第20話『カラスの血』

「ある倉庫で、女性の頭部が見つかってそこに切られた髪が地面に落ちてて」


相馬は、倉庫で見てきた事を光に話した。


「あの・・・その倉庫で見つけた髪って、今持ってますか?」


「あっああ・・・」


「じゃあ行きますか?」


「えっどこに?」


相馬は、拍子抜けした表情で光を見ていると、背中をドンと誰かに蹴られ前に倒れた。


「なにボーと、ワタシの王子に見とれてんのよぉ!」


「あっ!相馬さん・・・」


相馬に、向かって威嚇して睨みラテが腕組みをして、仁王立ちして立っていた。光は、顔を手で塞ぎ困惑する。


「ラテさん・・・こんな事するの辞めて下さい。とても失礼です」


光に、怒られ頬を膨らませ拗ねるラテ。倒れている相馬に、光は手を差し伸べ。


「相馬さん、大丈夫ですか?」


苦笑いをしながら、相馬は光の手を握り立ち上がる。


「ああ、ちょっとびっくりしただけだから、大丈夫・・・」


「そうだぁ・・・ラテさんに、調べて貰いたいモノがあるんです」


光が、拗ねているラテに言った。


「私に、調べて・・・欲しいモノ?」


ラテの研究室。

沢山の機会に、そこで働く人達。

相馬は、初めて見る研究室をキョロキョロと周りを見渡す。


「ここに、こんなところが・・・」


ラテは、光に怒られる原因を作り光に馴れ馴れしい相馬に嫉妬し冷たい態度をとる。


「ふっ、見た事ない顔だけど・・・あんた新人?」


ラテに、素っ気ない態度で聞かれ相馬は、困った顔をする。


ーーーもしかして・・・俺って嫌われてる?


「えっあっそのぉ・・・」


困っている相馬を見て光が、助けるかのように言った。


「違います。相馬さんは警察の人」


「ふーん。どーでもいいけど!」


ラテは自分の体を、光の体に密着させ甘えるような声を出す。


「そんな事より・・・ねぇー王子」


ラテの相馬と光に対する態度が、あからさまに違う態度に相馬が引く。


ーーー王子って・・・光ちゃんここでは、そう呼ばれてるのか?


ほほを赤くし、体をクネらせラテは光の二の腕に人差し指で、クルクルと回しながら甘えた。


「この頼み聞いたら私の頼みも、聞いてくれるっ?」


光は、ラテを見つめ王子スマイルで答えた。

「はいっ!お願い聞いてくれますか?」


「うん、聞いちゃう。光の頼みなら、なーんでも」


光の手なられた態様に、相馬は愕然とする。


ーーーそっかぁ。光ちゃんが王子って言われるわけだ!俺も女だったら惚れる。


相馬が、そんな光を見ている視線に気づきラテが、相馬の方に振り向きギロっと睨みつけ相馬はビクッと怯えた。


ーーーニラまれたぁ・・・。


ラテに、調べて貰った髪の毛の結果がでた。

ラテは、パソコンの画面にうつるグラフを見て。


「女の髪で、死神の血液と人間の血液が混在して剣質されたって事はカラスのだわねぇ」


相馬は、カラスとラテが言った事に疑問に思った。


「なんで、カラスだと?死神と人間の2人だとは思えないのですか?」


相馬の質問に、ラテは呆れてため息を吐く。


「本当、人間って何も知らないのね!死神がそー簡単に、死ぬわけないでしょ。それでも警察なの」


「あんたら人間が、そんなヤツらばっかりだから、罪もないものまで傷つけ、どーせっあんたも、私たちのことゴミみたくっ思ってるんだろ?」


「思ってない。勉強不足なのは、謝ります。すみません。でも、俺は君たちの事をゴミだなんて、思った事もないし見てもいない。俺はもっと君たちのことを知りたい。出来れば君たちが、ここにいて当たり前の世界を作りたいと思ってる」


