Scene03. 2月13日 昼2
……明日? 何を言っているの、悠斗。
私が、殺される?
悠斗の言葉を聞いて眼を丸く見開いた私を、悠斗は笑って茶化した。
「ビックリしただろ?」
「ビックリした。でも、うん。納得するよ」
私は素直にそう言った。
悠斗があんなに必死に私を抱きしめて、こんな風に騎士みたいに守ってくれるのは、そっか。
私が、明日殺されるって知ったからなんだね。
未来から来たとか、そういうのはよくわからないけど、信じられないけど、信じても良いかなって思うよ。
だって、悠斗が真剣なんだって事はちゃんと伝わってるから。
「ねえ、悠斗。私、明日殺されるの?」
「……そうだ。でも、俺がそんな事させないから」
「私の事、守るために未来から来てくれたの?」
「あぁ、そうだよ」
「そっか。悠斗は強いね。強くて、優しいね」
「なんだよ、小春。そんな……」
「ねぇ、さっきみたいに『ハル』って呼んで。子どもの時みたいに」
「あ、あれは、つい……」
「つい?」
「小春が先に呼んだからだろ。ユウって」
「えー? 呼んでないよ?」
「いや、呼んだね」
「いつ?」
「2月14日。俺の腕の中で」
「えーっ、そんなの知らないよぉ」
こんな風に隣り合って悠斗と話すの、何年振りだろう。
いつから距離を置くようになっちゃったんだろう。
小学校で、クラスの男子にバカにされたから?
私はあの頃、ずっと悠斗の側にいた。それがいつの間にか、距離を置くようになってしまった。
それは、子どもたちにバカにされたからじゃない。
私が気付いたからだ。悠斗への気持ちの正体に。
私は、悠斗の事が……?
「小春、おい、大丈夫か? 熱あるんじゃないか?」
ハッとして気がつくと、コツンとおでこに冷たい物がぶつかる。
悠斗のおでこだ。
さっきよりもっと、悠斗の顔が近くにある。
そのせいで余計に顔が熱くなってしまった。
悠斗の鼻息がくすぐったくて、私は思わず笑ってしまう。
「ふっ、ふふ…ふふふ……あははは!」
笑いながら顔を背ける。
悠斗はデリカシーが無い。
こんな事平気な顔をして出来ちゃうなんて、全然異性として意識されてないみたいじゃない。
あぁ、笑いすぎで涙でてきちゃった。
見られる前に、拭いておかなきゃ……。
ねぇ、悠斗……。
「ったく。なんだよ?」
「ちゃんと、守ってね?」
……守って、くれるよね?
私は悠斗の冷たい手をとり、自分の熱い頬を冷やしながら悠斗を見つめた。
「当たり前だろ。約束したからな。……ハルに」
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