(迎えた冬)














迎えた冬の寒さは

下草の彩りを変えていった

芒だけは草陰に穂を垂らしていて

尚も月を望んでいるかのよう


風が吹こうと吹くまいと

穂先だけが微かに揺れて


亡霊のように立ち並ぶ細い芒は

いつまで月を望んでいるのだろうか



木枯らしは凪


赤く赤く染められながら

散ることができない樹々は

ただ、あざやかに

枯木の空を覆うだけ



風が吹いても今だけは

枯葉を踏みたくなかった


散りゆく紅葉を見ながらも

続いていく凪を想っていた













  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る