第4話
そして自転車のところにたどり着くと、振り返りました。
――あれっ?
そこにとうやの姿はありませんでした。
私は探しました。さんざん探し、とうやの名を何度も呼びました。
しかしとうやは何処にもいませんでした。
慌てて家に帰り、父に言いました。
父は怒りながらもとうやの両親と警察に連絡を入れました。
結論から言えば、けっこうな人数で探したのですが、どれだけ探してもとうやは見つかりませんでした。
それから数年後、大学生になって県外にいた私がお盆で帰郷していたときに、ふとあのトンネルのことを思い出しました。
一旦頭に浮かぶと、いつまでもそこから離れてくれません。
私は思い切ってトンネルに行くことにしました。
でも夜だとさすがに怖いので、昼間に行ったのですけど。
自転車をこぐと、ほどなくしてトンネルに着きました。
この不可解なトンネルが、わりと実家から近いことをあらためて感じました。
昼間に見てみると、全くと言っていいほど幽霊とかの心霊現象が起きそうな雰囲気は微塵もありませんでした。
中はさすがに暗いですが。
私は自転車を降り、懐中電灯片手に中に入りました。
あのときと同じように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます