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 話を聞いた看護婦さんはア然呆然。”開いた口が塞がらない”を体現していた。

 そのまま病院は大騒ぎ。

 患者さんのなかでは「あのふたり若いわねぇ」なんておっとりした人や「病院でなにやってんか」って呆れている人など。でも怒る人はいなかった。

「入院しているってことがわからないんですか?」

 と、むしろドクターが怒っていた。怒るのが普通というか予想していたことでもある。


 2人揃って事情聴取のためということで連れてこられたのは大きい面会室。

「で、これはどういうことか説明して頂いてもよろしいでしょうか?」

 上座に座っている初老の男性の声。

「説明ならいくらでも。その前に彼女だけでも座らせてもらってもよろしいでしょうか? 身重なので」

 返事を聞くまでもなく俺が椅子を一つ寄せて彼女を強引に座らせる。

 

 あれやこれやと聞かれたが形式張った質問ばかり。

「君は命をかけてその子を産むのかね?」

 最後に聞かれた質問。

「はい。そのつもりです」

「彼女の最後の望みです。叶えてあげなきゃ男じゃないと思いませんか?」

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