第7話 ヴィランクラブ
そこは、何処ともしれぬ真っ暗な場所。
突如出現した、数字の0の形をしたテーブルの周りに座るのは
3人のシルエット。
いかにも悪巧みが始まる予感がする。
室内に明かりがつき、3人の姿が明確になる。
一人は赤いタキシードの男、その顔半分は白い仮面で覆われている。
「お集まりいただいたヴィランの皆さん、楽しいサークル活動の時間ですよ~♪」
赤いタキシードの男が立ち上がり両手を広げて宣言する、こいつが司会者だ。
その名はディーラー、闇カジノやデスゲームで稼ぐヴィランだ。
「貴方、学生時代にサークル活動してたのディーラー?」
黒い喪服を着た妖艶な美女、バンシ―が尋ねる。
この女、女性だけで構成される暗殺組織の首領である。
「は?お前ら学生とかやるタマかよ?」
全身を緑色の金属質のアーマーで覆った、一見ヒーロー風の怪人が
野次を入れる。
この男は、ヒーローからすれば憎悪の対象ベスト3に入るヴィラン。
その名はアーマーロバー、ヒーローのアーマーを強奪して悪事に利用しており
この男に敗北し殺されてアーマーを奪われたヒーローは数多い。
その日の気分で、コレクションのヒーローアーマーを変えてアーマーから
記憶を読み取りのかつての持ち主の能力をも使える最悪の敵である。
アーマー状の防具しか奪えないし、能力も使えないとはいえそれが知られるまでに
多くの犠牲と悲しみを産みだした凶悪犯である。
国どころか宇宙でも、抹殺対象として賞金が掛けられている。
アーマーロバーにディーラーが
「そういうあなたは、ジョックって感じですねえ~?」
と笑顔で言い返す。
アーマーロバー、バンシ―が止めに入るのを警戒して大人しくする。
「・・・・・で、新人勧誘ゲームはどうなってるの?」
バンシ―がディーラーに尋ねる。
「ええ、我らがヴィランクラブも新しいメンバーを増やすべく始めましたが
参加者は、まだ誰も条件を達成しておりません♪」
ディーラーがパチンと指を鳴らせば、虚空に青い光のディスプレイが浮かび
ガスボマーやデスタイドに髑髏ワゴンと事件を起こしたヴィラン達に赤い×印
が付いて映し出される。
そう、これまでの事件はこのヴィランクラブ入りを目指した悪党どもの入部テスト。
デンジャーランクごとに、細かい条件が設定されているが
どの条件もまとめれば『ヒーローの妨害を突破して悪事を完遂する事』である。
一回成功すれば仮入部で、次のテストまでの間の資金援助や情報提供と言った
支援を受けられるので参加者は多い。
これがバレていないのは、捕獲されたらバンシ―率いる暗殺組織に即日で殺害される
と言う命がけのペナルティがあるからだ。
彼らヴィランクラブの邪悪なゲームはまだ続く。
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