第7話
「あなたが、今日、ミィの
会話の中に、英語らしき物が混じった。やたら元気な同い年と思わしき女の子が、仕事を紹介された場所にいた。与神の血族の人が待って居ると聞いていたのだが、この女の子がそうなのだろうか。
「よろしくお願いします文月さん」
「おーと、養子とは言え同じ与神の血族なんデスからミィに
体がほんの少し凍る感覚を覚えて思わず「ミヨちゃんで勘弁してください」と口にした。すると文月見世は「えー」と言いながらブー垂れてたあと聞き分けよく「 さん よりはいいデスかね!わかりましたそれで妥協しますデスよヒロピョ……博人君!」と受け入れてくれた。
もう既に気疲れするのだろうなぁという感覚を予感しつつ、ヒロピョンと言う謎あだ名にしようとしていた文月見世を、最初の担当者にした父上、天月口成は何をどう思って血迷ったのだろうという疑問が沸いて来る。
「それで、今日は何をするんですか?」」
「
文月見世は背負っている大きなカバンを降ろして、中を漁る。そして取り出したファイルの中から紙を皿に一枚取り出し口無博人に見せつけた。
「日本群島で与神の血族の安否を確認しつつ、現状の確認デスね。博人君にはミィが与神の血族とお話し中に家の様子を見て記録して行ってほしいのデス!」
漸く、天月口成の意図が少しでも与神の血族に顔を見せる機会だと思ったのだと予測できた。あくまで予測なだけだが。
「ではでは細かい説明は、移動しながら
「お、オー?」
文月見世の謎のこだわりによって、「では、やり直しデスよ? 併せてくださいデス!
「
日本群島全てを繋ぐ電車に乗って、文月見世に案内され大宝島へと足を運び入れた。島には白雉縞の様に街があった、人々がいた。そして、館があった。
文月見世がチャイムを鳴らして「文月林太郎の娘、文月見世デス。様子、現状の確認に来たデス」と声をあげる。するとしばらくして門が独りでに開いた。
「さぁ、
「オー」
屋敷に入ると、四人の人がいた。男の人が2人、女の人が1人、ほんの少し年下に見える少女が1人居た。従者と思わしき男が先導して客間に案内される。
「こちら、噂されていた天月口成おじさんの養子、天月博人デスよ!」
「どうも、天月口成、父上には平素より大変お世話になっております。天月博人です」
「そうか、君が噂のか。私は島主の
口無博人は栗町礼治にそう言われ、手を差し伸べられたので拍手をした。毛嫌いされていない様でよかったと安堵した。
「さて、家主の礼治さんが、見世ちゃんと語らっている仲でジブンは、家……館? 中を見て回って気になった事を記録するのですけれど……えっと、秋奈ちゃんって呼んでいいかな?」
「えぇ、構いませんわよ」
「はい、では秋奈ちゃんに質問、何でここに?」
「
「成程、納得しました。それではやる事があるので」
口無博人は聞きたい事は聞いたのでもう興味は無くなったと言わんばかりにその場を立ち去ろうとする。だけれど、栗町秋奈が服を掴んで何処かへ行こうとするのを阻んだ。視線を栗町秋奈に戻して視線で何をどうして阻むのかを尋ねる。
「私、今暇ですの。お部屋に戻ってもいいけれど、せっかくお客様が居るのにそれは味気ないと思いまして。だーかーらー、家の案内位は家主の娘としてして差し上げますわよ?」
薄ら笑みを浮かべてそんな事を言う栗町秋奈の言葉を天月博人なりに要約すると、暇つぶしに付き合えと言う事だと受け取った。天月博人が観念して、それを受け入れるまでに時間はそう費やすことは無かった。
「お願いします」
「ふふ、私にお任せあれ!ですわ!」
結果として、物事がスムーズに進んだように思う。栗町秋奈から家の事情を聴き出しながらい家を案内される。先ほどの客間、居間、勉強部屋、子供部屋、裏庭、異空間に繋がる穴へと続く地下への扉、農園と化してる庭等々。質問しては目にしたもの聞いたものをメモ帳に記録していく。
記録し案内され続け、数
「これで道案内は終わりですの!」
「有難う御座います。とても捗りました」
「お役に立てて何よりですわ。ではでは、今度は私のお願い、聞いてくださいますわよね?」
「えっ」
「たしか、白雉島とお聞きしましたので、口成さん、お父様しか居られないのでしたわよね?」
「えっ? は、はい」
「ほらママですわよー。おいでなさいなー」
「わーい」
「何しているんデスか、君達」
文月見世が栗町秋奈との話し合いを終え、天月博人を迎えに来ると栗町秋奈の案内をしたその見返りとしてお
「な、何はともあれ
そんな事より助けてという天月博人の眼差しは、文月見世と栗町秋奈の親に届く事は無く何所と無い恥かしさの中でお飯事をやりきる事になるのだった。
「はい、今日は
「は、はい」
どうか、次回は精神的に辛くなる事が無いようにと精神的に疲れ切った表情で期待するのだった。
「初めてのお手伝いお疲れ様です!ところで私、聞いてて思ったのですけれど!」
博人は、井矢見懐木に一端を離すと、何時もの様に入院患者とは思えないほど元気な声をあげる。
「お飯事と言う物は、今この場でヒロと私だけでできませんか!?」
「できるけれど」
「なら、やりましょう!」
天月博人は思わず出そうになった「勘弁してくれ」と言う言葉を天月博人は無理矢理呑み込んで、井矢見懐木に類似的な人間関係の体験をさせられると考えられれば、それも良いかと受け入れられた。
「ジブンの母役は出来れば止めて欲しい」
「駄目なんですか!?」
ただし、条件付きである。
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