八、冬
冬はバイクに乗りたくない。でも、新雪が積もった朝は気持ちよし。
冬は正直、寒くてバイクには乗りたくないですね。バッテリーを外し、エンジンオイルを一杯にして「封印」される方も居られるかも知れませんね。
しかーし、そこは敢えてバイクに乗る!
しかも今日は雪道を走ります。えへへ。
だから余りオススメは出来ません。
私は雪国育ちなので雪には慣れてます。雪が降ると新幹線も徐行したり、止まったりする所。ご存知の方は大体どの辺りか想像が出来ますよね。そこで中学時代を過ごしました。ペダルが埋まるほど積もった雪の中を自転車で通学してました。
大学生の時は、その滋賀県北部から京都まで(当時で120km位)、雪の日もバイクで通ってました。しかも鯖街道・通称「途中越」という国道477号線を通り、標高400m程の途中峠の急登を毎日越えてました。殆どの車が雪でスタックし登るのに苦労してる横を、ホンダのVFR400R(NC24)で追い越して行きましたね。
ちょっとしたコツがあるんですよ。スリップしない、スタックしない、こけないコツです。オフロードバイクでダートトラックのマネごとをしたり、モトクロスのレースにも出てたので、それの応用ですかね。
でも今回はそんな無茶はしませんよー。雪の上を大人しく走るだけです。淡々と……。(それでも無茶かなぁ?)
それでは、雪が積もった2月の寒い京都へご案内します。
立春を過ぎたのに、昨夜から突如、猛烈に降ってきた雪は夜半過ぎには小降りへと変わり、未明には完全に止みました。「新雪踏走会」にはモッテコイの条件です。
まだ夜も明けぬ暗い5時に出発です。星が輝いてます。まだ夜? ですね。
流石に雪が積もってる早朝に一緒に走ってくれる人は居ませんので、今日は一人で走ります。
従って集合場所もありません。下宿の近くの修学院離宮前からスタートです。
バイクは、何にしましょう? って決まってますが……。
今日は新雪の上をポコポコと走るだけですから、ホンダの
もし雪で滑っても、足つき性はいいし、軽いですから身体で支えられます。だからまずコケることはありませんよ。万が一、コケたとしても大した事は無いですからね。
完璧な防寒対策をして、暖機運転をします。まだ道路は誰も走ってません。いいですねー。
もし車が走ってしまうと、雪の
10センチから15センチ程積もってる修学院離宮道を、西に向かって下ります。急なアクセルワークは禁物です。後輪が滑り出します。まぁ、カウンターを当てればいいんですが、折角の新雪です。誰も踏んでない所を楽しみながらゆっくり進みましょう。時速20キロ程です。
まだ新聞配達の方も走ってません。これはラッキーです。誰も走ってない新雪の上を一番初めに走るのは気持ちがいいです。
木の梢に積もってた雪が風で落ちてきました。びっくりしましたが、急ブレーキも禁物です。フロントタイヤがあらぬ方向へ滑り、転倒の危険があります。減速は早めに。
まだ暗い道をヘッドライトを頼りに走り、白川通りの交差点で止まります。まだ信号は点滅です。早めにエンジンブレーキで減速し、徐々にブレーキを掛けます。
流石に白川通りは車が走った跡があります。早い人は居るもんですね。
因みに、お笑いコンビ「チュートリアル」の徳井さんの実家はこの辺らしいです。
白川通りを横断し、まっすぐ進みます。急な下り坂ですからスピードの出し過ぎはヤバいです。この先に叡山電鉄の踏切があります。
線路を越える時は、線路に対して直角に進入します。そうしないと、鉄(線路)の上で滑ります。確実に滑ります。転倒まで行かなくても、かなりビビりますよ。
踏切を越えたら岩倉から来た道と合流し、次に北山通りを横断します。なんとまだ北山通りは誰も走っていません。なので轍を気にする事も無く、そのまま一方通行の道を南下します。
北山通りを越えると、少し雪の量が減ってきました。
京都は東西に走る通りを1本越える毎に雪の量が変化します。例えば、南から帰って来ると、四条通りでは雨だったのが、御池通りを越えるとみぞれになり、丸太町通りを過ぎると雪になります。今出川通りから路面が白くなり、北大路通り辺りは1センチ程積もってます。それが北山通りを越えると3センチになり、岩倉の宝ヶ池通りでは5センチを越える積雪になってた事がありました。当然、大原では大雪ですね。
今回は逆に南下しますので、積雪量は減ってきます。それでも油断せずに行きましょう。
幾つかの通りを横断し、道なりに暫く細い道を走ります。曼殊院道を越えた左手に「赤の宮神社」と呼んでる小さな神社があります。こんなに朝早いのに、この辺りには人が歩いた跡があります。小さな神社と言っても、下鴨神社の摂社です。既にお参りをした人が居るんでしょうか?
