第3話 千恵子!思春期

戦争が終結し、日本の国はアメリカの援助もあって

少しずつ平静を取り戻しつつあった。

中学校では、科目の中に英語も含まれていた。

次女の康子と三女の直子は千恵子と親子程の

年齢差があったので、既に結婚していた。

康子は、戦争未亡人となっていた。

康子の娘、敦子は母親そっくりの性格をしている。

小柄で痩せっぽちで、お喋り!

性悪ではないが、デリカシーに欠ける発言をする。

そんなタイプの娘であった。

直子の旦那の一平は、とても優しい性格で

千恵子は、一平に大層 可愛がって貰った。

四女の和子と千恵子は、勉強が

よくできたので高等女学校へ進学させて貰った。

かの有名な、与謝野晶子と同じ女学校である。

母 秋は、千恵子と相性は悪かったが

勉強ができる千恵子を高等女学校に

進学させる事に関しては、反対しなかった。

学費は、姉達が家に入れているお金から

捻出された。

高等女学校に進学させて貰ったものの

制服を買って貰えなかったので

生地を買ってきて、自分で縫った。


高等女学校二年生の時

千恵子達は、次女の康子と五女の茂美が住む

大阪の生野へ引っ越しした。

生野へ引っ越しした為

堺の女学校から、大阪の商業高校への

転校を余儀なくされた。


千恵子は、思春期の頃 沢山の小説を読んだ。

日本文学全集 詩集を中心に世界文学も

読み漁った。

思春期の頃は、ほとんどの女の子は恋愛に

憧れを感じるものだ。

それは、今も昔も変わらない。

たとえ、戦争中であっても

終戦後の貧しい時代であっても

恋愛が禁止されていても…

女の子は、空想の世界の中で

恋愛への思慕を膨らませているのである。

千恵子も、例外ではなかった。


姉妹の中で、一番 大人しく儚げな雰囲気を

醸し出してはいたが、真の強い女性へと育っていった。

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