サァッリムを帯びた名詞の部(v1-0408~0438)

v1-0408

تشك tiräk 二歳の羊。

تلك töläk 沈着、沈静、憂い無く思う所無し。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  اج ایؤك تق تلك

  ach äväk toq töläk

 飢えは患い、飽きは安らぎ。オグズ語。

تلك tüläk 家畜の毛が抜け落ちる時期。「ال قوي تلاکندا کلدي ol qoy tüläkindä käldi」その羊の毛が抜け落ちる時が来た。

تلك tälik 洞窟、穴。

تؤك tüväk 柳の枝から皮を削ぎ取って管を作り、弾を入れて雀を撃って遊ぶ。管として使ってもよい。チギル語。

جبك chübäk 子供の陰茎。

جبك chibäk 「جبك قرغوي chibäk qurghuy」素早いハイタカ。

جتك chätük 猫。オグズ語。「کو ك جتك küwük chätük」牡猫。

ججك chächäk 花。

ججك chächäk 天然痘。チギル語。

جرٰك chärik 戦陣、部隊。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  الب جرکدا بلکا تیرکدا

  alp chärikdä bilgä tärikdä

 勇者は戦陣で、賢者は会場で見える。

جرٰك chärik 様々な物の向かい側。オグズ語。様々な物の時機。

جرك chöräk 小さい丸ナン。

جلك جلك chilik chilik 山羊を呼ぶ時の掛け声。


v1-0409

جنك chünük 鈴懸の木。

جشك chüshäk 草。ソグド語。

دلك düläk 欠けた所のある陶製の皿、欠けた所のある壺。

سبك sibäk 引き臼の軸。臼の台を回す鉄の軸。

سبك sibäk 嬰児の揺り籠に付ける導尿管。

سدك sidük 尿。

سذك sidhik 外着の襟。これは「سذغ shidhigh」に比べて、耳触りが雅である。

سرك sürük 群、畜群。「بیر سرك قوي bir süruk qoy」一群の羊。この言葉は詩歌ではこの様に謡われる。

  اکر سرك قوي تؤي یندي بلا

  ügür sürük qoy tävi yundi bilä

  یمرلبو ارکنن سوتن سغار

  yumurlayu ärkänin süti saghar

 群れ群れの羊や駱駝、馬があれば、欲しい儘に乳搾る。


v1-0410

سزك süzük 清い、澄んだ、透けて煌く。「سزك سوؤ süzük suv」清らかな水、澄んだ水。凡そ澄んで清らかな物、浄化された物をこの様に言う。宝石の類も「سزك säshüg」と呼ぶ。

سشك säshüg 放たれた家畜。「سشك ات säshüg at」放たれた馬。

سؤك sävüg 可愛い。「سؤك نانك sävüg näng」可愛い物。

سلك silik 温和な。「سلك ار silik är」温和な人、清らかな人、機敏な、控えめな、言葉使いが柔らかい人。

شبك shöpik 果物の皮。果物を食べた後捨てる所。この言葉の「ش」は「ج」に換った。

شتك shütük 牛の角、或いはその他の獣角で作った墨壺。

شتك shütük 「شتك سقال shütük saqar」山羊の髭。この言葉は上記の「隅壺 shütük」に擬して言われる。

شنك shünük 鈴懸の木。この言葉の「ش」が「ج」に換った。

کبك käpäk 殻子、麸。小さな真珠を「کبك ینجو käpäk yinchü」と言う。

کبك käpäk 頭皮、フケ。

کبك köpük 泡沫、水泡。

کبك köpük あぶく。鍋で茹でた時に表面に浮かぶ泡。


v1-0411

کجك kächik 渡し口。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قینار اکز کجك سیز بلماس

