第14話 知恵子!吉子の担任の先生との確執
知恵子は、裏表のない性格である。
それ故に、人に媚びる事はしない。
好き嫌いがハッキリしている。
娘の吉子は、小学生の頃
担任の先生に嫌われる事が多かった。
一年生の頃の担任の先生には
陰湿ないイジメを受けていた。
二年生 三年生の先生は、吉子の長所も
見出して貰えた。
二年生の通知表の所見欄には、黙っているが
芯が、しっかりしていると書かれていた。
吉子は、特に図画工作が苦手であったが
三年生の時の担任の先生が
「立体感のある絵は、苦手だけれど
彼女は、美しく描く事はできる。」と言って貰い、初めて後ろのボードに作品を飾って貰えた。
四年生の時の担任の林先生は、教育に熱意を持っていた。
独身の女性の先生であったが、男勝りな
性分をしていた。
家庭訪問の時に
「吉子ちゃんは、甘えるのが下手みたい。
いつでも、先生に甘えていいんだよ。」と
言って貰えた。
知恵子は、なんて!いい先生なんだろう!と
感じたのだがら…
ある日の事 宿題をやってこない生徒が
多数いることに癇癪を立てた林先生は
「今日、宿題を忘れたものは立ちなさい!
君達は、今後一切 宿題をしなくていい!」と
宣言した。
その事に、数名の保護者が腹を立てて
校長室に乗り込んでいった。
その一番リーダー格だった村野は
なぜか、後々 林先生と仲良くなって
娘の弟の家庭教師迄 お願いする事となる。
ところが、この事がキッカケで
知恵子と担任の林先生の中でわだかまりが
生じる。
林先生は、学校一 厳しい先生と噂されていた。
あろう事か?
五年生のクラス替えでも、林先生が担任となる。
五年生の担任は、持ち上がりなので
小学校の半分が、林先生担任と言うこととなる。
知恵子との確執もあったので
後々、吉子は随分 苦労する事となった。
ある日の事
彫刻刀の授業があった。
林先生は、生徒達に
「絶対怪我しない事!一日でも怪我したら
全員、彫刻刀の授業を中心するからね!」と
プレッシャーを欠けた。
それなのに、吉子が怪我をして血を流してしまった。
すぐさま、保健室に連れて行って貰い手当して貰う。
林先生は、皆んなに迷惑をかけておきながら
謝らなかった吉子を攻めるのであった。
「吉子ちゃんの血を雑巾で拭いてもらったんやで。それなのに、なぜお礼言わないの?」と…
吉子は、自分の血に驚いた事で
お礼を言う余裕がなかったのだ。
叱られた時、吉子は口をキュッと閉じて
堪えた。
その堪える姿が、反抗しているように
誤解されたのだった。
林先生からすると、余計に憎たらしく感じた。
でも、実際は「私が悪いんやから耐えなきゃ。」と思った。
吉子は、父母に学校での嫌な事は話した事はなかった。
「吉子、ちゃんと学校でやってるんか?」と
知恵子から聞かれると
「うん。この頃 授業よく聞いてるねって
褒められたよ。」と嘘を付いた。
ところが、林先生に叱られている夢を見た吉子が
「ごめんね。先生 ごめんね。」とうわ言を言っているのを聞いた知恵子は
先生を家庭に訪問して貰うことにした。
そこで、林先生 昌吉 知恵子
三者面談を行い
吉子のうわ言の事 彫刻刀の出来事など
話し合った。
昌吉は、林先生に念書を書かせた。
吉子は、すごく嫌だった。
なぜなら、自分の欠点を分かっていたからだった。
実は、吉子は自分よりも成績の悪い友達に対しては、偉そうにしていた。
吉子は、授業は上の空 宿題もして来なかったが、それでも成績は真ん中くらいだった。
家でも学校でも怒られてばかりの吉子は
無意識の内に、自分よりも弱い人間に
意地悪をしていたのだ。
いわゆるイケズな一面を持っていた。
そう言うところは、知恵子に似ていた。
知恵子も一見 大人しいがイケズな一面を兼ね備えていたからだ。
吉子は、誰に対しても優しく、先生にも友達にも好かれている剛志とは、真逆の性格だったので余計に知恵子を苛立たせた。
でも、よくよく考えてみると
知恵子と吉子は、似た者同士であった。
一見 大人しく見えるが、芯が強い。
哀しい時、唇を噛み締めて堪える。
音楽の才能があり、文学少女でもある。
違っているのは、知恵子は手先が器用で
吉子は、音楽以外の事は不器用である事だった。
知恵子は、吉子のクラスでは
一切 PTA役員を任される事はなかったが
剛志のクラスでは、毎年のように
PTAの役員を任された。
確執のあった林先生も
なぜか、剛志の事は気に入っていた。
剛志には、人を惹きつける魅力を兼ね備えていた。
人一倍小さいのに頑張っている!
当時流行っていたアニメ
「国松さまのお通りだい」の主人公のような
明るくて正義感が強くて、勉強ができて運動もできて…
実際には、勉強がそこまで優秀ではなかったが、賢く見えたし四年生迄の担任の先生から
贔屓されていた事もあり、満点でなくても
通知表は5が付いていた。
そんな剛志を依怙贔屓する事で
後々、剛志を苦しめる事になろうとは
考えもしなかった。
知恵子の子育て 担任の先生からの理不尽なイジメや、母と先生との確執によって
吉子は、子供時代の挫折が
大人になってから、転んでも転んでも
達磨さんのように、必ず立ち上がる事ができるようになったのである。
一方、褒めて褒めて育てられて来た剛志は
常に石橋を叩いて渡る!
そういう風に育っていく。
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