LIFE
千堂 篝火
第1話
帰宅途中にて
JR電車の音がこんな所まで聞こえてくる。
駅からは何百m離れているのかという場所、
どうも秋が来たらしい。肌寒さを感じるこの
頃、音というのはより遠くまで届くのであ
る。
青々とした景色は店仕舞いをするように鮮やかさを失う。18にもなるというのに死を如何とも受け入れられない自分にとって、今身震いを感じているのは決して気温のせいだけではない。世間では終活などというものが流行っているし、自らをここまで育ててくれた両親にも老いを感じている。
どうもお前の感性は間違っていると四六時中思い知らされている気分である。
「いい加減こんなくだらない事受け入れなければいけないな…。」
そう、受け入れたいのだ。同等かはともかく同じ生き物の命で繋いでいるこの自分、いざその番になれば駄々をこねるなど到底共感を得れるものではない。
今までを思い返すと辛いことの方が多いが友人はいるし部活にも入っていた。これはこれで楽しいのだ。それ故か、失うことを考えてしまう。生も死も美しいとこの国は慰みに語るが、知っている。知らない人が理由もなく落とす命を知っている。死の先を考えた時の冷ややかさを、知っている。
別にこの国だけではないのだろう、単に他の国を知らないだけだ。
などと自らの無知さを嘲りながら俺はとりあえず今日も生きている。
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