  qaynar ögüz kächiksiz bolmas

 早瀬でも渡し口無くならない。この諺は解決法が無いことへの慰めや、困難に当たった人に言う。意味は、どんな状況でも解決法は探すことが出来る。

کجك köchük 尻。一頭の馬に同乗する人。

کجك kichik 小さい、ごく小さい。様々な物の小ささ。

کذك kädhük 毡帽(フェルトの帽子)。

کذك kädük 兜の下に被る羽毛の帽子、その形は兜に似る。

کدك küdük 「ایش کدك ish küdük」事情、仕事の意味。これは重ね言葉で何時でも連用する。

کرك käräk 要る、使う。「بو کرکمو bu käräkmu これ要るか?」に対する答え。

کرك körük ふいご。鍛冶師が使う鞴。

کزك közäk 織子が使う道具。布や絨毯を織る時、上の方から織物を編み上げる優れた道具、錦を織る織工などが其れを使う。

کزك käzik 腸チフス。全身に高熱を発する症状。

کزك käzik 「سرغ کزك sarigh käzik」黄疸病。

کزك käzik 順番、次。「سنك کزیکینك کلدي säning käziking käldi」お前の番が来た。


v1-0412

کزك käzik 勇気、肝っ玉。「بو ایشقا سنکا کزك کراك bu ishqa sängä käzik käräk」このことにはお前に肝っ玉が要る。

کژك küzik 揉み上げ、こめかみ辺りの髪の毛。ヤバークー語。

کسك käsäk 一切れ。物の一部分。「بیر کسك اتماك bir käsäk ätmäk」一切れのナン。

کؤك käväk 鼻軟骨。

کؤك küvük 「کؤك موش küvük mush」牡猫。チギル語。

کلك kölük 「کلك نانك kölük näng」借り物。

کلك kölük 荷役用の家畜。

کمك kämäk 一種の木綿布。これを使ってマントを作る。キフチャーク人はこの種の布で雨合羽を作る。  

کنك könäk 水瓶。

مژك mäzäk 「ات مژك it mäzäk」犬の尿。

نتك nätäk どうだい、どうした。疑問代名詞。「نتك سن nätäk sän」お前どうした?

نجك nächük 何故、どうして。「نجك بردبنك nächuk barding」どうしてお前は行った。ヤバークー語。


v1-0413

نلك nälük 何故、どうして。その他のテュルク人の言葉。

نرك näräk 「بو سنکا نرك bu sängä näräk」これをお前はどうして要る?この句は本来「نا کرك nä käräk」でる。二字が落ちてしまった・

بجل pächäl 去勢された女、去勢された男、去勢された馬や其の他家畜。

بشل bashil 柄。「بشل قوی bashil qoy」柄のある羊。

بدل ارت bädäl art ベデル・アルト。ウチュとバルスハンの間の峠。

تسل tasal 馬球場で決められた範囲を示す境界線。この言葉は「تلاس talas」という言葉が変化したものである。アラビア語の「مافي الارض علاق」の中で「草場」を意味する「علاق」と同じく、この言葉を「لعاق」と読む。

تکل tägül ~ではない。ただ~ではない。オグズ語。この言葉の語源はエルグー語の「داغ ال dagh ol」である。オグズ人は此の言葉の二つの「ا」を落とし、「ت」と「ك」の音を夫々「د」と「غ」から変えた。

جغل تغل chighil tighil 「اق کیش اجرا جغل تغل قلدي oq kish ichrä chighil tighil qildi」矢が箙の中でカサカサした。


v1-0414

جکل chigil チギル。三つのテュルク部族の名称。其の一つ目は、バルスハンの下の方の「قیاس quyas」に住む遊牧民である。其の二つ目は、「طراز tiraz」附近の小さな町に住む居民であり、これもまた「チギル」と名乗る。これらの人々が「チギル」と呼ばれる所以は此の様である。ズルカルナインがエルグー人の土地に到来した時、激しい大雨に見舞われて、道は泥濘み、進に進めなくなった。ズルカルナインは此の様を見て頭にきて、ペルシャ語で「این چه کل است それは難と酷い泥濘だ」と言った。後に彼は人に命じて、この地に一つの城堡を建てさせた。その城堡は「チギル」と呼ばれた。これより、その城堡に住むテュルク部族が「جکلي chigili」と呼ばれるようになった。この名称は以降この城堡の周辺の地域にも広がった。オグズ人もこの地域に住み、チギル人と度々戦い、彼らの間の敵意は今でも依然と存在している。オグズ人はチギル人の習慣に従う其の他のテュルク部族も「جکل chigil」と呼ぶ。オグズ人はまたアム川から上秦の地域に住むテュルク諸族も「جکل chigil」と呼ぶ。これは誤解である。其の三つ目は、カシュガルの多くの村々に住むテュルク部族もまた「جکل chigil」と呼ばれる。彼らもまた其処から移り住んできた。

