第30話
しかし、そこには居るはずの
「なんで?!」
てっきり後ろをついてきて居ると思っていた2人の姿が見えず、辺りをキョロキョロと見回す
しかし、周辺には誰の姿も見えなかった。
「もしかして、どっかではぐれちゃった……? ヤバイ、どうしよう」
慌ててスマホを取り出す
メッセージアプリを立ち上げ、
しかし、少し待ってみてもそのメッセージに『既読』マークはつかなかった。
1人であるという事を実感した途端、夏とは思えぬ寒気が足元から立ち上ってくる感覚に襲われる
狙われている。
しかし誰もいない。
1人でなんとかしなければならない。
突然命綱なしで崖を淵に立たされているかのような恐怖。
孤独。
視線を下げると、自分の小さな足が見えた。
私の足って、こんなに小さくて細かったっけ……?
自分が小人にでもなってしまったかのか、それとも世界が素っ気なく広くなってしまったのか。
「大丈夫。戻って2人を探そう。きっと見つかる」
両手を握りしめ、そうボソボソと呟き自分に言い聞かせる。
その瞬間、
何故か
ボッコボコにされながらも自分を庇ってくれたオートマトン。
守ると言ってくれた、大きな存在。
バチンという小気味好い音が辺りに響く。
「よし! 探そう! 行くぞ!!」
ヒリヒリとする頬に頭がスッキリし、
その時
「
自分を呼ぶ声に
すると、こちらに全速力で走り寄って来る
彼は、
が、いるハズの人間がおらず、彼女は首をかしげる。
「あれ?
一緒に居るハズの
しかし、
「どうし──」
どうしたの、そう訊ねようとした
あの声は聞き覚えがある。
迷彩服の男──
「隠れるぞ!」
隠れられる場所、隠れられる場所──
「あ!
2人は急いで滑り台へと走り寄り、裏側にある空洞の中への滑り込んだ。
子供用の空間である為狭い。
特に170も超えた
はみ出していたら見つかる。
なるべく、外から見えないように入り口脇の壁際に小さくなる。
「畜生! アイツどこいった!?」
少し離れた場所から男の野太い声が聞こえて来た。
言葉の内容からして、
「
抱え込んだ
声を出したら、
しかし、その緊張感が逆にじっとしていられない焦燥感を生み、
「さっき……」
「あの男に追いつかれそうになって──」
突然そこで言葉を切り、
地面を
出来るだけ息を詰め、存在感を消そうとする。
どうか気づかないで。
あっちへ行って。
見つかるかもしれないという恐怖と緊張。
少しずつ大きくなる足音。
耳鳴りがするほどの沈黙が空間に流れる。
静かにしているはずなのに、2人の耳にはやけに鼓動の音が大きく響いた。
この音は、どちらの心音なのか。
自分のか。
相手のか。
次第に早くなっていくそれが、外にいる
2人はお互い出来るだけ小さくなるように身体を寄せ合い、気配を殺した。
「あん? なんだよ、お前勝手に戻ってんじゃねぇよ!」
突然、
しかし、相手の声は聞こえない。
「ちっ……位置探知はアイツの仕事だろうがよ使えねぇなぁ!」
そう吐き捨て、
文句の声も足音も聞こえなくなるまで、2人はじっとその場を動かなかった。
「行ったかな……」
「あの……さ。ちょっとだけ、苦しいかな」
モゴモゴと恥ずかしそうに呟かれる
あっと思い手を緩めて視線を落とすと、潤んだ瞳で見上げている
「ごめん!」
慌てて手を離す
反射的に後ろに下がろうとするが、背中は壁にべったりくっつけていた為出来ず。
「大丈夫。ありがとう」
苦しかった?
無理させた?
乱暴だった?
でも笑ってる。
それは敵から守ったからで。
いやいやそんな事ぐらいで?
じゃあなんで?
いや、悩む程の事か?
そういえば小さい身体だった。
今はそんな事どうでもよくて!
でも柔らかい肩だった。
それはそうだろ女の子なんだから!
急激に顔へと血が上って色んな汗が吹き出てきた。
何焦ってるだ俺……
平然としている
どうしよう。
男の子って力強いんだ。
体も大きくて固かった。
鍛えてるのかな?
腹筋割れてたりする?
同い年なのにこんなにも違うものなの?
そうだよね、男の子なんだから。
そうだよ、男の子なんだよね。
でも今はそんな事考えてる場合じゃない!
逃げなくちゃ!
うん、でもいい身体──
こらこらこら何を考えてんだ自分!
昨夜見た
頬をバチンと叩いて気合を入れた。
なんだか恥ずかしくて
立ち上がっても彼の方へと向き直らず、取り敢えず周りに人が居ないかどうかを見回した。
ノロノロと滑り台下から這い出てきた
「
2人の死角から、不意に声がかけられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます