(まだ)
















まだ朝日は出ていない

見上げれば薄い暗がり


樹々の枝葉は黒くのび

確かに空を割っていた


例えば君が出遅れても

前に見えるから大丈夫

じゃあ見えないならば

見えているから大丈夫


薄灯かりの街灯が続く

この道の後にも先にも

人なんて見えてこない


朝焼けが道を照らせば

街路樹の紅葉を教えて

ひと吹きした風が漂う


朝らしい明るさと喧騒

ただ澄んで留まる風が

暗がりを離さなかった


朝を迎えるということ

夜を越えて出逢う朝は

違っているようだった













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