ラテに、言われ相馬は思わず熱く感情を露わにする。


相馬の真剣な顔を見て、少しまともな人間じゃないかと思った。


ーーー光と同じ事を言ってる。人間の中にも、臭い事をゆうヤツがいたのね。


「あのね。死神はアームを食べているせいか、普通の人間と違って血液が濃いのよ。そんな死神と人間の間に生まれてきた子供は、多少血が薄まるだけ」


相馬の頭に、???が沢山浮ぶ。


ラテが、水の入ったコップとデンプンのりとザルを用意して説明をする。


「いい、この水が人間の血液で、のりが死神わたし達の血液だとするでしょ!」


ザルに、水を注ぎ込む。


「人間の血液は、ザルから抜けるけど・・・」


次に、デンプンのりをザルに空ける。

のりは、ザルの隙間から落ちにくい事が、わかり相馬は目を疑う。


「死神の血は、このノリのような血液をしているおかげで、ケガをすると血がキズ口を塞ぎ治すのよ!カサブタと一緒のこと。これで、バカなあんたでもわかったでしょ!」


相馬は、あの倉庫で血を踏んでしまい、その時靴を剥がすと、靴の底に血が糸を引きまとわりつくついてきた事を思いだし納得した。


「あと、粘り気が強いってのも特徴的」


ーーーそっか・・・だからあの時。


「あと髪の切口からして、鋭いハサミのようなモノで切られてるわ」


ラテが、データを見て推測する。

相馬は、倉庫にあった頭部を思い出し、髪が綺麗にカットされていた事を思いだした。


ーーープロじゃなきゃ、あんなに綺麗にはカット出来ない。そっかあ・・・。


「・・・って事は、犯人は美容師ってことか!」


「そうとも言える」


相馬は、さっそく警察署に帰るなり大森が倉庫の借り主の情報を調べていた。


「相馬さん!倉庫の借り主けんどん、わかりましたよ。星野 正人ほしの まさと30歳、美容師やっちゃがです」


「やっぱり・・・」


「・・・えっ?」


「そいつの、勤務先わ?」


「それも、知らべてあります」


「行くぞっ大森」


そう言って、相馬は部屋から出て行く。


「はっはい」


椅子に、掛けていたスーツのジャケットを、慌てて手に取り大森は相馬を追い掛けた。


相馬が助手席に座り、大森が運転席にすわり車にを走らせる。


美容室テァラ。

星野正人が、働く美容室の店の扉を開けると、女性店員が相馬と大森に近寄ってきた。


「いらっしゃいませ。ご予約されてますか?」


「いや、客じゃない」


相馬は、警察手帳を見せ言った。すると警察手帳を見せられ困惑する女性店員。


「ご要件は・・・?」


「ここに、星野正人さんはいらっしゃいますか?」


大森が、女性店員に聞く。


「店員なら、半年前に辞めましたよ」


「・・・辞めた?」


「どこのお店に、行ったかわかりますか?」

「いえ。店長、美容師辞めるって言って辞められたので」


相馬は、女性店員の言葉に驚倒する。

車に乗り相馬と大森は、手掛かりが掴めずガッカリとしながら信号の変わるのを待っていた。


「残念でしたね。こん後は、どけんするんですか?相馬さん」


ーーーあの人の、手を借りるしかないかぁ・・・。


相馬は考え事をして、大森の話を聞いていなかった。


「相馬さん?」


大森が、大きな声で名前を呼ぶとやっと気づく相馬。


「相 馬 さ ん」


「あっなんだ?」


「聞いてなかったんじゃひかぁ・・・?」


大森は、運転しながら落胆する。


次の日の夕方。光が学校の帰りを待ってから、相馬と大森は、光とラテを車に乗せ事件があった貸倉庫に向かった。


大森は、運転しながら後部座席に座っている光をバックミラー越しで見る。


ーーーこんまえ言っちょった、黒山さんの子どんってこん子かぁ・・・。


倉庫に着くと車を止め降り、事件が起きた倉庫に歩いて向かっている途中、大森は幼く見えるラテを見て、疑念に思い相馬に聞いた。


「相馬さん、なんで小学生を連れて来たんじゃひか?」


ラテが、『小学生』とうゆ言葉に反応し、大森の水落にグーで殴った。


「グハッ・・・」


「あんた失礼なやつね。私は小学生なんかじゃないわ!ちゃんとした大人」


相馬と光は、それを見て顔を引き攣らせる。

そして申しわけなさそうな顔をして相馬に光が謝った。


「すみません」


「いやぁ、君が謝ることじゃないよ」


プリプリ怒って、ラテが倉庫の中に入って行った。


入ったはいいが、倉庫の中が真っ暗な事にラテは驚きパニックになる。


「なっなに・・・これっ、何にも見えないじゃない!おうじどこに行ったの?」


そして倉庫の中の灯りが付くと、今までパニックってたラテだったが、何もなかったかのようにリュックからゴム手袋を取り出しパーンと鳴らし手袋をはめだした。


何事もなかったかのように、仕事をするラテを見て大森は愕然とした。


ーーーあんなに、パニックってた人が何事もなかったかのように・・・。こすたな人初めてだ。


ラテが、周りを見渡し頭部を手に取り、髪の毛を触ったりして観察する。さらにしゃがんみ床に垂れた血を、手袋した人差し指で拭い取り、親指で擦り合わせ粘りっけの強い血を確認し終わると立ち上がり手袋を外しながら。


「こいつは、とんでもない変態ヤローねぇ。黒髪の女性ばかり選んで」


「そげんな事・・・これを見れば誰だってわかるぅ・・・」


また、余計な事を言って大森はラテにお腹を殴られお腹を抑え痛みに耐える。


「あんたの目、クソなのうんこ以下なの?」

「なっ・・・なんで・・・」


車の中。後部座席に座っている光とラテ。

前には、相馬と大森が座っている。


ラテが、ため息を吐きながら言った。


「はぁ・・・、ただの黒髪ってだけじゃない」


「それは、どうゆう事ですか?」


相馬が聞き返すとラテが答えた。


「黒髪は黒髪でも、髪質のいい黒髪。それから、首を切り落としてからその女に、あった髪型にして楽しんでる変態ヤローよ」


ラテは、隣にいる光の体に頬をスリスリと擦り付け褒めてアピールする。


おうじ・・・、すごい?ねぇーすごいでしょう私?」


光は、ラテの性格をよく知っているため、何をしようと動じない。


「はいっ、凄いです。そこまでわかるなんて!」


光の王子スマイルと、頭をなでるとラテはメロメロになる。


「うーん。ごほおびちょーだぃ?」


ラテが、こっそり隠れてグロスを唇に塗った。その口を尖らせチューをせまる。天ぷら食べた後みたいなぎとぎとの唇を見て、ちょっと引きながら光はラテの顔を手で押し返す。


そのラテの姿を見て、相馬と大森はドン引きする。


ーーーオイらと態度が全然違いすぎるじゃろ。


「相馬さん、これからどんげしますか?」


相馬も、手掛かりが見つからずどうしたらいいのか、わからなくなっていた。


「何十件もある美容室を、しらみつぶしに探すしかないだろうな」


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