作業所の恩人






 前回紹介した人のことしか、たぁくんは言わなかったですが、デ○ズニーランドの帰りに車で自宅まで送ってくれた職員、今いる職員、今は辞めてしまった職員、その時の仲間。


 たぁくんはきっと、恩を受けていたと思います。

 

 作業所にいると、たぁくんを思い出します。


 細かい所にも目が行き、周りを見る才能がありました。


 今作業所にいたら、間違いなくリーダーになっていたでしょうね。


 リーダーをできる人は二人居ます。ですが、リーダーになろうとしません。


 一人は縁の下の力持ちタイプと、もう一人は経験が豊富で人望が厚く、二人ともみんなから好かれています。


 でも二人とも優しいです。その優しさから、リーダーになろうとは思わないのでしょうね。


 なので今は職員がリーダーになっています。


 何度となく繰り返した言葉ですが、たぁくんが居てくれたら。そう思います。


 思い出しますね。


 「マサは俺にはなれないよ」


 たぁくんのようになりたいと思ってました。それを口に出さなかったのですが、事あるごとにそう言われました。


 人はそれぞれ違うから、その人になることは出来ない。


 言わなくても伝わるなんて、さすがたぁくんです。


 人の気持ちが分かる人って、いいですよね。


 俺は分からないから、勝手に悩んで、勝手に落ち込みます。


 人の気持ちが分かったら、たぁくんを助けられた。


 あなたが亡くなるまで、何も分からなかった。


 何も汲み取ることが出来なかった。


 それは今も変わっていません。


 人が何を考えているのか分かりません。


 正直怖いですね。


 また俺のせいで。


 そうならないために、いくらか努力はしています。


 ですが、仲良くなればなるほど、怖いです。


 体調を崩したら、俺のせい。


 休んだら、俺のせい。


 俺のせいでまた。


 これはたぁくんのせいじゃない。


 もう二度と同じことはしない。


 分からなくても、それなりに対応する。


 これは自分への鎖。


 それほど大きな罪だったんです。


 俺が苦しむのは当たり前。


 俺がたぁくんを想うのも、好きだから当たり前。


 たぁくん、ありがとうございます。






 


 

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