うーん






 なかなか思い出せないものですね。


 あるはずなんだけど……。


 最近だと、行けば思い出すパターンです。


 あ、思い出しました。


 1月1日前後に川○大師行きましたよね。師匠と俺の友達の4人で。


 俺の友達はたぁくんの自転車の後ろに乗り、寺を目指しました。


 川○大師に到着して、おみくじをやる事になりました。


 俺とたぁくんは大吉。


 師匠は「流石、二人とも持ってるね」


 俺の友達はなぜかくじを引きませんでした。


 たぁくんと俺の友達の相性は最悪だったのでしょう。


 たぁくんの墓参りに誘っても、行かなきゃダメ?と結局一度も行きませんでした。


 誰にでも相性はあるので、あまり気にとめませんでしたが。


 その友達に言われてしまったんですよ。


 「マサは殺しても死なないやつだから」


 まぁ、正直。自分でもそう思います。


 一人暮らしが始まり、お金が使えず遊べなくなり、その友達との付き合いは終わりました。


 たぁくんはバンドに対する情熱は、人一倍でした。


 友達がなかなか上達せずに、苛立ちを隠せないようでした。


 1日に数分しか練習していないとのことだったので。


 友達に教えるためにギターを覚えて、友達の家に行ってギターを教えながら練習しました。


 上達は人それぞれだと思うので、彼のペースであーでもないこーでもないとやっていました。


 そして二週間ほどでクビを告げられました。


 土日は10時間。平日は時間の許す限り。


 俺は絶対に足を引っ張らないと最初の段階で強く思ってました。


 たぁくんには目標があったので、声とギターの腕を磨いていきました。


 師匠は20年の大ベテランなので、練習はしないと言っていました。


 友達は入り込めなかったのかな、と思いました。


 俺と友達にも温度差ができていました。


 「やるからには売れたい」


 「無理だよ」


 「なんで?」


 「売れるのはほんの一部だから」


 やらなきゃ分からないだろ。その時の俺は呆れていました。


 そして今、自分に呆れています。


 もう少し、たぁくんの意思を汲み取ることができたら。


 もう少し、たぁくんの異変に気付いていたら。

 

 なんで、たぁくん抜きでライブをしてしまったのか。


 今なら気付けていた。


 もう二度と、誰も死なせない。






 


 

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