HF-F01-001
それはもう、悪夢という名前ではない。
此の所毎晩毎晩見る過去の映像。
詳細まで覚えているそのシーンが、何度も何度も繰り返し、夜目を瞑ると再生される。
まるで今、それが目の前で繰り広げられているかのように。
毎晩毎晩見るにも関わらず、毎回毎回恐怖や何も出来なかった無力感、そして果てしない憎しみを感じる。
まるでそれは、脳に刷り込むかのように繰り返される。
半壊した身体。
人工皮膚が剥がれて剥き出しになった骨格。
血なのかオイルなのか分からないテカテカ光った液体。
恐ろしい形相で自分に伸ばされる手。
ヤメテ
コワイ
コナイデ
サワラナイデ
いつも、自分の叫びで目が覚める。
そう、それは悪夢ではない。
過去に起こった純然たる事実。
ただそれがフラッシュバックされるだけ。
その時感じた感情が夜な夜な繰り返されるだけ。
──私に触るな。
いつものように、彼女は自分の身体を抱きしめて震えを止めた。
そして、いつものように考える。
例え私が──ても、──────。
だって、──────なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます