第29話
無我夢中で走り続ける。
兎に角逃げなきゃ。
逃がしてくれた、
でも、狙われている自分が逃げなきゃ。
じゃないと、今一緒にいる友達もどうなるか分からない。
目的地はない。
一瞬交番にと思ったが、何て説明すればいいのか分からない。
だから、兎に角走る。
「
段々と引き離される事に危機感を覚えた
T字路を右に曲がった時、
それに気づいた
「
先を行く
その背中は小さくなり、更に角を曲がった事により見えなくなってしまう。
肩で息をした
「
昨日貼り付けたガーゼに血が滲んでいる事に気づく。
「大丈夫……ありがとう……でも……」
呼吸を整えた
「
はぁと大きく息を吐いて、
「時々、ああやって周りが見えなくなる時があるよね」
ポツリと、
「追いかけるにしても……
「1人じゃ……危ない」
ギリギリ聞こえるか否かぐらいの声の大きさで囁かれた言葉が、
それに
「心配だよね」
そして再度、
その時──
「よォ。こんな所で奇遇だな」
野太くひび割れた声が2人にかけられた。
聞き覚えのある声に、
そこには、
暑苦しく迷彩服を着込んだ男──
「っ!!」
運動神経の悪い
突然引っ張られた事でバランスを崩し、
弾みで掴んでいた手が外れ、
そこへ
「
「行って! 私は大丈夫だから!」
再度叫んだ
そして
「ありがとう」
「美しい自己犠牲の精神ってか。子供の癖にやるじゃねぇか」
立ち上がろうとしていた
ゆっくりと睨め上げた
「そんなんじゃない」
その顔に苛つきを感じる
大きく1つ舌打ちすると、ぶっとい腕を伸ばして
爪先立ちになり、胸倉を掴む腕を両手で鷲掴み、それでも
「さぁて。お前には聞きたい事が沢山あんだよ」
じわじわと寄せられる
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