جمل chomul 処密。テュルクの部族の一つ。


v1-0415

سکل sögäl 病、疾病。オグズ語。

سکل sigil いぼ。

قزل qizil 紅、赤。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قلنو بلسا قزل کذار یرانو بلسا یشل کذار

  qilinu bilsä qizil kädhär yaranu bilsä yashil kädhär

 甘えたければ、赤い衣、誘いたければ、緑の衣。この諺は、女人に己の夫に気に入られる様に勧めるように言っている。

قزل qizil クズル。カシュガルを東西に貫いて流れる一筋の川の名。この言葉は詩歌ではこの様に謡われる。

  قزل سرغ ارقشب

  qizil sarigh arqaship

  یکن یشل یزکشب

  yipkin yashil yüzkäship

  بر بر کرو یکشب

  bir bir kärü yörgäship

  یلنکق اني تنکلشور

  yalinguk ani tanglashur

 紅い花、黄色い花が幾重にも咲き乱れ、青々とした紫蘇が彼を取り巻き、人々は其れを驚き褒めそやすことを止めない。


v1-0416

کؤل käväl 速足の。「کؤل ات käväl at」速足の馬。溜蹄馬。

بیجم pichim 切られた。一切れ。「بیر بیجم قاغون bir pichim qaghun」一切れのメロン。

بغم baghim 節。手指や脚の節。葦の節。竹の節などを均しく言う。

بکم büküm 「بکم اتك büküm ätük」女物の革靴。オグズ語。他のテュルク部族では、この言葉を「مکم mükim」或いは「مکن mükin」と言う。その中の字の「م」と「ب」、「ب」と「ن」が互いに入れ替わった。私はこの言葉をよく知らない。しかし、キフチャーク及び其の外の部族の平民は此の様に用いる。

ترم tarim テギンやアフラスィヤーブの血を引くカトゥンや其の他子孫に対してのみ用いる言葉。国王の子孫以外の人、例え身分の高い者でも、この言葉を用いることは出来ない。王族出身の后妃は高い身分を有する為、「التن ترم altun tarim」を用いられる。


v1-0417

ترم tarim 湖沼や砂漠の中に注ぐ河川の支流。

ترم tarim タリム。回鶻人の辺境「کجا kucha クチャ」付近の一地方の地名。この地を流れる一筋の河川も、この名で呼ばれる。

ترم turum 人の背丈ほどの高さ、或いは深さ。「بیر ار ترمي سوؤ bir är turumi suv」一人の背丈ほどの深さの水。他にも用いることが出来る。

