠斗。可奈子ちゃんと何かあったの?」
「……」
「何か喋ってよ、それに」
「……」
「悠斗、すごく怖い顔してる」
校舎一階の下駄箱の前に来た所でピタッと悠斗の足が止まり、ようやく私は解放された。
悠斗は別のクラスだから、下駄箱の列が違うのだ。私は手早く靴を履き替える。
悠斗が靴を履き替えるのを待って、そしてまた悠斗の早足に連れていかれた。
「もう、悠斗! 落ち着いてったら!」
「大きな声を出すな、聞かれる」
「え、誰に?」
低く、絞り出すような声で悠斗が答える。
「岡崎可奈子だよ。……小春を殺したのは、あいつだ」
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