勝手に家にあがってくる仲間達





 師匠のマンションがみんなの練習場所でしたね。


 ドラムのバスを叩くと、下の住人からクレームがあったようで、練習場所はないかと探していたら、俺の住んでるおばぁちゃんの家が候補にあがり、決まりました。


 最初の頃は、たぁくんや仲間はインターホンを押して、俺が玄関に迎えに行っていました。


 1ヵ月くらい経ったら、たぁくんはインターホンを鳴らして勝手に二階にあがってくるようになりましたね。


 師匠に関しては、インターホンすら鳴らさずにいきなり登場します。


 「やぁ、元気?」


 師匠は根っからのロッカーなので、いつもこんな感じです。


 たぁくんは。


 「マサ~。冷蔵庫貸りるね」


 二階にある自分の部屋には、小型の冷蔵庫がありました。


 みんな自分の家のように使ってました。


 それがどこか嬉しく、家族が増えたような感覚になっていました。


 「トイレ借りるね」


 たぁくんは用を足して二階にあがってきました。


 「うんこしてきた。俺、平気で人んちでうんこするから」


 人んちでうんこは出来ないな……凄い。


 やはりたぁくんは違う。


 ただ者ではない。


 若かりし時、たぁくんは一人で路上で歌っていたと言いましたね。


 歌というより、叫びだったのでしょう。


 歌を愛するその姿は、ロッカー以外の何者でもありません。


 人んちでうんこする。


 やはりあなたはロッカーです。




 

 

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