第10話『呪われたシックル』

廃病院の中で、冷たい手術台の上に女子高生を眠らせ寝かせ鼻歌を歌いながら、保泉は手術道具の準備をしだす。


そして女子高生の目を広げる金属器具を付け保泉が、メスを手に持ち目に近づけた瞬間。


背後から鋭く尖ったシックル(鎌)を、首に当てられゆっくりと振り変えると後ろに蓮輝が立っていた。


「動くなっ」


その様子を、隠れて見ていた光が呆れて小さなため息を吐く。


保泉が、ゴクリと唾を飲み込んだだけで、鋭いシックル(鎌)の刃が触れて切れ血がにじみ出る。


「少しでも動くと、あんたの首が飛ぶぜっ」

蓮輝は、保泉に気を取られていると蓮輝の背後に、死神の女性が鋭い爪を突きつけ耳元で囁いた」


「残念・・・運が悪かったわねぇ。あなたも動くと、このまま突き刺して心臓を、引きずり出すわよ」


光は、近くにあった木材を死神の頭目がけ投げつけ、シックル(鎌)を振り上げ飛びかかった。


「キミは、勝手な行動し過ぎ!」


その時、死神の女性は隣にあった手術道具に手を伸ばし、メスを何本か手に取り投げ付け回避する。


そしてメスが木の板に刺さりその中の1本のメスが光のほほをかすめ傷付け、光がヒヤッとしていると死神の女性はほくそ笑む。


「あらぁ、あなたは運がいいのねぇ!覚悟してねぇ。次ははずさないからぁ」


保泉は、首からシックル(鎌)が離れると、怯えあたふたとその場から逃げだした。


「ヒッ・・・まだ、死んでたまるかぁー」


蓮輝が、それに気づき保泉を追いかけるが死神の女性が蓮輝に向けメスを投げつけ邪魔をする。


「どこ行くの?坊やの相手、私じゃー不満なのかしらぁ?」


死神の女性が、メスを何本も蓮輝に向け投げ、それを蓮輝はシックル(鎌)で交わす。


廃病院の入口前、保泉が息を切らしながら廃病院の外に出ると、白いトレーナーに付いているフードを、深く被った謎の少年が保泉の目の前に立ち構えて待っていた。


謎の少年に、気づき保泉はホッとした顔を覗かせ謎の少年の足元で、保泉は立ち崩れ息を整えた。


「どーしたの?仕事が早いもう終わったぁ?」


謎の男が、無邪気な笑みを浮かべ保泉に聞いた。


「そっそれどころじゃない。突然へんなヤツらが、入って来て邪魔をされ・・・」


保泉は、謎の少年にそう伝えその謎の男が子供のように笑っていう。


「ふーん。そーかぁ・・・だったら、おじさんは用済み・・・だねぇっ!」


保泉が目を大きく開いた。身体中から、嫌な汗が吹き出しうろたえる。


「えっ・・・どっどうして・・・?」


「だってぇー、おじさん・・・」


保泉の事を、上から見上げ謎の少年の目が妖しく輝き笑う。


「泣かせられなかったでしょ!」


謎の男が、保泉の目線に合わせしゃがみ込み目を見つめ。


「でも大丈夫。おじさんは1人で、死ぬわけじゃーないから安心して死んでぇ。後から死神女もおじさんの所に行くからさぁー」


そう言って、謎の男が保泉のアームを吸い取った。そして保泉の遺体の片足を、持ち地面を引きずりながら歩いて立ち去った。


「愛だねえーー・・・」


廃病院の外まで、ドカーンと音が響く。死神の女性が蓮輝の腹に、蹴りを入れ体が飛ばされ壁に叩き付けられた音だった。


蓮輝は、その場に倒れ込み苦しそうな顔を見せる。


「グハッ・・・」


光は、やられている蓮輝を見て死神の女性の背後に立ち残念そうな顔をして言った。


ーーーこの状況は、ヤバい・・・。


「ショックだよ。僕を無視するなんてさぁー」


死神の女性の気を、自分に向けるため光は煽る。


「もう3日も寝てなくって、こんなのとっとと終わらせて、はやく帰って寝たいんだけど僕」


死神の女性が、クスクスと笑ったと思えば、怖い顔をして光を睨みけながら向かってきた。


「可愛い顔をして、言ってくれるわ。私に勝てるとでも思ってるの?笑っちゃうわね」


死神の女性の鋭い爪を、光の心臓に突き刺しにかかる。


しかし光は、死神の女性の手首をギュッと掴み満面の笑みでその手首を軽々とへし折った。


「それは、コッチのセリフ」


死神の女性の痛みで、歪んだ目を鋭い目で光は睨み。


「お前ごときに、僕が負けるなんて笑える」


その場に、死神の女性はしゃがみ込み手を抑え痛みに耐える。


ーーー女みたいな細い指して、どこからそんな力が・・・。


だがしかし、死神の女性は勝ち誇ったように笑って光に向かって行く。


「・・・ナメられたもんね。死神の私が、こんなことじゃ死なないのよ」


死神の女性が、蹴りを入れると光は軽々と交わし、それを交わされるとそくざに、死神の女性が殴りに掛かれば光は華麗に交わした。


死神の女性は、息を切らし立ち止まる。


「はぁっ・・・はぁっ・・・」


「もうおしまい?残念」


光は、ニヤと笑って死神の女性の心臓に、シックル(鎌)を突き刺す。


死神の女性の心臓に、突き刺さったシックル(鎌)から、白い煙が出てきてシックルに吸い取られた。


さらに死神の女性が、シックルにアームを吸い取られミイラになっていった。


