第4話 悲しみのハンバーグランチ 前編

その店は、市庁舎通り13番地にこっそり立っていた。

『鉄板ベーク』

ステーキにハンバーグ、最近ではお好み焼きも始めた穴場の店だ。


店内に座席はコの字型のカウンターのみ、5人で満員の狭い店だが

常連客達に愛されていた。


店主兼シェフの名は、シュナイダー。


白い調理服の下は、黒き鋼のサイボーグ。

見た目は厳ついが、その人柄は明るく優しい。


カランカラン♪ベルが鳴りドアが開くと、お客が3人。


幸せそうな子供とその両親の家族だ。

「いらっしゃいませ♪ご注文は何になさいますか?」


シュナイダーが明るく尋ねると一家の父親が笑顔で

「ハンバーグランチを3人前でお願いします♪」

と頼んでくる。


シュナイダーも明るい笑顔で

「かしこまりました♪」

と承る。


シュナイダーが調理したハンバーグランチ3人前、子供の分には旗を立てていた。


これには子供も家族も大喜び、シュナイダーも心の中で温かい一家団欒

の場を提供できたことを喜んだ。


その翌日、新聞の一面を見たュナイダーは激怒した!!

ヴィランによる、市職員一家惨殺事件。


その被害者は、昨日ハンバーグランチを頼んだ一家だった。

「・・・・昨日のお客様達じゃないか、許せん!!」


調理服とコック帽を脱いだシュナイダー、店じまいをすると

キッチン内の隠しエレベーターで地下基地に降りる。


そして、カプセルに入り戦闘用装備に体を換装する。


左手首にリストシックル、右手には電磁スピア、バックパックにはプラズマ砲。


戦闘モードに変身したシュナイダーは、戦闘用のトライクに跨ると地下通路から

ヴィラン討伐の為に出撃した!!


シュナイダーは表の顔は料理店の店主、裏の顔はダークヒーローだ。


シュナイダーは激怒していた、人々の幸せを踏みにじり幼い命を奪った

ヴィランを必ずこの手で討つと誓った。


ライトヒーローやリベロヒーローは仲間である。


だが彼らは甘い、極悪非道な邪悪は討たねばならない。


人々や世界を守り助ける為には、己の手を血に染める事を躊躇わない。


それがヴィラン組織に生身の体を奪われたシュナイダーの矜持だった。


ネットワークにアクセスし、事件の詳細な情報、殺害の手口、ヴィランデータベース

を検索し犯人を推測する。


シュナイダーの頭脳がはじき出した結果、99%の犯人率を叩きだしたヴィラン。


その名は、デスタイド。


己が身を汚泥に変化させ侵入や脱獄を行い、暗殺やテロを行う悪党だ。


こいつのアジトはおそらく下水、シュナイダーはトライクの速度を上げ

道路を飛び越えて川に設置された下水口へ突っ込んだっ!!






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