第55話
「全く! どいつもコイツもウゼェんだよ!」
和んだ空気にやっと変わった瞬間、ウゴウゴしていた
期待していた
ボスは動く気配がない。
このままでは何もせず未来に送り返されてしまう事になる。
未来に戻ったら──どうなるかは分からない。
ここが正念場だった。
足の拘束は取れなかったが、腕だけで充分だった。
床に這い
そして、その場にいた少女の足首を掴んで引きずり倒した。
「
目の前にいた幼馴染が足を取られたのを見て、
しかし、その手は空を掴む。
その行為に、近寄ろうとしていた者たちの足が止まる。
下手に手出ししたら、呆気なく
「今からこの女の首をへし折る。世紀の瞬間だ。よく見てろよお前ら」
オートマータを排除し、人間の世界を取り戻す。
いつか来てしまうAIの反乱を防ぐ為の、いわば聖戦。
この首をへし折れば、それが達成されるのだ。
「じゃあな、世紀の犯罪者」
「そんな事させない」
強い意志がはっきりが現れた凛とした声。
視線を這わせると、そこには仁王立ちした
「え……なんで──」
思いっきり振り上げられた肉付きの良い美しい脚が、彼の顔面へとクリーンヒットした。
鼻血を吹き出してもんどりうつ
「今のうちに!」
その言葉の意味を瞬時に理解した
「
受け取った
「じゃあね」
その直後、激しい風と光が舞い起こる。
耳をつん裂く不可思議な高音とともに、風と光が更に強くなっていった。
巻き込まれないように
とても長い時間だったように感じられる。
風が収まったのを感じて、
先程まで、自分の命を執拗に狙ってきていた人物たちの姿は、そこにいたコンクリート製の床ごとなくなっていた。
念の為周囲を伺う。
しかし、周囲には仲間たち以外の姿はなかった。
「……終わった……んだよね」
先程から、終わったと思ったら──という事が続き、
本当に、これで終わったのかと。
「終わったよ。今度こそね」
優しい声が、
視線を上にあげると、笑った姉の顔が飛び込んでくる。
その言葉に、
軽く打ち付けた頭をさすりながら起き上がったのは、
時間跳躍のその瞬間を見逃して、少しガッカリした顔をしている。
その横には、彼を庇っていた
恐る恐る顔を上げる
「終わったんだ……やっと」
ホッとした声を漏らし、姉の腕の中から這い出た
「マスター、ご無事ですか」
「
機械なので痛みはないのだろうとは思っているはいるが、それでもこの痛いしい姿に胸が痛くなる。
こんな姿になるまで、彼は自分を守ってくれた。
「ありがとう、
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