ترم torum 仔駱駝。「تشي ترم tishi torum」牝の仔駱駝。

تزم tizim 一紐。「بیر تزم ینجو bir tizim yinchu」一繋がりの真珠。

تقم toqum 屠られる家畜。この言葉の多くは屠られる馬に用いる。

تکم tägim 一本。「بیر تکم ترماك bir tägim türmäk」一本の巻物。

تلم tälim 多い。数多の。「تلم یرماق tälim yarmaq」沢山の銭。この言葉は詩歌ではこの様に謡われる。

  تلم بشلر یؤلدیمت

  tälim bashlar yuvaldimat

  بغي اندن یؤلدیمت

  yaghi andin yavaldimat

  کجي اننك کؤلدیمت

  küchi aning käväldimet

  قلج قنقا کجن سغدي

  qiich qinqa küchün sighdi

 とある戦場を描写する。敵の勇者たちの首は別の所へ、このため敵の士気は挫かれ、勢いを弱めて行った。刀身には血がベタベタに固まって、刀を鞘に戻すのが大変であった。


v1-0418

تلم tolum 兵器。これは兵器の通称を表す。

تلم tilim 条。「بیر تلم ات bir tilim ät」一条の肉。長く切り分けた帯状のあらゆる物について言う。

ددم didim 新婚の夜、花嫁に被せる冠。

سرم sarim 濾過用の布。壺や瓶の中から注ぐ飲み物を濾過する為に、それらの口を水を通す布で覆う。

سغم saghim 「بیر سغم سوت bir saghim süt」一度に搾り出した乳。


v1-0419

سقم soqim (鏑矢の鏃。)一塊の木の中を削り、円錐状にして、三つの穴を開け、矢の柄に付ける呼び子である。

بقر سقم baqir soqim 火星。

قجم qucham 「بیر قجم نانك bir qucham näng」一抱えの物。

قرم qorum 岩石、山岩。財産をため込むことを此の様に言う。「ال قرم بلدي ol qorum buldi」彼は岩山の様な財産を得た。

کرم käräm 穴蔵。上秦と下秦の言葉。

کرم kärim 壁の上に掛ける模様のついた帳。「تام کرمي tam kärimi」壁掛け。

بتن pütün 信ずるに足る、頼れる。「جین بتن کشي chin pütün kishi」彼は頼れる人だ。

بتن pütün 完全無欠な、欠けた所の無い。「بتن یرماق pütün yarmaq」欠けた所の無い銭。

بذن bodhun 民、群衆。チギル語。

برن burun 鼻。

برن burun 形状が口に似たもの。「تاغ برني tagh burun」崎、山の突き出た先端。


v1-0420

برن burun 前に、以前。「ال مندن برن ردي ol mändin burun bardi」彼は我から前に去った。

بژن buzin 梅蕙草、バイケイソウ。

بسن basan 遺体の埋葬後に葬儀の参加者に振る舞う食事。ここから派生して故人を偲ぶ法事(näzir)の料理を「یوغ بسن yogh basan 」と言う。

پغن boghun 節、葦の節、手指の関節。この言葉の中の「ن」の字は「م」と交替した。これは規則に符合する。この言葉は、アラビア語の詩歌ではこの様に謡われる。

  یرب جعد فهم لو تدرین

  یفرب ضرب السبط المقادیم

 正にアラビア語の否定詞が「لم」が「لن」にされたのと同じである。

بقن baqan 先端に付ける輪。黄金或いは黄金に似せて作られた物を「التن بقن altun baqan」と呼ぶ。

بقن biqin あばら、アキレス腱。


v1-0421

بکن bükin インポテンツの者。

بکن bügän 盲腸。

بکن bükän 印度メロン。

بلن bulun 捕虜、虜。この言葉は詩歌ではこの様に謡われる。

  ابنك قلسام اذم بار

  abang qolsam udhu barip

  تتر اردم سسن تارب

  tutar ärdim süsin tarip

  بلن قیلب بشي یارب

  bulun qilip bashi yarip

  یلغ برجا منکا یغدي

  yulugh barcha manga yighdi

 この様に一人の敗残者を描く。望むなら、追い打ちをかけて彼の軍を潰し、彼本人を捕らえ、彼の頭を打ち砕かん。しかし、彼は命拾いし、多くの財産を我に捧げ、我は彼を放ち、彼は我に感謝した。


v1-0422

تبن tapan 駱駝蹄草という植物。

تبن topun 糠。ウチュ語。

تذن tadhun 二歳の牡牛。牝のことを「تشي تذن tishi tadhun」と言う。

تذن todhun 郷紳、郷長、農官。

تتن tütün 煙。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  اوت تتن سز بلماس یکن یازق بلماس

  ot tütünsüz bolmas yigit yazuqsuz

  火、煙無くならずば、若者誤らず。

تکن tügün 結び目。

تکن tikän 刺された。この言葉は簡略形式である。規則に照らし合わせれば、この言葉は二つの「ك」を持ち、即ち「تکن tikkän」である。何故ならば、この言葉の起源は「刺した」等を意味する「تکدي tikdi」だからである。「تکن tikkän」という言葉の一番目の「ك」は、語幹の中の「ك」である。二番目の「ك」は、形容詞を更生されるために加えられた。例えば、「焼き網の上に置いた、肉を」の意の「تؤذي اتنی tävdi ätni」という句が、もし形容詞に変えれば、我々は「اتني تؤکان ätni tävgän」と言う。

