第15話『チャチャっと』
田辺と中村が、高笑いする。
「あっはっはっは」
つがるは、景色がかすれ意識が遠くなっていく中、光の後ろ姿を見ながら気絶した。中村が、光の顔を覗き込む。
「そのただの生徒会長が、何をしに来たんだ?まさか・・・助けに来たってゆーんじゃーねえよなー」
光は、ニコッと満面の笑で。
「くせさいから、その顔どけろう」
中村が、腹を立て顔を歪め睨みながら光の胸ぐらを掴む。
「なんだとぉっ、もういっぺん言ってみやがれ、このクソガギぃーー」
光は、中村の顔をガシッと鷲掴みする。
「だから・・・匂うんだよ!お前らのカラダから、プンプンと死の匂いがぁ」
光の背後に、山本が立ち鉄パイプを振り下した瞬間、中村の頭をタテにし光は山本の顎を蹴り上げた。
光の足元で、山本と中村が気絶して倒れている。田辺が、怯え上がりズボンの後に隠していた拳銃を取り出し光に向け打った。
その銃弾が、光の肩を貫き肩から血を出し痛みを堪える。
「い・・・ったぁ。半分死神って言っても、めちゃくちゃ痛いんだよ・・・ねえ。半分人間だからさぁー」
「テメェっ、カラスかーー!」
「そうだよっ」
「これは、好都合だぜっ」
そう言いながら、田辺の拳銃を持つ手が震え光に銃口を向け顔を引きつらせ笑う。
「・・・ゴミクズのテメェーらが、人間の役にたてるんだから、ありがたく思え!」
その時、光の胸の奥からあのとき感じた真っ赤な泡が、ブクッブクッと少し溢れパチパチと割れる音が聞こえてきた。
光は、そばにあった鋭く尖った鉄パイプが、目に付き銃口を向けられているにも、関わらず気にしないで手に取りながら。
「あのさ・・・そのゴミクズが、人に危害を加える時って、どんな時か知ってる?」
「はぁ?し、知るかぁ・・・そんな事」
田辺が、拳銃の引き金を引くと光が鉄パイプで拳銃を持っている手首を切り落とした。
「ヒッ・・・手がぁぁああ・・・」
激痛に、襲われ田辺が泣け叫ぶ。
「大切なものを守るとき・・・。それがわかったんだから、感謝しなよ僕らに」
そう言って、光は真顔で鉄パイプを田辺の喉に突き刺した。
その時、中村が目を覚まし黒い闇が光の体を包み、闇がカラスの姿をしていた。
光が、気配を感じ横目で中村の方に目線を向け自分を見失っていた。
中村は、光の姿を見て身も凍るほど恐ろしく、危険を感じ一刻も、その場から逃げ出そうと思い立ち上がって慌てて走り逃げ出した。
「バッ・・・バケモーン・・・ヒャーイイ——・・・」
しかし、中村が入口まであと少しっとゆう所で、光が立ち塞がる。
中村は、ゆっくりと顔を見上げ光がポタポタと血がたれた鋭く尖った鉄パイプを、目に向けられ中村の顔がこわばるう。
「ねえ、その目・・・売ったらいくらに、なるんだろう?」
「なっ頼む・・・アイツは連れてっていいから・・・殺さないでくれ」
「動いたら、上手く取れない」
それは、残虐的な死神その者になり光は、まるで別人になっていた。
ためらいもなく、光は鉄パイプを中村の目に突き刺した。
「あっごめん・・・失敗した」
目に鉄パイプを、刺さったまま中村は地面をのたうち回る。
「がっ・・・う"う"ぅ」
中村は、強烈な痛みに悶えながら光に言った。
「テメェ・・・頭・・・イカれて・・・るぅ」
光は、人の命を奪う事を楽しむかのように中村の目に、突き刺さった鉄パイプを掴み
「うん。僕もそぉ思う」
そして、光は拳銃を手に取り気絶していた山本の指が動き今にも、目覚めそうな山本に銃口をむけ何発もの銃弾の音が、夕暮れの外に鳴り響いた。
ーーーあんなに、優しかったオヤジが仕事を辞めてから変わってしまった。オヤジは、真面目が取得の銀行員だった。
仕事が忙しくって家にいなくたけど、それでも俺はオヤジの事を尊敬していた。でもオヤジは、家族ともっと過ごしたいっと言って銀行を辞めた。
だが、新しい転職先も見つからず半年が過ぎオヤジは、まだ働き口が見つけれないストレスで、毎日酒やギャンブルに溺れ、終いには暴力まで振るうようになった。
さらにギャンブルで、作った借金を残しオヤジは失踪。毎日のように、取り立ての人が来て日に日に取り立てが酷くなって行く。
ある日、俺が学校から家に帰ると、テーブルの上にチラシの裏に書いた置き手紙に気づき。
おふくろは、それに耐え切れず妹を連れて家を出て行った。
おふくろが、俺を迎えに来るのを信じ待っていだけど、どんなに待っていても母親は迎えには来なかった。
夜の歩道。シーンと、沈みかえり電灯の明かりだけが灯る歩道を光は、つがるをおんぶして歩いている。
