第5話  悲しみのハンバーグランチ 後編

愛車のトライクで下水道に突っ込んだシュナイダー。


トライクを下りて徒歩で敵を探して進む。


闇の中でも彼の瞳は敵を逃さない、左右の目は熱源や生体電流を探り

耳でかすかな異音も聞き逃すまいと追う。


ゴポゴポと音を立てて下水から人型の泥が立ち上がる。


この泥人間の名はデスタイド、汚泥を生み出したり操るだけでなく

自らを汚泥に変化させる能力を持ったミュータント。


デンジャーランクはCと中間層ながらも能力を生かした暗殺は彼の

ヴィランとしての価値を高めている。


「・・・・・貴様が噂のフルボーグか?!」

デスタイドがシュナイダーに叫ぶ。


「噂などどうでもいい、貴様を始末する!!」

背中に背負ったプラズマ砲をぶっぱなすシュナイダー。


青白い光弾が、デスタイドを襲う!!


だが、デスタイドは自らを泥化させ下水を進み突撃してくる。


バチバチッ!!


電磁スピアを下水に突き刺して伸ばし、天井へ跳躍するシュナイダー。


「ギャ~~~~~~~~ッ!!」

絶叫したのはデスタイド、電磁スピアから流れる電流で苦しむ。


泥化から人間の姿に戻り下水との一体化が解けたデスタイド。


「・・・・・立てっ!!お前に報いを与えてやるっ!!」

シュナイダーに引っ立てられたデスタイド、その首が胴と別れた。


シュナイダーの左手首のリストシックルが、デスタイドの命を刈り取ったのだ。


応報を与えたシュナイダーは、最後にデスタイドの遺体をプラズマ砲で火葬する。


そしてトライクに跨り下水道を後にした。


デスタイドが誰に依頼されて事件を起こしたのか?


絶対に単独犯ではない、何者かが犯行を依頼したのだろう。


シュナイダーは知らない、事件の真相はライトヒーローにでも任せておけば良い。

自分はただ、許せぬ悪を狩るだけだ。


店に戻ったシュナイダーは、戦闘用の装備を外した。


ハンバーグランチを出す度に、シュナイダーはあの親子の魂の安息を

祈るのだった。


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