光は、そのシックルを死神の女性の体から引き向き、蓮輝のそばまで行く。光は蓮輝の顔の前に手を差し伸べ。


「終わったから、さぁ帰ろうか!」


蓮輝は、光にバカにされていると思い腹を立て手を払い除けた。


「勝手なマネするなっ。こんなヤツ・・・オレ1人で倒せた」


光は、蓮輝のめんどくさい性格に嫌気をさし。


ーーー・・・めんどくさい性格。


「たったら、もっと強くなれ!あんなことで、やられてんじゃーねぇー」


蓮輝は、悔しそうな顔をして背ける。光と蓮輝が、廃病院の外に出るとリュクの声が聞こえてきた。


「光ーー・・・」


「リュクたちが、なんでここに?」


リュクが、蓮輝の事をギロッと睨みつけ。


「こいつが、ヘマやらかすと思って来て見たけど・・・大丈夫だった見てえーだな」


蓮輝は、リュクに言われ言い返す言葉も無く悔しさで唇を血が出るほど噛む。


光が、真っ黒な花が咲くような満面の笑みで蓮輝をみる。


「本当良かったよ。大した怪我してなくって」


蓮輝は光の事を、無視をして先に行ってしまう。健太とリュクは、光のあの満面の笑みを見て危険だとさとり。


ーーーこの笑の時は・・・。


光は、その笑顔のままリュクと健太がいる後ろを振り返る。リュクと健太が、光の笑顔にギョッとしあからさまに、光のそばから離れた。


「さぁー 行くぞ。健太!」


「は、はい・・・!」


あれから、何週間もたったある日。色々な形をしたシックルが、沢山並んでいる保管部屋に、蓮輝と健太が呼ばれた。


健太は周りを、見渡し目をキラキラと輝かせシックルを見て興奮している。


「うっわぁ。すげぇーーカッコイイ」


その中に、ケースに入って厳重に管理されているシックルがあった。その時、蓮輝はそれを見て思いだす。


ーーーこれって・・・アイツが、使ってたヤツ・・・。


そのシックルから、とてつもない闇の魅力に見せられ、蓮輝が光のシックルに手を伸ばした瞬間、背後から男性の怒鳴り声が聞こえてきた。


「それに触るなっ!」


蓮輝が、振り返るとタバコを咥え真っ黒に汚れたエプロンを着け、眉をひそめ厳つい顔付きになり鎌田かまだ(人間)が、仁王立ちで蓮輝の事を睨みつけていた。


「鎌田さん」


オドオドしながら、健太は名前を読ぶ。


「お前は、死にたいとか?おれの、いる時以外は勝手に、こん部屋に入るなっ!!」


鎌田は、ぶっきらぼうにそう言って奥の部屋に入って行った。


数分後。鎌田が、奥の部屋から新しいシックルをふたつ手に持ち部屋から出て来た。


そして鎌田は、蓮輝と健太にシックルを渡す。ソファーに、腰を降ろしエプロンのポケットから、鎌田はタバコを取り出し口に咥え火をつけた。


「お前らのだ。大切に使えっ」


健太は、自分のシックルを見て興奮している。


「これがオレの・・・夢みたい。ありがとうございます」


蓮輝は、鎌田の方を見て不思議に思いながら自分のシックルの置き場所に置いた。


ーーーただのシックルの事で、なぜあんなに怒る?しかも死ぬってなんだ?


その部屋を出た。エレベーターの中にある階数ボタンには、すべて指紋センサーが付いている。


そのボタンを、健太が触れると緑色にひかりエレベーターが動き出した。


ボタンの前に、健太が立ち蓮輝はその後で壁に背中を持たれている。


「なぁー」


蓮輝が、健太の背中に視線を向け話し掛けた。


「・・・んっ?」


健太が、顔だけ振り向き蓮輝に目線だけ向け。


「死ぬってどーゆう意味?」


「ああ、あのシックルは特別なんだ・・・」


「そんな特別なのを、なんでアイツが使ってる?」


「だから、特別なんだよっ。あのシックルは、光さんだけにしか使えない"呪われたシックル"だからね」


「はぁっ?」


「シックルが、死神の骨で作られているのは、知ってるよねぇ?」


「ああ」


死神は、ゆういつ死神の骨を溶かし作られたシックルだけが倒せる武器。


「あのシックルだけは、自ら主人を選び気に入らないと、アームを吸い取り殺すって有名で。

3年前、シックルコレクターだった男性が、あのシックルをどこですか手に入れて次の日の朝・・・。

部屋で、男性が死んでいるのを家族が見つけ、怖くなった家族が、ここに連絡をして来た。その時その家に行ったのが光さん。どうやって、あのシックルに認められたのかは知らないけど、光さんが主人となったってわけぇ」


エレベーターの扉が開き、蓮輝は降りて行ってた。


「その"呪われたシックル"も、見る目ねぇーな」


「それは違う。正しい持ち主を選んだと思うよ。そのうちキミにも、わかるさぁ」


「さぁどうかな。オレとアイツの考え方が違う。だからそんなふうには思わない絶対」


武器室では、鎌田は机の上に置いてある灰皿にタバコを押し付け消し鎌田が、ケースに見て怒りと悲しさが混ざったような表情を見せた。


「こんなモノのために、オヤジのヤツ死ぬなんて・・・バカなんだよ」








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