第13話

 お母さんとのちゃんとした再会に僕は色々話したかったことを話せた。サクラちゃんとの二人だけの冒険のことや、町を救うために今は地獄に来ていること。いっぱいいっぱい話せた。お母さんは笑顔で僕の頭を撫でる。抱きしめてもらえた時には僕はこれからも頑張ろうと思った。そして、お母さんは不死鳥に乗って町へと帰って行った。さあ、まだ地獄は続く。

 僕、サクラちゃん、ニワトリ人間たちで道を急ぐ。松明で黒い人影たちを倒しながら進む。黒い十字架はいったいなんなのだろうと見るたびに思った。サクラちゃんが指をさした。ああ、見覚えがある。魔界坊主がこちらに向かって来る。その後ろにはゾンビがぞろぞろといる。軽く数千体はいるのではなかろうか? 僕は松明を力強く握る。

「ケンタよ、提案がある。手を共に取り合って共存せぬか? なに、悪い話ではない。この魔界坊主のお願いだ」魔界坊主はどうやら心理戦に持ち込む気だ。僕はサクラちゃんを見る。サクラちゃんは首を横に振る。ニワトリ人間を見る。不死鳥に何人かが変身している。どうやら戦うしかないようだ。

「僕はお前と戦う!」

「そうか、残念だ」

 僕は魔界坊主に飛びかかった。魔界坊主がガードで松明を受けきる。サクラちゃんが不死鳥に乗ってゾンビの群れに向かって飛ぶ。ニワトリ人間たちもゾンビたちと戦う。魔界坊主との全面戦争となった。僕は魔界坊主と攻撃の応酬になる。僕と魔界坊主を囲う形でニワトリ人間がゾンビと殴り合いになっている。サクラちゃんは不死鳥を操ってゾンビの群れに炎を吐かしていた。

「ケンタ、なぜ戦う?」

「町を救うためにだ‼️」

 魔界坊主が姿を変える。みるみるうちに牛のような二足歩行の大きな怪物となった。さすがに僕は圧倒される。しかし、戦うしかない。怪物は拳を振り上げる。僕はその隙を狙って怪物の顔面に飛びかかって松明で殴った。ぶおお‼️ 怪物は顔をおさえて痛がる。僕はさらに怪物のすねを何度も殴った。怪物はよろよろになる。僕は周りを見渡した。ニワトリ人間の群れが新たに加勢してくれたようだった。ゾンビたち相手に善戦している。サクラちゃんと不死鳥も複数で空から援護攻撃している。明らかにこちらに有利だった。

 しかし、怪物が紫の炎をゾンビの群れに吐いた。するとゾンビの体格がゴツくなって、凶暴にニワトリ人間たちに攻撃を始めた。これは危ないとわかった僕は怪物に追加攻撃を仕掛けた。けれども、怪物は紫の炎を吐くのをやめない。どんどんゾンビが凶暴になる。ゾンビはジャンプをして不死鳥に襲い掛かり始めた。形勢は逆転する。一気に僕の方へもゾンビが走って襲い掛かって来る。僕は必死に攻撃をかわした。反撃もしたが、全くびくともしない。どうしよう、これはピンチになった。サクラちゃんの悲鳴が聞こえた。遠くを見ると不死鳥に乗ったサクラちゃんにゾンビが襲い掛かっている。不死鳥が墜落している。サクラちゃんの不死鳥にもゾンビが何体もぶら下がっている。サクラちゃんはその上で恐怖に襲われている。僕はサクラちゃん目掛けて走った。ゾンビを猛烈にかわしながら駆ける。僕は思いっきりジャンプをして手を伸ばした。サクラちゃんも手を伸ばした。あともう少しと言うところでサクラちゃんはゾンビに捕まってしまう。しかし、僕はそんなのお構いなしにゾンビたちに徹底抗戦する。なんとしてもサクラちゃんを助けなきゃ。僕は一心不乱にゾンビたちを相手にする。今の僕は凶暴なゾンビたちの攻撃や間合い等が全て把握出来ている。スピードでゾンビたちを圧倒する。しかし、ゾンビの群れは一向に減らない。もはや敗北は時間の問題だった。

 その時だった。

 光が辺りを包んだ。ああ、こんなことが前にあった。ゾンビたちはのたうち回っている。サクラちゃんは解放された。しかし、怪物はなかなか倒れない。みるみるうちに怪物は魔界坊主に姿を戻した。そして、魔界坊主はこう言った。

「いいか、ケンタ? お前は決して町に戻れぬ」と。そして魔界坊主も倒れた。僕は一気に力と腰が抜けた。サクラちゃんに抱き抱えられる。ニワトリ人間たちと不死鳥たちはなんとか体勢を立て直している。今回は激戦のようだった。

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