第16話
物凄い音とガラスの破片、そして女性の悲鳴とともに目の前に転がり出て来た大男。
全く予想だに出来なかった状況に、
自然と
緩慢な動きで起き上がるその男を見て、
「なんでこんな所に?」
その言葉を聞いて、
「えっ?! 知り合い?!」
「いえ、知り合いではないんですけど……」
そんなやりとりをしている2人に気がついたのか、大男が立ち上がりつつ声をかける。
「ここは危険なので避難する事をお勧め致します」
そんな不穏な事を言いつつも、口調はあくまでゆったりとしたものだった。
ガラスを突き破って転がり出て来た事といい、完全にチグハグは状態だ。
そこへ、バタバタとした足音で、子供達が飛び出して来た。
道端でオロオロする
「
自分の名前を呼ばれて驚き、
「あ……
自分が受け持つ中学校の生徒たちである事に気がついた。
「お前たち……何が──」
あった、そう全てを言い切る前に、3人の後ろから出てきた2人の男達の姿に気がついた。
1人は迷彩服の軍人のような男、1人は
走り出てきた子供達
その後から出てきた怪しい男2人
危険だと忠告してきた大男
「こっちだ!」
瞬時に踵を返して
「早く!」
途中立ち止まって振り返り、呆然とした生徒たちを再度促した。
その瞬間──
「ぎゃあ!」
黒いツナギの大男に担ぎ上げられた
「行きましょう」
うん、と頷いた
「待て!」
迷彩男たちがそう叫んで後を追いかけてくる。
しかし、足はたいして早くないのか、すぐに追いつかれる事はなかった。
しかし、諦めてもくれなさそうだ。
どうする?
地の利を生かして右へ左へと走りつつ、周辺の地図を頭の中で思い描きながら、
一番いいのは交番だ。
一番近い交番までの最短距離を考えていた時に──
「あうっ」
「
勢いがつきすぎて手を離してしまう
「
大男の
下ろしてくれと大暴れし、大男に地面に下ろしてもらう。
急いで引き返そうとした時、向かいから男たちが息を切らせながら走り込んでくる姿が目に入った。
間に合わない──
そう思いつつも、生徒たちの元へ
その時。
フワリ
何処からともなく、影が、地面に降り立った。
追いつこうとする男たちと、
足音がほとんどしなかった。
なので、
影は、すくりと立ち上がる。
グレーの袖なしパーカーを着ていてフードを被っていた。
しかし、
それが女である事は分かった。
ゴツい肘まであるグローブと膝まであるブーツ。しかし、露出した肌は白く、引き締まってはいるが女性特有のカーブを描いていた。
「あっちへ」
女は真っ直ぐに右手を上げて路地を指差す。
背中越しにそうハッキリと告げた。
「うん!」
その後ろを、
「お前っ……なんで……」
その影に対し、行動の意味が分からないとばかりに言葉を失う。
その隙に、
「何のっ……つもりだ……テメェ……」
目の前に立ち塞がられ、まだ息が上がったままの迷彩服の男は苛立つ。
痩せぎすの男は、見失ってしまった
そんな男たちと真正面から対峙し、影は、その形の良い唇で弧を描かせる。
そして、何も言わずにまたフワリと飛び上がり、
何処かへ消えて行ってしまった。
「なんなんだアイツ!」
迷彩服の男は、意味が分からないとばかりに地団駄を踏み、すぐさま
しかし、既に
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