 要するに、ある言葉を形容詞に変えるには「ك」を一つ加えればよい。「ار جمدي سؤدا är chömdi suvda 人が潜った、水に」。この句の中の「جمدي chömdi」をKウィ容姿にした時、「سؤقا جمکان ار suvda chömgän är」となる。これも語幹に「ك」を一つ加えたものである。即ち、元々「ك」を帯びている語幹には、更にもう一つ「ك」を加えて、重ねて読むのである。例えば、もし「ار اراغتتي سکتي är uraghutni sikti 男が妻とまぐわった」という句の中の動詞を形容詞に変えると、「سکان ار sikkän är まぐわう男」と言う。「تکن tikkän」という言葉も斯様である。簡便にする為に後ろの「ك」を省いたのである。


v1-0423

تلن tulun  こめかみ。二種類の言葉の一つ。

تلن tulun 銜環。轡の両側にある留め金。

تلن tolun 満ちた、丸い。「تلن ای tolun ay」満月、十四夜。


v1-0424

تمن tümän トゥメン。カシュガルを流れる河川名。

تمن tämän 大きな針。「تمن ینکنا tämän yingnä」大針。

تمن tümän 多い、数多の。「تمن ترلك سوزلادي tümän türlüg sözlädi」彼はよもやまな話をした。

تمن tümän 「تمن منك tümän ming」百万。「تمن منك یرماق tümän ming yarmaq」百万の銭。

تسن tosun 未だ乗られたことのない馬。

جبن choban 郷紳の助手。

جقن chiqan 甥っ子。

جکن chäkün 仔山猫。

جکن chögän 馬球、ポロ。

سبن sapan 犂。

سبن sapan 耕作、耕田。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  سبندا سندرش بلسا ارتکن بلماس

  sapanda sandrish bolsa örtkündä irtäsh bolmas

 耕す時に数え合えば、稲扱きで争い合わず。この言葉は人々に誡告する。後後の紛争を避けるために、前もって物事を手堅くすべし。

سغن saghun サグン。カルルク部族の頭目に贈る称号。テュルクの大官を「اتا سن ata saghun」と呼ぶ。


v1-0425

سغن sighan 「سغن سج sighan sach」真っ直ぐな髪。

سکن sükän 積荷を入れる箱。

قحن qachan 何時、いつ。「قجن کلدنك qachan kälding」お前はいつ来た?この言葉は、有る時には、時間や条件を表示する副詞になる。例えば、「قجن برساسن qachan barsa sän お前がいつか行くのなら」等である。この言葉は、また「一旦」の意味も表す。しかし、基本的な意味が第一のである。

قذن qadhin 姻族。キフチャーグ人は「ز」で、この言葉を読む。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قدش تیمتش قیمادق قذن تیمیش قیمیش

  qadash tämish qaymaduq qadhin tämish qaymish

 兄弟が来るようだ、放っておこう、姻戚が来るようだ、もてなそう。この諺の説く所は、人々は親戚の中で姻戚を最も重んじる。

قرن qarin 腹。「قرن اتماق qarin atmaq」腹射ち、家畜の腹を的にして矢を射る。家畜の腹を的にして矢を射て屠り、射当てた者は一塊の肉を得る。

قرن qurun すす。窓や壁、竈に溜まった煤。

ققن qoqun 火花。


v1-0426

قلن qalin 厚い、多い。「قلن سو qalin sü」数多の軍勢。

قلن qalun 若駒。

قلن qalan 腹帯。「قلن اتي qalan äti」馬に腹帯を付ける部位。

کتن kätän 艱難、困苦、貧困。苦労する人に対して「کتن کردي کراکو یذتي kätän kördi kärägü yüzti」と言う。意味は「困窮により、深く苦しみ、甚だしきは、穹廬さえも自分で運ばねばならない」ということである。