それから白川疎水通りを越え、北大路通りに面した交番の横に出ます。なんと、北大路通りもまだ車は通っていません。真っ更な雪が街灯に照らされてます。幻想的でいい風景です。
北大路通りを越えて更に南下し、住宅街の中をゆっくりと走ります。住宅の電気は点いてませんね。皆まだ寝てるのでしょう。
ここまで来ると、積雪は3センチ有るか無いかです。住宅街をポコポコと進むと、御蔭通りのT字路に出ます。右に曲がると下鴨神社ですが、左へ進みます。するとさっき越えた叡山電鉄の線路をまた越えます。そして東大路通まで進みます。
信号で停まってると、ガチャガチャとした音が左から聞こえてきます。チェーンを付けたタクシーが通過する音でした。雪の日の「音」の定番ですね。
車の通った跡は黒いアスファルトが見えます。ですので、新雪の御蔭通りを東へ進みます。
御蔭通りを少し行くと路面を走った跡がありました。黒い線が2本なので自転車かバイクでしょう。それならば……、そのタイヤの跡を追ってみましょう。
黒い線は白川疎水通りで左に曲がっていますので、私も左折します。
おっと!
左折した所に新聞配達のカブが走っているではないですか。両足を投げ出し、コケない様にしながらゆっくり走ってます。雪道にかなりビビってる様子です。これ位、どうって事は無いのですが、慣れていないのでしょう。ならば追い越しましょう。一気に加速ー!
追い越せば新雪です。ああ、気持ちいい。
そのまま新雪の白川疎水通りを進みます。北大路通りの一本手前で右折です。橋の上は凍っていて余計に滑りやすいですから要注意。慎重に曲がります。
少し空が青くなって来ました。目の前に見える比叡山の雪を被った白い稜線がはっきりと見えてきました。それにこの一乗寺道は誰も走ってません。なんとも不思議な光景です。
私はバイクを停めました。エンジンを切ると、とても静かです。車の走る音も無いし、小さな雑音は雪が吸音材になって吸収してくれます。ほぼ無音と言っていいでしょう。
雪が降った朝、早起きした人だけが味わえる光景です。この空気感が味わいたくて、私はたまに走ります。
写真を撮ったら再始動です。
一乗寺道は少し上り坂になります。
雪道の登りは停まったら終わりです。スリップして動けなくなります。だから止まらない様にスロットルを調整します。開けすぎるとケツが振られてしまいますが、カウンターを当てて進路を調整しましょう。
でも一乗寺道はそんな急な坂では無いので、何も心配はいりません。えへへ。
白川通りの、天下一品総本店の横に出てきます。白川通りはやはり車が走った跡がありますね。では横断しましょう。
一乗寺道(府道104号線)は、白川通り対して少し左斜めに登って行きます。しかも段々と狭くなります。対向車がきたら辛いです。
こちらは停まれても、車が停まれず、私に突っ込んできた事がありました。幸い怪我も破損も無かったですが、
「雪の日に、ノーマルタイヤで走るなや!」
と、腹が立ちましたね。まぁ雪国では無いので仕方が無いです。
無事に狭い所を通り抜けると少し開け、曼殊院道との交差点に出ました。
この交差点の角には松が生えてます。「一乗寺下り松」と言って、ここから比叡山を越えて滋賀へ抜ける古道の起点になってたそうです。
また宮本武蔵が決闘をしたと言う伝説もあります。その石碑も立ってます。武蔵が好きな方は、行ってみては如何でしょうか。
そこから曼殊院道を進みます。この辺からまた積雪量が増えます。でも新雪なのでへっちゃらです。
よく行く銭湯「
住宅街を抜け、音羽川の橋を越えたら修学院離宮道へ戻って来ます。後は右折して帰るだけです。
まだ陽は昇ってませんでしたが……。
あー、腹減ってきた。さっきの「一乗寺下り松」付近まで戻って、牛丼とハイカラうどんを食べてこよ!
如何でしょう。新雪の京都市街地走行は楽しめましたか。な、訳無いですよよねー。今回は完全に自己満足なお話しでした。すんません……。
でも新雪の上を走るって気持ちいいですよー。
ただ、やっぱり雪の上をバイクで走るのは危険です。カブ用のタイヤチェーンも売ってますが(そうそう、昔スノータイヤってのを見つけて、ヤマハのチャッピー50に履かせて雪道を走ってましたなぁ)、十分に気を付けて走っておくれやす。
※走行データ (京都市左京区)
①修学院離宮前(修学院室町)-御蔭通りT字路(高野蓼原町)
3.4km
②御蔭通りT字路-一乗寺下り松(一乗寺花ノ木町)
3.1km
③一乗寺下り松-修学院離宮前
1.4km
合計 7.9km
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