九、春(前編)

九、春(前編)


 春は花、桜を観ながら、走るもよし。



 暖かくなってきて、いよいよ春です。まだまだ肌寒いですが、封印を解いてバイクに乗りましょう。

 とは言っても、ガンガンギュンギュン走るのではなく、しんみりと春を感じながら古都をゆっくり走ります。


 えーっと、バイクですが、今日はバイクで走れない所も通りますから、何がいいですかね。


「おいっ。『バイクちょい乗り』と言っておきながら、何と言う事だ!」


 と、お叱りを受けるかも知れませんね。でも今日のコースは、一部「自転車および歩行者専用」の道を通ります。そこだけはバイクを押して進みたいのです。迂回する事も可能ですが、それでは味気ないですからね。


 と言うのは、今日は京都を流れる「琵琶湖疏水」沿いに走るコースをご紹介です。

 この琵琶湖疏水は、滋賀県は琵琶湖の三井寺付近から取水し、山科、東山を越え、南禅寺近くの蹴上に流れて来ます。そこから二つに分水し、一つは鴨川の脇を流れて伏見で宇治川へ注ぐ「鴨川運河」です。

 もう一つは、蹴上から北上し、高野川や賀茂川を越え、堀川通り脇の堀川に注ぎ、二条城の脇を流れて行きます。これは「白川疎水(琵琶湖疎水分線)」と呼ばれてます。


 川を越える疎水。凄くないですか?


 まぁ、それはバイクと関係無いですが、その白川疎水分線沿いには沢山の桜が植えられており、今日はその桜のトンネルをくぐりながら走りたいと思います。

 京都の地図を見ると、大抵は碁盤の目の様に道が通ってます。それでも、所々斜めに通ってるのは昔の街道と、この疎水の両脇の道です。


 で、バイクですが……、取り回しや押しても楽な、しかも加速も期待できる125cc、タイヤの小さなカワサキのZ125PROにしましょう。ホンダのMonkey125でもいいですね。Z125PROだと二人乗り出来るので、彼女と一緒でもいいかも? ナンチャッテ!


 集合場所は、出町柳駅の直ぐ西、高野川と賀茂川の合流地点の「京都府立鴨川公園(左京区下鴨宮河町)」。通称「鴨川デルタ」がいいですね。映画の舞台にもなりましたね。

 ここからの桜の眺めも素晴らしいですよ。


 集合時間はね、平日の10時にしましょう。


 何で平日?


 実は、「自転車および歩行者専用」以外にも、「土曜、日曜、休日」通行禁止の所を通るからです。あはは。

 まぁ、休日は観光客も多いからね。


 長くなりました。それでは出発しましょう!!

 今日は、ほぼほぼ続く桜の景色と、「万里の長城に勝るとも劣らない構造物」と私が勝手に思っているだけの「琵琶湖疏水」のお話しと共に進めますね。

 では、発車です。


 まずは河合橋を渡って右折。右手に桜並木を見ながら川端通りを南下です。

 今出川通り、丸太町通りを越えたら、次の交差点を左折して冷泉通りに入ります。左手に見える川は疎水です。因みにこの疎水は、冷泉通りから鴨川にそって「鴨川運河」になります。途中、地下に潜り(暗渠化)、川端通りの塩小路橋の辺りから、再び地上に出てきます。


 冷泉通りを東へ進むと、小さなダム(夷川ダム)があります。ここは大正3年に出来た夷川発電所です。300kwの小規模な発電所ですが、今も現役の発電所です。

 疎水に沿って進みましょう。東山通りを越えて暫く行くと右に曲がります。突き当りの仁王門通りで左折します。

 「みやこめっせ」、「国立近代美術館」、「京都市美術館」、「京都市動物園」を対岸に見ながら、桜の風景の中を進みます。この通りって、観光シーズンは結構渋滞しますので、気を付けて走って下さい。


