第4話
神社のニワトリの死体、学校のニワトリが焼かれる、これらに何か関係はあるか僕とサクラちゃんは話し合った。しかし、神社のニワトリが殺されたとするなら、普通は人間が仕返しで殺される、ではないかということでニワトリの呪い説はなくなった。
他にも仮説を立ててみたはいいものの、どれもイマイチ関連付けが難しかった。神社の死体はニワトリ、学校の死体もニワトリ。それから僕とサクラちゃんは、とある仮説を立てる。それはニワトリに何かの恨みを持つ者による犯行。しかし、神社のニワトリは自然死のような感じであったため、それもないかとなった。
ひとつだけ気になる点があった。神社のニワトリはいつ死んだのかと。サクラちゃんと話し合って夜中の神社に忍び込もうかとなった。
「私はイヤよ? ケンタくんひとりで行ってきてちょうだい」
「どうして?」
「怖いから」
そうかなぁ? 探検気分で面白いと思うけどなぁ。そうして僕はひとりで夜中の神社にやって来た。かなり怖い。鳥居の前に立ち尽くす。あーあ、なんで僕がこんなことを……。
すると、道端の草むらがガサガサとなった。僕は泣きそうになる。でも、謎を解かなくてはならない。僕は勇気を振り絞って一歩を踏み出した。
夜中の神社って不気味に静まり返っている。なんて言うか、もしもこの世に異世界があるとするならまさにこのことだ。神社の裏庭に着いた。そして木の影に隠れてみる。けれども、いくら待とうが何も現れない。時間だけが過ぎる。
すると、何かが姿を現した。よく目をこらして見る。どうやら二羽のニワトリだ。コケ、コケ、と小さく鳴きながらうろうろしている。僕は身構えた。そろそろ何かが起きるのだろうと。
予想外のことが起こる。目の前で片方のニワトリがみるみる内に大きくなった。僕は悲鳴を必死に抑えた。そして、そのニワトリは人のような形になった。それともう片方のニワトリは地面に倒れた。僕は今見た光景が信じられなかった。息を殺してその場から離れようとする。その時に、大きくなったニワトリ人間と目が合ってしまう。
「見タナ? オ前ヲ焼イテヤル」冗談じゃない。僕は一気に神社の外へ逃げ出した。振り向いてみる。あのニワトリ人間は追いかけてくる。その手には松明があった。そうか、そうだったんだ! 学校でクラスメイトを襲った人って、このニワトリ人間だったんだ!
とりあえず今は逃げよう。住宅街を必死で走った。しかし、ニワトリ人間は追いかけてくる。僕は悲鳴にならない悲鳴をあげる。もうダメだ。追いつかれる!
目の前に交番が見えた。僕は最後の力を振り絞って駆け込んだ。誰も居ない。しかし、ニワトリ人間はどこかに消えていた。
僕は息が絶え絶えで泣いていた。ひたすら泣いた。でも誰も現れない。そのまま僕は眠ってしまった。
目が覚めるとベッドの中に居た。どうやら自宅のようだ。僕は玄関から外に出る。朝だ。サクラちゃんがいつも通りに立っている。あれ? 夢だったの? 僕はホッとした。
「ケンタくん、聞いて。どうやら街の人が居ないようなの」なんだって? 僕たちだけなの?
僕とサクラちゃんは学校に登校する。誰も居ない。町を散歩してみた、やはり誰も居ない。そしてサクラちゃんに事の始終を話した。サクラちゃんは何も言わない。僕も黙り込んでしまう。
どうしたらいいのだろう。僕とサクラちゃんだけでは何も出来ない。誰も居ない町をひたすら歩く。そうして僕たちはひとつの決定をする。
「サクラちゃん、こうなったらニワトリ人間と戦おう。そして全ての謎を解かなくてはならない」
「いいけど、情報が少ない。もう少しだけ調べないと」
僕とサクラちゃんは学校のニワトリ小屋に向かった。ニワトリは無事だった。それと小屋に何かないかとよく調べてみる。するとニワトリ小屋の天井に何かが貼ってあった。お札のようだ。それを取って開いてみる。何かの絵が書いてある。僕とサクラちゃんは顔を見合わせた。
「何これ? サクラちゃん、わかる?」
「わからないけど、どうやらそのお札にニワトリ人間がやってくるんじゃないの?」
二人で話し合った結果、このお札を移動させることにした。場所は学校の中に。とりあえず、僕とサクラちゃんの教室にした。それから、時計を確認する。今は夕方の六時半。そこから離れて二人一緒に行動する。あの神社に向かった。これより、ニワトリ人間と戦闘になるかもしれない。僕とサクラちゃんは身構えていた。
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