第11話 知恵子!妹との確執

知恵子には、五人の姉(正式には、六人だった。)と一人の兄と一人の妹がいた。

妹 雪は、知恵子よりも三っつ下で

とても社交的で気が強く末っ子でありながら姉妹の中のリーダー格であった。

そんな妹が羨ましくもあり

疎ましくもあった。

子供の頃からずっと、母 春子は

雪を依怙贔屓していた。

雪は、28歳迄 独身だった。

昭和30年代 40年代の28歳と言えば

オールドミスとか、行かず後家と陰口を言われたものだ。

そんな雪であったが、突然 結婚相手の

三郎を家に連れてきた。

三郎とどんな出会いがあったのか?

誰も知らない。

知恵子の二つ上の兄が、結婚相談所でみつけた相手と結婚していたので

もしかしたら、結婚相談所?と知恵子は感じていたが、真相は定かではない。

三郎は、真面目を絵に描いたような性格であったが、根は反骨で昌吉とは違った面で頑固な一面を備えていた。

とにかく、雪一筋に愛していて

自分の母や姉と雪が揉めた事で

母 姉と一生涯の縁を切ってしまった。


雪は、とても気が強い女性であったが

喫煙者である事を三郎に隠し続けた。

なぜなら、安定した生活を乱す事はしたくなかったからだ。


三郎と雪は、子供が欲しくて

何度も何度も、産婦人科で不妊治療を行うが…

雪が、子宮の病気になってしまった為

子供を持つ事は、一生涯できなかった。

子宮筋腫と言われていたが

後に、三郎が

「実は、子宮癌だった。」と雪に打ち明けた。

それでも、雪は子宮筋腫だと思い込んでいた。

姉達に

「三郎が、実は子宮癌やった。と言ったけど

そんな筈ないわ。」と話した。

母 春子は、娘達の中で雪を一番贔屓していたが、常々

「春子は、雪は子供を産む苦しみを味わっていないから、気が強いんや!と」

と言っていた。

子供を産んでも産まなくても、気の強いものは気が強い。

と言うか?全ての女性は、気の強い生き物だ。

ただ、妹に対して劣等感を持っていた知恵子は無意識ではあるが

子供を授かる事が出来た事に、ある種の優越感を感じていた。


雪とは、仲良くなったり喧嘩をしたり…

繰り返したが、雪夫婦とのある種の確執は

知恵子よりも先に、雪が亡くなる迄続いた。

雪が、三郎に愚痴を言っていたので

雪が亡くなってからは、三郎との確執へと変わっていった。









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