食べて消費



 祖母が定期的に送ってくるミシシッピアカミミガメの処遇に悩まされている。毎回、ていねいに甲羅は外されていた。

「どっかからずっと送られてくるの。甲羅は飾りにするのよ。残りは使って」

 いやいらないわと思ったが、調べてみるとどうやら肉は唐揚げにできるらしい。

 そして、その試みは成功した。鶏肉だと言えば、夫も娘も喜んで口に運ぶ。それが嬉しくて、面倒だった下ごしらえも徐々に笑顔でこなせるようになっていく。


 でも、その娘が家を出ていく頃には、私たち夫婦は油ものを受けつけなくなっていた。できるだけ淡白な部分をたくさんよりわけ、残りを彼女へ送る。身は食べられるのよ。抗議の電話を受けながら、私は生活の知恵を娘に授ける。






(お題……『送る』 本文300文字)




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る