第5話
次第に辺りは暗くなっていった。今回は心細くない。サクラちゃんの表情もよく見えないけど、僕の気分はだいぶ違った。今夜こそはニワトリ人間と決着をつけたい。いや、待てよ? ニワトリが変身する前にどうにかしたらいいんじゃないか?
そして二羽のニワトリがやって来た。サクラちゃんにここで見ておいてと言って僕は飛び出した。ニワトリはこちらに気付く。すると、二羽のニワトリがみるみる内に大きくなった。僕は失敗をした。なぜ二羽とも大きくなったのか?
「サクラちゃん! 逃げよう!」僕の大声を聞いたニワトリ人間たちも走る。僕とサクラちゃんは逃げる。なんてことだ! そうだ! 交番へ逃げよう!
僕はサクラちゃんに交番へ行くことを伝えた。僕たちは走って逃げる。しかし、片方のニワトリ人間が頭上を軽々と飛び越えて僕たちの目の前に立ちはだかる。挟まれてしまった。
サクラちゃんはしゃがみ込んでしまう。僕はというと必死にこの場をしのぐことを考えた。けれども、ニワトリ人間がひとりだとしてもクラスメイトたちが勝てなかった。ましてや今回はニワトリ人間が二人。絶体絶命だった。
「オ札ハ、ドコニヤッタ?」
なんだって? お札? やはりそうか。
「わかった、今から案内するよ」僕は素直に渡すことにした。サクラちゃんが首を横に振っている。背に腹はかえられぬ。仕方がない。
僕とサクラちゃんはニワトリ人間たちを案内する。どうしてお札を移動させたことがわかったんだ? やはりコイツらは何かの妖怪か? 夜道が不気味に静まり返っている。
「どうして、ニワトリを焼くんだ?」この問いにニワトリ人間たちは何も言わない。そうかい。それならこちらにも考えがあるよ。小学校に到着した。
「六年生の教室にお札はある! 取ってこい!」僕の大声を聞いたニワトリ人間たちは真っ先に校内に走って行った。そして、僕も校内のとある場所に急いだ。
「ケンタくん! どこに行くの?」
「理科室だよ! 油と火でアイツらを燃やすんだ!」
僕たちは理科室で材料を揃える。よし、あとはアイツらを見つけだすだけだ!
僕とサクラちゃんは六年生の教室に到着した。ニワトリ人間がひとり居た。そして教室に入るなりドアがバタンと閉まってしまった。それから廊下から火の手が上がった。なんてことだ!
ニワトリ人間ひとりと、僕とサクラちゃんの対決のようだ。ニワトリ人間が僕めがけて走る。僕はイスを手当たり次第投げつけた。サクラちゃんは固まってしまっている。戦わねばならない。ここで倒れたらみんなに申し訳なかった。
火の手が教室に入ってくる。サクラちゃんもイスを持ってニワトリ人間に応戦する。なかなかいい感じだ。あのニワトリ人間に勝てている。しかし、窓ガラスを勢いよく蹴破ってもうひとりのニワトリ人間も入って来た。その瞬間に僕は首根っこをニワトリ人間に掴まえられてしまった。苦しい! 声が出せない! サクラちゃんも捕まっていた。そして意識が遠のいていった。
ここはどこだろう? お花畑だ。しかし、この世のものではない景色だ。横にはサクラちゃんが居た。とりあえず、僕たちは歩いた。けれども、どこまでもお花畑だ。ここはあの世ではないのか? すると向こうからニワトリがいっぱいやって来た。そしてみるみる内に人の形になっていった。しかし、襲ってこない。顔は見えないけど、ニワトリ人間たちは手をさしのべてきた。僕は手を繋ごうとした。しかし、サクラちゃんがそれを止める。
そこで目が覚める。今は朝だ。玄関から外に出る。サクラちゃんが立っている。やはり他の人たちは居ない。途方に暮れる。どうしたらいいのだろうか? そうだ。お札はどうなった? 学校をくまなく探したけど、お札は見つからない。サクラちゃんは泣いていた。お札を取られて悔しいと。僕も無念だ。しかし、まだ手掛かりはある。あの神社だ。謎を解くには神社を調べないといけない。
僕とサクラちゃんの戦いは終わっていない。
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