第18話

 裏切り坊主から先ほどのことについて話は聞いた。裏切り坊主の能力でサクラちゃんを操ったとのこと。なぜサクラちゃんなのか。それは僕に一番の精神的ダメージを与えられるからとのこと。そして最後に僕たちは裏切り坊主に地獄の神を倒すべく協力をお願いした。

「へぇ、この裏切り坊主に地獄の神を倒すお願いかい? やめておけ、奴は強すぎる」

 しかし、僕には考えがある。

「でも、地獄の神と魔王を倒さなければ僕たちは一生このままだ。裏切り坊主、ぜひ協力してほしい」

「はあ……、聞いたか? 出てこい」裏切り坊主がそう言って姿を現したのは、残りの坊主四天王たち。不死身坊主、魔界坊主、処刑坊主。さすがに殺気が強すぎる。今は話を進めないと。

「坊主四天王? 私はあなたたちに協力してほしいのよ? お願いします!」サクラちゃんが頭を下げる。僕とお坊さんも頭を下げた。

 ここはお願いをするしかなかった。ニワトリ人間や不死鳥では限界があるから。ここで交渉決裂になれば、誰も元の世界に戻れない。僕は心の底から願った。

「わかった、この四天王の力を地獄の神と魔王に知らしめてやろう」不死身坊主が答えてくれた。

「そして、地獄は私のものにしよう」魔界坊主が笑みを浮かべて言う。

「決まりだな、この処刑坊主も協力しよう。裏切り坊主、どうする?」

「協力しよう」

 その言葉に僕とサクラちゃんは笑顔になる。これで安心だ。でも、お坊さんの表情は厳しかった。

「どうしたの? お坊さん?」

「ケンタくん、みんな、来るぞ‼️」お坊さんは身構えた。すると辺りは真っ赤な世界になった。おびただしい数の異形の怪物の大軍。僕たちは囲まれている。

 僕、サクラちゃん、お坊さん、裏切り坊主、不死身坊主、魔界坊主、処刑坊主、みんなが構えた。そしてニワトリ人間たちと不死鳥たちも駆けつける。しかし、敵の大軍は圧倒的に多かった。

「みんな、生きて帰ろう‼️」お坊さんが叫んだと同時に怪物は迫ってきた。

 僕は短刀で怪物を一匹ずつ仕留める。よく怪物を見ると全身が触手のようなもので覆われている。サクラちゃんは不死鳥に乗って上空から炎を吐かして怪物を焼く。辺りは焦げた匂いでいっぱいだ。

 お坊さんはスピードを武器に怪物の大軍に切り込んでいく。怪物は動きは速くはなかった。そして、ニワトリ人間たちも団結して松明で怪物を殴っている。

 坊主四天王はお経を唱えて戦場の怪物の大軍の息の根を止めている。僕たちが集結してまさに無敵と言った感じだった。怪物の大軍はみるみるうちに全滅した。あっけなかった。そして、風景は再び地獄のところに戻った。

 するとあの声が聞こえた。

『お前たちは余の邪魔をするのか? ならばこの魔王である余が直々に相手をしてやろう』声は全員に聞こえていたようだった。そして、目の前に一瞬で巨人が現れる。なんて大きいのだ。その巨人は黒い服を着ている。口からは血のようなものが垂れていた。

「ケンタくん、サクラちゃん、下がってください。私と坊主四天王が魔王の相手になります」そうお坊さんは言った。

 そして五人は魔王を囲む形の陣形をとった。それからお経を唱え始める。魔王は苦しんでいる。何かがおかしい。戦闘が楽すぎる。

「ケンタくん‼️ 今です! 短刀で魔王を刺してください!」お坊さんにそう言われて僕は魔王に短刀で刺した。あれ? 目の前が部屋の一室になったぞ? どういうわけだ? 見回すとサクラちゃんとお坊さんしか居ない。あれ? 何が起こった?

「ケンタくん、これは魔王の罠にはまってしまったようだ。この部屋は密室のようです」お坊さんが部屋を調べながらそう言った。

「えっと、つまりはここはどこです?」

「わからない……」

 サクラちゃんは不安からか泣き始める。僕は開かないドアをじっと見つめる。さて、ここはどこなのだろうか。しばらくは何も起こらない。時間が流れているのかもわからない。僕も不安に感じた時、そのドアが開かれた。

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