第16話

 けれども、ニワトリ人間たちが敵なのはどういうわけなんだ? それにしても、戦えるのは僕だけのようだった。サクラちゃんも一応拳を構えているが体格差がある。お坊さんも本来は戦いに向いていない。わかった、僕ひとりで戦えるだけ戦おうか。

「ニワトリ人間たち、戦うなら僕だけにしろ!」

 ニワトリ人間たちは理解したのか一斉に僕を見た。短刀を僕は握り直す。そしてニワトリ人間の群れに僕は突撃した。なるべく短刀で刺さないようにはする。小柄な僕はスピードと攻撃の手数で優勢に立つ。ニワトリ人間のひとりずつを難なく倒していく僕。ニワトリ人間はどんどん増える一方だ。わかっている、捕まらなければこちらの有利だ。一回のミスも許されない。

 汗が滝のように出てくる。やはり夏は暑い。ニワトリ人間たちも汗は流しているようだった。すると、空には不死鳥が襲来する。炎を吐いて来る。ちょっとずつ僕は状況を押され始める。ニワトリ人間も段々余裕のある動きで間合いを取り始める。不死鳥の炎は周囲を焼いている。その時、僕はニワトリ人間に腕を捕まれてしまった。なんてことだ‼️

 ずらりとニワトリ人間たちに囲まれてしまった。小柄な僕は捕まれた腕を振りほどけない。もはやここまでか。その時、お経を唱える声がした。誰だ? お坊さんの声ではない。聞き覚えがある。もしかして!

「ケンタよ、私を覚えているか? 私の名は裏切り坊主。そこで終わるつもりか?」

 ニワトリ人間たちが声のする方を見るより先にニワトリ人間たちは吹き飛んだ。どういうわけだ? 裏切り坊主が味方になったのか? 裏切り坊主が不気味な笑みを浮かべている。どういうわけか、どうやら三つ巴の戦いになりそうだ。

「ケンタよ、ニワトリ人間が敵になっている理由を教えてやろう。それは地獄の神が時間を操っているからなのだ。つまり、私も蘇った。さあ、楽しい戦いの始まりだ」

 僕は裏切り坊主にめがけてダッシュする。短刀を握り直して正確に狙いを定める。しかし、ニワトリ人間が割って入る。僕は跳んでニワトリ人間を越えて裏切り坊主の頭上に舞う。裏切り坊主は喝と唱えた。僕とニワトリ人間は吹き飛んだ。ああ、そう言えばこういうことがあったよ!

 僕は上手く受け身を取りながら体勢を立て直した。しかし、ニワトリ人間たちに囲まれている。もういいや、短刀で斬るしかない。僕はニワトリ人間がひとりずつ四方八方から迫って来るのを倒していく。裏切り坊主が外からニワトリ人間たちをなぎ倒して来る。僕は再び裏切り坊主に向かってダッシュした。僕が刺そうとした短刀は裏切り坊主にガードでかわされる。ニワトリ人間も裏切り坊主に殴りかかった。けれども、裏切り坊主はひょいと避ける。そのニワトリ人間に僕は短刀で斬った。今回の三つ巴の戦いはどんどん泥沼にはまっていく。段々、誰が誰を相手にしているのかわからなくなっている。

 サクラちゃんが僕の背後に背中合わせで立っているようだった。こうなったら背水の陣になる。僕とサクラちゃんは背中合わせでニワトリ人間たちを相手に戦うことになった。短刀はサクラちゃんに渡した。僕は素手でニワトリ人間を迎え撃つ。どうやらサクラちゃんは短刀でニワトリ人間を斬っているらしい。裏切り坊主が僕の目の前に向かって来る。その裏切り坊主の後頭部をニワトリ人間が松明で殴る。しかし、裏切り坊主は倒れずに背後のニワトリ人間に喝と唱えて吹き飛ばした。もう状況を把握しきれない。不死鳥が僕とサクラちゃんと裏切り坊主に向かって炎を吐いた。三人とも避けた。

「裏切り坊主‼️ 戦うなら私と戦え‼️」お坊さんが裏切り坊主に向かって叫んだ。

「ふん、ケンタの味方のわけのようだな? いいだろう、戦おうか!」裏切り坊主は超スビードでお坊さんめがけて突進する。なんと、お坊さんはそれをかわして裏切り坊主の背後に立ち殴りかかった。しかし、裏切り坊主もバク転でかわしてお坊さんの背後に立つ。お坊さんと裏切り坊主の背後の取り合いはスビードが速すぎた。そして、お坊さんと裏切り坊主が同時に喝と唱えて両者が吹き飛んだ。

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