(桜の樹を見上げる少女)



















桜の樹を見上げる少女がいた









枝葉の間から見える空は

夏空のように青くて


青々としていた樹々は

怖いくらいに赤くて



落葉の色彩を前に

桜の色は穏やかな眼のよう





嬉しそうな少女は

しかし、もどかしいのだと言う




なぜ、秋なのか、と言う




寒い寒い紅葉を

心は分かっていた








嬉しくて立ち止まってしまった少女は


明日も今日のように

枝葉の間から空を見るのだろうか







秋空の下

立ち尽くす樹々は

冬の風を迎えて何を思うというのか
















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