第3話 リベロヒーローは苦労性

世界にはライトヒーロー、ダークヒーロー、リベロヒーロー、の3種類のヒーロー

がいる。


左のライトから順に良い子、悪い子、普通の子という大まかなくくりである。


明日のヒーローを育成するヒーロースクールでも、それぞれの傾向がみられる。


例えば宿題、ライトヒーローは自分を終わらせた上で他人の宿題を見る。

リベロヒーローは、普通に課題を片付ける、ダークヒーローはサボって遊んでいた所

をライトヒーローに捕まり強制的にやらされてケンカする。


と言った具合だ。


こうしてみると、リベロヒーローは一見特徴がないように見えるが彼らは

どちらの気持ちも考えられて間に立ちバランスを取るという重要な特徴がある。


所変わって、ここはヒーロー専門病院。


ここに一人のリベロヒーローが入院していた、その名をキッドナックル。

本名は、コーサク・バーニング。


合衆国の隣国、ジパン列島国人の父親譲りの黒髪、黄色い肌、悪くもないが美形

と言うほどでもない顔立ち。

薄い入院着の下は、無駄な脂肪はなく鍛えられている精悍な体つきの少年。

先日、ヴィランとの初戦闘で相打ちになり入院していた。


病室のドアが開き、一人の人物が入ってくる。


豊満な胸と鍛えられた筋肉の上にタンクトップの、狼の毛皮でできたジャケット

とパンツを纏ったチョコのような褐色肌で金髪の美女だった。


「ヘイ、ボーイ♪ワッツァップ♪ウェィクアップ♪私を構えよ~♪」

寝ているコーサクに笑顔で近づき、その首を抱きしめる。

彼女の名は、エルザ・タルボット。


ナックルファミリー所属のダークヒーロー、ヴコドラクだ。

コーサクにとっては、姉のような存在の一人である。


彼がエルザにヘッドロックされて目を覚ますが、すぐに永眠しそうだった。


「スト~~~ップ!!コーサクから離れなさいよ、エルザ!!」

天の助けか?新たな人物が割って入る、白熊の毛皮のコートを着た

こちらも胸も筋肉もヘビー級レスラーと言った色白な金髪の美女。


ナックルファミリーのライトヒーロー、ポーラことアレクサンドラ。

彼女もコーサクの姉代わりと呼べる人物だ。


「邪魔すんな熊女!!」


「抜け駆けはさせないわよ馬鹿狼!!」

病室である事を忘れて、手四つからバックヤードプロレスをはじめそうな二人を

「二人とも、ブレイク、ブレイク!!」

と治りかけの体を起こしてレフリーのように割って入るコーサク。

あわや大惨事となりかけた所を収める。


エルザもアレクサンドラも、幼い頃からコーサクを好きで取り合っている。


「・・・・・ふん。アレクサンドラが先に仕掛けたんだからね!!」

エルザが不服を訴える。


「何よ、あなたがコーサクを襲ったんじゃない!!」

反論するアレキサンドラ。


「二人とも、お見舞いに来てくれてありがとう♪」

そんな二人に、優しく微笑むコーサク。


このように、彼のようなリベロヒーローはライトヒーローとダークヒーローの

間に立つ緩衝材として重要な役割を果たすことが多い。


彼らリベロヒーローがいなければ、ヒーロー同士のぶつかり合いで世界が

滅びかねない。


ゆえにリベロヒーローは苦労性の人物が多くなるのであった。



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