第4話

そして自転車のところにたどり着くと、振り返りました。


――あれっ?


そこにとうやの姿はありませんでした。


私は探しました。さんざん探し、とうやの名を何度も呼びました。


しかしとうやは何処にもいませんでした。


慌てて家に帰り、父に言いました。


父は怒りながらもとうやの両親と警察に連絡を入れました。


結論から言えば、けっこうな人数で探したのですが、どれだけ探してもとうやは見つかりませんでした。



それから数年後、大学生になって県外にいた私がお盆で帰郷していたときに、ふとあのトンネルのことを思い出しました。


一旦頭に浮かぶと、いつまでもそこから離れてくれません。


私は思い切ってトンネルに行くことにしました。


でも夜だとさすがに怖いので、昼間に行ったのですけど。



自転車をこぐと、ほどなくしてトンネルに着きました。


この不可解なトンネルが、わりと実家から近いことをあらためて感じました。


昼間に見てみると、全くと言っていいほど幽霊とかの心霊現象が起きそうな雰囲気は微塵もありませんでした。


中はさすがに暗いですが。


私は自転車を降り、懐中電灯片手に中に入りました。


あのときと同じように。

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