 少し右に曲がった所の南禅寺前交差点を左折して、南禅寺の方へ進みます。

 道の両脇には、何故か「湯豆腐屋さん」が多いですね。私は入った事はありませんが、美味しいのでしょうか? いつも観光客でいっぱいです。


 中門をくぐって左折です。この鹿ヶ谷通りの脇に、「参拝者用駐輪場」がありますので、南禅寺参拝や、今日のメイン「白川疎水分線」の「水路閣」を見学に行くのなら、ここへ停められます。近くにトイレもありますよ。


 50m程北へ進んだら、「摩利支天堂・永観堂・銀閣寺・道→」と言う石碑がある所を右折して白い壁に沿って鹿ヶ谷通りを進みます。少し左に曲がり、門を通ったら小さな橋を渡ります。

 この川は、南禅寺の裏山にある扇ダム(遊水地)から流れてます。要するに、疎水からオーバーフローした水が流れるんですね。洪水対策でしょうか?


 橋を越え、高校の横を進みます。この高校は、全国レベルのスポーツも盛んですが、イラストレーターのみうらじゅんや、お笑い芸人「TIM」のレッド吉田が在籍してましたね。


 更に進み、禅林寺(永観堂)の山門を過ぎたら次の十字路を右折し、冷泉通りを200m弱進むと、石畳の橋に着きます。この下が白川疎水(琵琶湖疏水分線)です。


 右手に見える建物は、「松ヶ崎浄水場若王子取水池」です。昔は、白川疎水の水を高野川西岸の松ヶ崎浄水場で取水してたのですが、今はここから導水管で地下を通り、松ヶ崎まで水を送っているらしいです。水質汚染対策でしょうか?


 さて、ここから白川疎水に沿って進みましょう。

 このルートは、言わずと知れた「哲学の道」です。哲学者・西田幾多郎など、多くの文人達が思案しながら歩いた道とされてます。この道には沢山の桜の木が植えられ、春は観光客で賑わいます。

 この桜、一説には日本画家の橋本関雪夫婦に拠って、疎水の管理道路脇に植えられたのが初めとされてます。それがどんどんと増え、今では桜の名所になってますね。

 因みに、秋の紅葉シーズンも観光客で溢れかえります。


 では、桜のトンネルを見ながら、疎水の左岸を進みましょう。


 ちょっと待って!


 ここから650m(約10分)は、「自転車および歩行者専用」道路です。橋で言うと9本目、向こう岸に「哲学カフェ」が見える所まで、エンジンを止め、バイクを押して行きましょう。


「バイクちょい乗りの癖に、なんて事をやらすんだ!」


 と、お怒りになるかも知れませんが、そこはゆっくりと桜を楽しみながら歩きましょうね。(すいませんです)

 面倒臭い人は、さっきの鹿ヶ谷通りまで戻れば、迂回出来ます。


(前編終わり。つづく)




※走行データ (京都市左京区)


①京都府立鴨川公園(下鴨宮河町)-南禅寺(南禅寺福地町) 3.9km

②南禅寺-カフェ(鹿ケ谷寺ノ前町)            1.4km


小計 5.3km



【参考】Googleマップ


①京都府立鴨川公園(下鴨宮河町)-南禅寺(南禅寺福地町)

https://www.google.co.jp/maps/dir/35.0305688,135.7717686/35.0113892,135.7917205/@35.0206651,135.7774928,15.5z/data=!4m2!4m1!3e0?hl=ja&authuser=0


②南禅寺-カフェ(鹿ケ谷寺ノ前町)

https://www.google.co.jp/maps/dir/35.0113937,135.7917149/35.0207688,135.793958/@35.0153884,135.7885433,16.35z/data=!4m14!4m13!1m10!3m4!1m2!1d135.7956713!2d35.0153823!3s0x60010918b09c6995:0xdef7fd8639d24d54!3m4!1m2!1d135.7942486!2d35.0191734!3s0x6001091c05091f49:0xe43b2ed38c903cff!1m0!3e2?hl=ja&authuser=0

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