کذن küdän 宴会。

کبن kübän 駱駝の鞍、馬の鞍、下鞍などの馬具一式。オグズ語。

کرن kürin 積荷を入れる籠、積荷を入れる箱。メロン、スイカ、カボチャ等を入れて運ぶ籠。

کزن küzän 雀や跳び鼠などを狩る鼠類の一種。

کسن küsän 亀茲。クチャの別名。この城市は回鶻の辺境に位置する。

کلن kälin 息子の嫁。


 本編のこの種の名詞は、間に開口符を帯びた語彙であり、「突厥文」で書く時は、開口符を「ا」で書き表す。例えば、「駱駝蹄草」を意味する「تبن tapan」は、「تابان tapan」と書く。この様にアラビア文字で書く時は不要な「ا」を付け加えるのである。この二つの「ا」は、開口符を表すのに使われる。同様に、間に合口符を帯びた「تبن tüpün 糠」に、「و」を二つ加えて「توبون tüpün」と書く。「کلن kälin」という言葉を「突厥文」で書くと「کالین kälin」となる。規則は此の通りであり、もはや贅言しない。その原因は、「فعل」乃至は「فعال」、或いは「فعل」乃至は「فعال」、また「فعل」乃至は「فعال」の縮写形式だからである。長音は元の言葉の読み方から遠からず。縮写形式は簡便で、簡便な形式は一層正確である。


v1-0427


簡式の語彙の篇は完


v1-0428


一番目と二番目の間に長母音を添えた語彙の篇


فاعل fail 型の各種動符を帯びた語彙の章


قاغت qaghut 黍で作った料理。その作り方は、黍を煮てから干して粉に引いて、油と砂糖を混ぜる。産婦に食べ物として供する。

جاتر chatir 天幕。

جاتر chatir 硇砂、塩安、天然の塩化アンモニウム。

جاجر chachir 天幕。オグズ人は「جاشر chashir」と言う。

ساتر satir 「やい、ろくでなし」の意味を表す罵り。

ساغر saghir 臼の様な形をした器皿。飲料を貯めるのに使う。

سیبز sibiz 「سیبز کشي sibiz kishi」愚鈍な人、のろま。

تودش tüdäsh 「تودش نانك tüdäsh näng」同類の物、それと似たような同種の物。この言葉は元々「毛」を意味する「تو tü」である。動物に対して「بو ات نا تولك bu at nä tülüg この馬は何色の毛」という風に言える。「دش dash/däsh」は、同等或いは似たものを表す語尾である。一人の母から産まれた子供を「قرندش qarindash」と言う。何故ならば、「قربن qarin 腹」という名詞の後に「دش dash」を加えると、「同じ胎から出た」という意味になるからである。乳房を意味する「امك ämik」から、一人の母から同じ様に乳を吸った二人の子供を「امکدش ämikdäsh」と呼ぶ。同郷は「ییردش yärdäsh」と呼ぶ。同胞と近親は「قدش qadash」と呼ぶ。この言葉は元々「容器、討器皿」の意である「قا qa」に、「دش dash」を加え、一つの容器の中を意味し、即ち同じ母親の胎の中に居たことである。「کنکلدش köngüldäsh」という言葉は、「心が繋がった者」の意を表す。上述の「تودش tüdäsh」もまた此の様に構成され、「毛色が同じ」、「同類」の意味を表す。


v1-0429

تیدش tidish 阻止、制止、止めること。

کاکش kälüsh 腫れた所に貼る薬物。

بالغ baligh 怪我人。この言葉は詩歌ではこの様に謡われる。

  ارمش اژن بسوغن قلمش اني بالغ

  urmish azun pusughin qilmish ani baligh

  ام سم انکر تلانب زدا بلر یقغ

  äm säm angar tilänip sizdä bulur yaqigh

 己の境遇を語る。時代は我を苦痛の罠に陥れ、傷付いてしまった。その後、方法を考え付いた。むしろ君の所で治癒する良薬を得よう。


v1-0430

تاتغ tatigh 甘い、美味しい。重ねて「تاتغ تالغ tatigh taligh」と言ってもよい。

بیشك bäshik 揺り籠。

دبدك dädäk 婦女が見知らぬ人の目に晒されない様に、頭から被る被衣。

بیلك bälek 礼物、贈り物。

تونك tünäk 監獄、牢屋。バルスカン語。

سوجك süchik 甘い。あらゆる甘いもの。

سوجك süchik 酒。ここに表示されている言葉と上の言葉は意味が相反する。イリ渓谷のヤグマー、トフシ―、チギル等の部民は酒のことを「قزل سوجك qizil süchik」と言う。


