第4話 千恵子!公務員時代

千恵子は、高等女学校を卒業後

大阪の玉造にある旧貯金局

(貯金事務センター)へ就職した。

今と違って、昭和20年代 30年代の頃は

公務員試験の倍率はさほど高くはなかった。

ただ、算盤の級を取る必要はあった。

算盤の級と言っても、三級レベルなので

取得するのに、そんなに困難な訳ではない。

千恵子は、A型の性格そのもので

生真面目で卒なく仕事をこなす事ができる。

字も達筆で美しく、癖がないので

読みやすい。


当時の郵政大臣は、田中角栄。

彼の有能な才覚のお陰で

郵政は、優遇されていて

職場の環境も、当時としては

万全で、働きやすかった。


千恵子は、お給料で文学全集を購入したり

宝塚歌劇団やOSK日本歌劇団の

踊りを見に行ったり、洋画を見に

行ったりした。

当時、沢山のアメリカ映画が日本でも

公開された。

古き良き時代のアメリカ映画は、とても

ロマンチックで、男優が凄く男前で

かっこいい。

グレゴリーペック タイロン パワーや

クラーク ゲーブル…

映画館に行くたびに

「こんなにかっこいい俳優を見た後に

街の日本人男性を見るとがっかりするね。」と自分達の容姿は棚に上げて、そんな

会話をしたものだ。


千恵子は、青春を謳歌していたが…

母 秋は、門限時間に関して かなり

厳しかった。

夕方の19時が門限であった。


平凡で地味な容姿の千恵子であったが

お化粧をし、小綺麗な身なりをする事で

それなりに、可愛らしく見えたりする時も

ある。

ただ、仕事柄、目を酷使する為

視力が下がり、眼鏡を常用する事となる。

そのせいか、性格がキツそうな風貌に

見えた。


ある日、友達と日帰りで遊びに行った時の事

関大のグループと知り合ってボート遊びを

して楽しんだ。

そのグループの一人に、淡い恋心が芽生えたが…

母が門限に厳しかった事も理由の一つで

恋愛に発展する事はなかった。


早くお金を貯めて、結婚すれば

厳しい母から逃れる事ができる!と思って

職場に内緒で、競馬場の馬券売り場の

アルバイトやエキストラのアルバイトをして

お金をを貯めた。


24歳の時に、知人から見合いの話を

持ちかけられた。

昭和30年代の前半の頃

24歳といえば、若干 オールドミス的な

扱いを受ける年齢であった。

そういった時代背景もあって

千恵子は、お見合いする事を決意した。













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