第1章 こんな感じで衛ってます

1の1 敵の進化

第5話 お早い再戦

 スマホが鳴る。

 ふわっと目を覚ましてスマホを見る。

 午後11時。

 結構眠ったようだ。

 そしてこれ以上の惰眠は敵が許してくれないらしい。


「はい、長沼です」

「蓮さん済みません、敵接近です。2325交戦区域入りです」

 陽菜さんの声だ。


 随分と再戦が早かったなと思う。

 前回は1週間ほど間が開いたのだけれどお。

 さて、あと25分か。

 ぎりぎりシャワーを浴びる時間はあるな。


「了解。いつも通りマイナス10分で転送頼む。これから起きる」

「わかりました。宜しくお願いします」


 電話が切れた。

 大急ぎでシャワーを浴びてひげそりと歯磨き。

 ジーパンTシャツというラフな格好なりに外出服に着替えて2分くらいで。


 まわりの景色がふっと変化した。

 お馴染みのマンションのリビングルームだ。

 葉月も文月も既に到着している。


「本日2回目の出撃で悪いな。体調は大丈夫か」


「大丈夫です」

 文月が代表して答える。

 だいたいこれはいつもだ。


「今回は小型突撃機10に中型ビーム砲機2、大型2。大型は最初の戦闘時に確認された大型の榴弾砲装備機体と思われる。動きは遅いが装甲がかなり硬い。砲撃されたらかなり厄介だ。ただ対策はシミュレーターでもやったと思う。自信を持ってあたってくれ」


「了解」

 シミュレーター訓練は3日に1セット3回義務づけられている。

 今まで初期訓練と併せて4セット実施した。

 それで今まで確認された敵機体は一応把握しているし、倒し方も確認済みだ。


「それでは配置についてくれ。陽菜、頼む」

「了解です。転送します。皆さん宜しいですね」


「了解」

 3人の返事が重なると同時に。

 世界が変わる。

 今回は砂漠だ。


 戦闘空間は同じ環境とは限らない。

 気まぐれに色々と気候なり環境なり構造物なり変わりまくる。

 今回は下は砂で足を取られやすい。

 しかも構造物が少なく隠れる場所もない。

 という事は高速空中戦装備だな。


「耐熱耐弾服、半長靴、高機動バーニア、カールグスタフM4榴弾入り」


 俺の高機動空中戦標準初期装備を装着する。

 これで中型の敵までは対応出来る。

 大型は基本的に攻撃力の高い葉月が担当。

 動きの速いのを仕留めるのがこっちの役目だ。


 なお葉月は魔法翼に騎士装甲、長槍装備。

 葉月はファンタジー系の装備を主に使用している。

 そして支援担当の文月は自称『節操の無い近代化魔道士』。

 今日はバーニアに機動装甲姿で、なおかつ魔法杖装備だ。


 具体的に言うと、ビキニ水着の胸と腰、膝下に装甲。

 更に俺より大型のバーニア装備を付けている。

 その格好が趣味なのかそういう流派なのか良くわからない。

 でもこいつの支援は確かで、何度も助けられている。

 だからとりあえず俺は気にしない。


『接敵10秒前、9、8……』

 カウントダウンが始まる。

 敵は瞬間移動と同じ技術で突然現れる。

 ただ現れる場所はあらかじめ予測可能だ。

 500メートル先の一部が陽炎のように揺らいでいる。

 俺達はその場所に照準をあわせて待つ。


『3、2、1、出現!』

 1で発射。

 初期破壊を狙う。

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