v1-0431

سیزك säzik 疑い、疑心。

کوبك küpik 綿着。

کوشك köshik すだれ、覆い被せる物。

کولك kölik 影。

قاغل qaghil 葡萄架に吊るした籠。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قل ساؤي قلماس قاغل باغي یزلماس

  qal savi qalmas qaghil baghi yazilmas

 長者の言葉は出任せではない、籠の結び目は解けない。

بیرم bärim 負債。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  المجي ارسلان بیرمجي سجغان

  alimchi arslan bärimchi sichghan

 取る者は獅子、抱える者は鼠。

بیجن bichin 猿。

بیجن bichin 猿年。テュルク人の十二支の一つ。 

تیمن tämin たった今、もうすぐ。「تیمن کلدم tämin käldim」我はやっと来た。

جوذن chozin 黄銅。銅の一種。「جوذن اشج chozin äshich」銅鍋。

سوغن soghun 玉葱。この言葉は「سوغن soghan」とも言う。

سوغن soghan 「سوغن یلان soghan yilan」大蛇、蟒蛇。

سیغن sighun 鹿。「سیغن اتٰي sighun oti」人参、根っ子が人のような形をしている植物、性機能の衰退の治癒に効く。ペルシア語では「استرنك」と言う。この植物は雌雄に分かれ、雄は男性に、雌は女性に用いる。


v1-0432

سیغن sighun シーグン。「سیغن سمر sighun samur」シーグン・サムル。ボグラ汗が毒害された地方の地名。

جاذن chadhan 蝎。

لاجن lachin 隼。これは猛禽類である。勇ましい若者も「لاجن lachin」と呼ばれる。


فاعول faul 型の語彙の章


قاتون qatun カトゥン、奥方。アフラスィヤーブの血を引く女性の称号。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  خان ایشي بلسا قاتون ایشي قلیر

  khan ishi bolsa qatun ishi qalir

 ハーンに事あらば、カトゥンに事が残る。この諺はアラブ人の諺「اذا جاء نهرالله دطل نهر عیسي」と同じである。

قاغون qoghun メロン。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  قاغون قرما بلسا اذیسي اکي الکن تکیر

  qogun qarma bolsa idhisi ikki älkin tägir

 メロンに触られたら主は両手で掴む。この諺は、貸主が自分の持ち物に貪婪なことを指すのに用いる。

لاغون laghun 削って作った木碗。乳やヨーグルトの類を飲む時に使うもの。


v1-0433


二番目と三番目の間に長母音と軟音を加えた語彙の篇


فعیل fäal,فعول fäul , فعل fäil 型の各種動符を帯びた語彙の章


بقاج ارت buqach art ブカーチュ・アルト。とある峠の地名。

بقاج buqach 陶器。「اشج بقاج ashich buqach 鍋・碗・柄杓・杓文字等の炊事道具一式」とも言う。

تتار tatar タタール。テュルク部族の一つ。

تغار taghar 袋。小麦或いはその他のものを入れる袋。

تؤار tavar 貨物、物品。

جؤار chavar 着火用の柴。この言葉に対偶詞を付けて「جؤار جؤار chavar chuvar 干し枝、枯れ草」とも言う。

سقار soqar 角の無い動物、禿げた人。角の無い羊を「سقار قوي soqar qoy」と言う。


v1-0434

خزار hozar ホザール。テュルク地区内の一地名。

کفاز küfän 驕慢、傲慢。

مراز maraz 夜中。

مراز maraz 日雇い。この言葉はエルグー語とヤグマー語で「خیار مرازhiyar maraz」と言う。

تشوغ toshugh 運送物。運送する貨物、及び類似の物でもよい。

تشاغ toshaq 馬の絆。馬の前脚を繋ぐ絆。

بجاق bachaq 基督教徒の斎戒。

تلاقt talaq 脾臓。

تلاق tilak 女性器。チギル語。

سلاق sulaq 脾臓。キフチャーク語。この言葉の中の「س」は、「ت」と交替した。これはアラビア語中の「ست」が、「سدس」から、「طست」が、「طس」から変わったのと同じである。語法学者たちが、この種の変化を説明するのに、この詩「جزی الله بني اللات عورا وقابوس شرار النان」を以て例とする。ここの「نات」が、「ناس」に交替することである。

