第6話 予想外の装甲

 俺の攻撃だけでは無い。

 葉月も文月もそれぞれ初期破壊を狙って技を繰り出していた。


「ゲイ・ボルグ投擲」

「カール君M4プラス榴弾!」


 文月は俺と同じ武器選択だ。

 奴は現代兵器も便利なら容赦無く使う。

 確かに榴弾は中小型の敵には効果的だけど、えげつない気もするな。

 自分でも選択しておいて何だが。


『小型7破壊』

 運良く半数以上を破壊した。

 残る小型は3機。

 それだけなら!


「サイガ・MK-107!」

 ロシアの無反動小銃に武装替え。

 小型だけならこれで充分だ。


 小型の攻撃方法はミサイルと同じ、つまり体当たりして自爆。

 そして敵は基本的に一番近い目標へと向かう。

 だから動きが読みやすい。


 まずは敵に向けて直進。

 途中で横方向に進路を変え、敵進行方向に弾幕。

 そのまま離脱し乱数機動。

 繰り返しで2機まで落とした時だ。


「まずい」

 葉月の声。


「どうした」

「以前の敵より硬い。聖霊刀が効かない」


 何だと!

 でも素早く頭を切り替える。


「なら俺が相手する。小型頼む」

「了解」


 葉月も飛び道具はある。

 小型1機だけなら大丈夫なはずだ。


 急降下で速度を稼いで一気に大型の方へ接近。

 葉月の方を狙わせないように3人の中で一番近くへと移動。

 敵の動きは大型のせいか比較的鈍い。

 それに主砲の榴弾砲のみで対空兵器の装備も無い。

 なので真上付近が安全圏だ。


「武装変更!AT-4CS、HP弾!」

 取り敢えず携行武装では最強に近い対戦車砲だ。

 直接照準でぶち込む。

 戦果を確認せず離脱。


『敵大型1機沈黙』

 流石対戦車砲。

 効果があったようだ。

 こいつは使い捨てなので残った部分は投げ捨てる。


「AT-4CS、HP弾!」

 再び同じ武器を選択。

 すぐにもう1機の大型に対して発射。

 ただこっちの敵の位置はやや遠い。

 だからどちらかというと牽制目的だ。

 2人の方を狙わせない為の。


 打つと同時に左方向へ旋回し脱出する。

『逃げ切られました。敵、蓮を目標に照準中、発射』


 予想通りの動きだけれど、俺、やばい。

「対地効果使ってぎりぎり低空を最高速で脱出!」


 別に思考するだけでもバックパックは動作する。

 でもつい口に出して言ってしまう。

 少しは効果があるような気がして。


 背後で爆発音。

 破片は俺の周囲までは飛んでこない。

 何とか有効範囲外に逃げられたようだ。


『敵、蓮を目標に再照準中。発射まで18秒、17秒……』

 おいおいまたかよ。


 接近しようと思うが、敵も動く。

 俺が榴弾砲の射程に入るよう距離を取っている感じだ。

 今は敵が1機だけ。

 だからこそ逆に敵が自由に動ける状態になっている。


 一方、俺には制約条件がある。

 方向的に敵を2人に近づかせる訳にも行かない

 文月だけでなく、葉月の機動性は俺よりやや下。

 俺のように榴弾砲発射後に高速で被弾範囲を脱出するという芸当は使えない。


「AT-4CS、HP弾!」

 再度敵を攻撃。

 だが左に避けられてしまった。

 遅いと言えど一応飛行物体。

 無誘導の対戦車弾では真上とか至近距離で無いと当てるのは難しい。

 でも携行可能で即時発射出来る打ちっぱなし誘導弾は現代兵器にあったかな。

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