第2話
訳も分からない状態のまま晴人は拘束されて数人に逃げられない様に囲まれたまま連行されていた。ちなみに、少女とは引き離されて少女は少し嫌がっていたが指揮していると思われる人物が耳打ちしてから素直になり今は別の所へと移されていた。晴人は今までの人生で拘束されるなんて事は生まれて初めてだったので思考が完全に追いついてこれずにおり殆どいいなり状態で連れてかれていっていた。
暫くすると目的の場所に到着したようで豪華な装飾を施された大きな扉の前に着いた。
「(うわぁ〜。まるでゲームとか言うところの王様と謁見する部屋の扉みたいだな。)」
そんな事思いながら入っていくと豪華なのは部屋の中も一緒であったが部屋の中の方が豪華で中央には赤い絨毯が敷かれておりその先には3つの椅子が置かれておりそこには3人の人物が座っていた。
「侵入者を捕えました!」
「ご苦労。部隊長のみ残して皆下がるといい。」
中央の椅子に座っていた男性が指示すると1人を残して部屋から出ていった。すると残った男が晴人の拘束を解いた。ようやく両手が自由になったが拘束が解かれた理由が分からなかった。確かにこの状態で逃げたり抵抗する術を持っていない晴人であるから拘束が解かれようとしても意味はないがそれを向こうが知っている場合である。何者か知らない者を自由にするのはおかしい事であった。しかし、その疑問はすぐに知る事になる。
「すまない事をしたな。こうでもしないと彼等の立場がなくなってしまうからな。」
そう言ったのは椅子に座っている男性であった。晴人は目の前にいる人たちの容姿を見ると3人共共通しているのは自分を連れて来た人達より身分が高いということ。3人共服装が高貴な者であるという事は素人である晴人にもわかるほどであった。それはまるで王族が身につけるかのような物だと思えるほど。
「まずは自己紹介をしよう。私はこの国、エルクラスの国王。クラウス・エルクラスだ。こっちが妻のエメラルダ。そしてこちらが娘のセレーナだ。」
国王と名乗るクラウスは両隣りに座っている2人の紹介も一緒にした。確かに2人を見比べるとよく似ていてエメラルダは空と同じ色であるスカイブルーにエメラルド色の瞳をしており落ち着きと気品を感じさせる美しい女性でセレーナはエメラルダと同じ髪色と瞳をしていて美しいと言うよりまだ幼さを残しつつも落ち着いている様子はよく似ていた。
「王・・・様?」
晴人は目の前の人物の自己紹介である程度の状況を理解した。自分はエルクラスと言う国にいると言う事。そして目の前にいるのはエルクラスの国王と王妃と姫。そして、自分はその国王達の前まで拘束されて連れて来られた。恐らく尋問か何かをされるのであろう。しかし、自分が何故あの場所にいたのか分からないのて答えられるものは殆ど無かった。
「まあ、混乱は仕方ないな。もう少し待つとしよう。今回の件について1番理解している者がもうすぐで来るだろうからな。」
すると、扉が再び開きそこからやって来たのは数人の侍女達に連れられて先程出会った少女がやって来た。先程と違うのは裸ではなくドレスに着替えてやって来た事であった。
少女は晴人の隣までやって来るとそこで止まり侍女達はその場から離れた。
「お待ちしておりました。」
するとクラウスは椅子から立ち上がり晴人達に近づいて目の前までやって来たら膝をついて頭を下げた。それは身分が目上にいる人に対する礼儀作法であり丁度晴人と少女の間になる様な場所だったので見た目だけだと晴人と少女に対して行われてる様に見える。しかし、国王である人物がこの様な行為を行うのは殆どあるはずがない。ましてや、晴人にする理由が一切見つからなかった。
よく見ると、隣にいた男性も同じ様に膝をついていた。
「えっと・・・あの・・・」
「・・・・・」
混乱する晴人と動揺してない少女。あまりにも状況が飛びすぎておりなんて言えばいいのか分からなかった。
「申し訳ない。まだ説明をしていなかったね。」
顔を上げ再び立ち上がったクラウスは親しみやすい笑顔で晴人の疑問を解決してくれようとした。
「彼女は白の女王。この国を治める精霊。そして、その契約者である君はこの国の王となる人物なんだよ。」
精霊。この国・・・いやこの世界のどこにでもいる者達。その姿形は様々でその力もまた様々である。ある者は火を司る者。ある者は水、風、光、闇などと言った属性に属しておりその力で人との生活になくてはならない存在である。人と精霊が共存する理由。それは精霊の源であるマナである。精霊はマナでその魂と肉体を形成している。マナがなければ精霊はその存在を維持する事が出来ないのである。しかし、精霊はそのマナを自分自身で形成することができない。マナは草花や樹木等自然に存在する。そして、人間もマナを形成する事ができるが違う点は1人1人形成できるマナの性質が違うという点である。精霊は自分との相性の良いマナを形成する人間と契約してマナを分けてもらいその代わりに人々の生活に力を貸す。それが大半の精霊達の行動でありそうしない精霊もいる。
そして、その精霊の中でも特別な精霊がいる。火、水、風、光、闇、それぞれの中で頂点に立つ精霊。王の存在である。王は精霊、そして人間にとっても必要の存在であり王と契約した人間はその国の王となる習わしがある。
「・・・という訳なのだ。」
「は、はぁ。」
晴人は流れる様に説明されたがその殆どを理解できなかった。特に精霊の存在は晴人の知る世界にはなかったものなので余計にだった。しかし、分かったことはいくつかある。自分の隣にいる少女がその王と呼ばれる精霊である事。そして、自分がその精霊といつのまにか少女と契約していると思われてる事。
「???まあ、よい。今は混乱している様であるからな。君の出身の国はどこであるかね?見たところ海を越えた和の国の様な容姿をしているが。」
クラウスの質問に答えたのは晴人ではなく驚く事に隣でずっと黙っていた少女であった。その少女の答えは誰よりも晴人が驚愕する内容であった。
「マスターはこの世界の外側。つまり異世界から召喚されて。元の世界に戻る術がいまはないです。」
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