そしていつもの光に戻っていた。つがるが、目を覚まし頭を動かすと痛む。
「・・・いっ」
「目が覚めた?」
「なんで・・・俺を助けた?」
光は、少し考え口を開いた。
「うーーん。同じだから・・・かな」
「同じ?お前と・・・俺が?」
「うん。親を選べないってこと!僕だって好き好んで、死神の親から生まれたわけじゃない」
つがるは、口にする言葉が見つからず黙っていると光が話は出す。
「僕には夢があるんだ」
「夢?」
「あるとき、キライだった物を食べてみたら美味しかったって事あるだろ?」
「あっうっうん」
「それから、好きにだってなるし。それと同じかなぁ・・・だけど逆に、ムリやり好きにさせようとするとよけいに嫌いになる。だからムリに好きになってもらおうとはしない。いつか僕らを好きになってくれたらいいなって」
つがるは、それを聞き自分が間違っていた事に、気づき照れくさそうな顔をし顔を背ける。
「・・・意味わかんねぇ。でもそれ叶うといいなぁ。あと酷いこと言って・・・ゴメン」
「謝る相手が、違うんじゃない?」
「そーだなぁ。助けてくれて、ありがとう」
「・・・うん」
つがるは、ふと思った。
「そーいやぁー、お前・・・なんで俺の居場所がわかった?」
「キミの事だから、きっと僕の番号を消すと思って、僕らが使っているGPSのアプリを入れて置いた。
それで誰かおかしな場所にいないか、調べてもらったんだ」
「はぁー、勝手にそんなモン入れやがって・・・」
そう言いながらも、つがるは嬉しそうな顔をしている。
カラスの基地に着くと、入口の前で光は足を止め壁に設置してあるパッチパネルに、手をかざすと扉が開いた。
カラスの基地には、寮が完備され光は、つがるを部屋へ連れて行きベッドに座らせた。
「ここの部屋は、自由に使ってくれていい」
「えっ・・・?」
「どうせ、行く所ないんだろ?義父には話してある。その代わり体で返してもらう」
つがるは、頭の中で色々な事を考えて戸惑う。
ーーー体で返してって・・・まさか・・・そう言うことだよなぁ・・・お父さん公認って事は、俺・・・彼氏?
急に、ベッドの上でつがるが正座をしだし、おデコを布団に押し付けた。
ーーーぜってぇー・・・ムリムリ。
「すまんっ。男なのにお前は、女みてぇーに綺麗だけど、でも男で・・・俺は彼氏には、なれねぇっ。おっ俺は女が好きだーーー!」
光は、お腹を抱え笑いだす。
「ワッハッハー。何を言い出すかと思えば。ハッハッハッ」
キョトンとしつがるが、光を見ると涙を流しながら笑っている。
「何を勘違いして・・・ぶっ。体でってゆうのは、ここで雑用をしろってこと」
「だったら、最初からそー言えーー。まぎらわしーんだよお前」
つがるが、プンプンと怒りだす。光が、部屋の扉を開けつがるをチラッと視線を向け笑って冗談ぽくっ言った。
「それとつがるは、僕のタイプじゃないから安心しろっ!」
光が、部屋から出て行き部屋に1人になりつがるは思いにふけるう。
「つがるだって・・・アイツに初めてキミ以外の名前で呼ばれたかもぉ・・・」
そしてつがるは、ベッドに横になり。
ーーーしかも・・・何で少し傷ついてんだ・・・俺。
光は、部屋の扉をしめると先程まで笑っていた表情が曇り廃虚の工場で、自分がやった事を思いだし後悔に顔を歪める。
ーーーあれは、本当に僕がやったのか?全然記憶がない。僕はいったいどうしたんだ。ただの人間に、あそこまでする必要なかったのに・・・。
そらから次の朝。窓から日差しが差し込みつがるが、ベッドで布団に丸まって寝ていると急に体にドシッと重たい何かが、のしかかり驚いて目を覚ます。
「起きろーー、朝だぞぉーー」
と、聞き覚えのない男の声がする。
布団を、バッと捲ると可愛いらしい男がつがるの上に乗っかっている事に驚き、ベッドの隅に行き縮こまり怯え。
ーーー・・・え、なんでぇ、どうして・・・誰だーー?
「なっ・・・なんですかぁ・・・?」
可愛いらしい男が、つがるの前に手を出す。
「今日から、キミの
「・・・きょうけー??」
ウィンクしながら満面の笑顔で笑うトム(死神)
「教育係って事!・・・とゆうことでシクヨロっ!」
つがるは、トムと握手をしようと手を出した。
「は・・・はい、よろしく・・・」
その瞬間、トムはつがるの手をガシっと掴み、急いで部屋から連れ出し廊下を走り出す。
「ゴメン・・・ゆっくりしている暇ないんでぇ、チャチャッとさっそく、仕事してもらいまーす」
「えっ、ちょっ・・・ちょっと」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます