第60話
夕立があったせいで、その日の夜の気温は過ごしやすいものへと変化していた。
ヒヤリとした気持ち良い風が、雲のない夜空を吹き抜けていく。
月が明るく地面を照らしていたが──
雨戸が締め切られた
仕方がない。
窓ガラスがないのだ。
「さぁできたよー」
朱色の紐で着物の袖を襷掛けして捌いた
その後ろから、刺身とサラダの皿を手にした
「お婆ちゃんの作る唐揚げ大好き!!」
箸と小皿、コップを並べていた
今日は大宴会。
事件が解決したお祝いである。
その場には、
そして部屋の片隅には、シーツに包まれて壁に寄りかかって眠る
その向かいの壁際に
ワイワイと食事の準備をする
卓を彩る食事を囲み、全員が着席する。
ゴホンと咳払いした
「では、無事事件解決を祝いまして」
「「「かんぱーい!」」」
それぞれがジュースなどの入ったグラスをぶつけ合って笑った。
美味しそうな食事を目の前に、
と、その時ふと気になって
「
「私の事はお気になさらず。楽しく食事をして下さい。貴女はまだ育ち盛りですから」
「あの……さ。その『成長』についてなんだけど。私……大きくなる?」
「マスターの家系は、背が伸びるタイプの方とそうでない方に分かれるようです。お姉様は伸びるタイプでしたがマスターは……それ相応に」
微妙な言い方に、
「あ、それじゃあさ…別のところとかも……ほら、その……ね? ……胸とか……」
言葉が聞こえていた
「……それ相応に」
「どういう意味っ?!」
「マスター。人の価値は、脂肪の付き具合とは無関係なのです」
「もういい!!」
「マスター」
「貴女は……現段階で、どこかで間違えたと思いますか?」
「思わないよ。
変な事を聞くなぁと不思議に思いつつも、そう答えた。
「なら良かったです。引き留めてしまいました。引き続き、食事をお楽しみ下さい」
そう笑顔で告げられて、
「よかった……」
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