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1月28日 深夜


 なかなか寝付けず看護婦さんに睡眠薬をもらうか悩んでいるとコンコンと控えめなノックの音が聞こえてきた。ドアを開けるとそこに彼女が予想通りそこに彼女がいた。

「入っていいかしら?」

 なぜだかはわからないけど少し緊張しているのが伝わってきた。

 道を譲ると彼女はすっと部屋に入ってきてベッドに腰掛ける。べっどに一緒に座るのはなんかいろいろな意味でやばそうだから俺は近くの椅子に座った。

「ねえ歩夢。こっちで一緒に星空見ない? 今日は特にきれいに見えるわよ」

 いつもより静かで妖艶さを感じさせる。

 言い訳なんて必要なかった。

 遠慮なんて必要なかった。

 15cmしか開かない窓から眺めた夜空には星が宝石のようにキラキラと輝いていて一瞬で心奪われた。

 思い出したのは彼女に初めて出会った時。氷のように冷たかった。

 今はどうなんだろ?

 そんなことを考えていると不意に唇がふさがれた。

 熱い。

 柔らかい。

 お返しにベッドに押し倒して俺からもキスをした。

 俺の病衣をギュッと握って赤面している姿がかわいらしい。

「どこまでいいの?」

 更にギュッと袖を引っ張り恥ずかしそうに

「歩夢の好きなところまで」


 そうして夜が明けた。


「順番が逆だけど、俺は美姫のこと好きなんだ」

 美姫のことを思うと涙が出るんだ。きっとやり残してる事、感じられなかった幸せがあることに気がついているのにそれをもらえない、そんな

美姫のことを思うと泣けるんだ。だから俺でいいならずっと側にいるから。だから笑ってほしい。笑顔が見たいんだ。

「私も歩夢のことが好きよ」

 歩夢に「ありがとう」って言われると嬉しくて泣いちゃうの。広間で「また明日」ってさよならすると孤独感を感じるの。

 つい気を引きたくて悪ふざけして、笑って許してくれる歩夢が好きなの。


 そして今まで生きてきた中で一番短く感じるように夜が明けた。

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