بدیك büdik 舞い、舞踏。

بزاك bäzäk 装飾品、飾り物。この言葉は「بزك bäzäk」とも書く。

تراك täräk 柳の木。


v1-0435

تلاك tiläk 願望、希望。

تلاك tüläk 「تلاك یلقي tüläk yilqi」毛が生え変わる家畜。

تکال tügäl 全部、完全。すべて揃ったものを「تکال tügäl」と言う。「تکل الغل tügäl alghil」君は全て取れ!

قؤال qival 「قؤال برن qival burun」鼻が高い、鼻筋が通った鼻。この様な鼻の人は人から喜ばれる。この言葉は詩歌ではこの様に謡われる。

  اردي سني قیز

  ardi säni qiz

  بودي انك تال

  bodi aning tal

  ییلر انك ارتجي

  yaylir aning artuchi

  برني تقي قؤال

  burni taqi qival

 とある娘を描写して言う。その体つきがすらりとした娘が君を騙した。彼女の体つきは杜松の様になよっとし、鼻筋は高々と通っている。


v1-0436

جرام churam 遠矢、軽い矢を射る。この種のやり方で射た矢は、一般的に射程が伸びる。射手は水平かつ上向きに射る。この種の矢のことを「جرام اقي churam oqi」と言う。

قرام quram 「قرام کشي لار quram kishilär」可汗の御前に座る者は此の様である。各自の位階に従って順序よく座る人々。「کشلار قرام التردي لار kishilär quram olturdilar」人々は位階に応じて座る。この言い方は此の通りである。

بلان bulan キフチャーク地域に生息する一種の大型獣。人々はこれを狩る。その頭の上には上向きに口の開いた空洞の角があり、その中に雪や雨水が溜まる。雌が跪く、雄が其の水を飲み、雄が跪くと、雌がまた飲む。

تکین täkin この言葉の元々の意味は奴隷である。顔色が銀の様に清らかな奴隷を「کمشتکین kümüshtükin」と呼び、勇敢な奴隷を「الب تکین alp täkin」と呼び、縁起の良い奴隷を「قتلغ تکین qutlugh täkin」と呼ぶ。後に、この言葉は可汗の子弟のみに用いられ所となった。以降、この言葉は猛禽類や類似の言葉と連用するようになった。例えば、「جغري تکین chaghri täkin」小隼テギン、「کج تکین küch täkin」力あるテギンなどなどである。

 この言葉がアフラスィヤーブの子息の称号となったのは何故であるか。それは、彼らが己の父親を大変尊敬してたからである。この一件が示すことは、上奏文を書く時、己のことを謙遜して「あなたの奴隷は何々を此の様に行いました。あなたの恕栄は彼此を其の様に致しました。」と称するからである。この後、この言葉は彼らの称号になった。彼らと奴隷を区別する為に、言葉の前に別の言葉を冠する様になった。


v1-0437

تزون tuzun 温和、老成した人。この言葉は諺ではこの様に言われる。

  تزون برلا ارش اوتون بلا ترشما

  tuzun birlä urush utun birlä tiräshmä

 穏やかな人と一緒に喧嘩すれば、卑しきものは一緒に争わない。何故ならば、お前が間違ってても、穏やかな人はお前を許すからである。無頼の徒であれば、お前を決して許さないだろう。

تکن tökün 標記、烙印。

تمان tuman 霧。

جرون charun 鈴懸の木。ヤグマー語。

جکین chikin 果樹園の中に生える穂のある草、家畜はそれを食む。

جکین chäkin 「جکین یبي chäkin yipi」絹糸。

جکین chäkin 金糸を使った刺繍。「جکین جکنادي chäkin chäknädi」金糸で刺繍した。


v1-0438

سمان saman 麦藁。チギル語。

قلان qulan 野驢馬。

قبان quban クバーン。男の名。

قتان qutan クターン。男の名。

ککان kögän 乳を搾る時、仔牛や仔羊の肩を縛って繋ぐ縄。「یل ککان yäl kögän」彩虹。


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