SSS4.刻印武器の試射って……

書籍版昨日発売日でした!

購入してもらえるとすごく嬉しいですよ!


目指せ続刊!!

(だから購入よろしくお願いします<(_ _)>


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 ドワンさんにトワさんの居場所を教えてもらい、挨拶も兼ねて様子を見に行けることとなった。

 トワさんの作る刻印武器だから、普通の刻印武器とは一味も二味も違うんだろうなぁ……。


「雷獣を相手にしているって聞いたから、場所はここで間違いないと思うんだけど……」


 ボスエネミーの雷獣は、雷属性素材が大量にとれるため、そこそこ人気のボスだ。

 性能的にいえば型落ちなんだけど、強化素材として付与することで雷属性を持たせることができる便利素材なんだよな。

 なので、俺以外にもちらほらと雷獣目当てのパーティが来ていたりする。

 さて、この中からトワさんたちを探すのか。

 ……人数はそんなに多くないし、そのうち見つかるかな。


「うん? ロックンロールか。こんなところでなにをしてるんだ?」

「あ、ターフ。お前こそなにをしてるんだよ」

「俺は雷獣素材をとりに来たんだよ。素材は入手できたから、これから帰るところなんだけどさ」


 ターフも竜帝レイドに参加してたからそれなりに消耗してるだろうに。

 頑張ってるよなぁ。


「で、ロックンロールはなにをしに来たんだ?」

「『ライブラリ』に銃の発注に行ったら、トワさんがここに来てるって聞いたからさ。挨拶に来たんだよ」

「へえ、トワさんたちも来てるのか。……でも、『ライブラリ』クラスなら、わざわざ素材をとりに来る必要なくね?」

「なんでも刻印装備の試し撃ちに来てるとか」

「ほう。で、『刻印装備』ってなんぞ?」


 ターフは刻印装備を知らないのか。

 ついでだから、ドワンさんに聞いたことを教えておこう。


「……なるほど、一時的な強化ができる装備か。……俺たちにはまだまだ必要ないな」

「だよな。憧れるけど、使いどころが難しいよな」

「んだんだ。そういうのは上級者が扱うもんだ」


 とりあえず、俺たちには刻印装備はまだ早い。

 そこのところは共有できたかな。


「で、トワさんを探してるんだけど、どこかで見なかった?」

「さてな? 探してたわけじゃないから、見てないぞ」

「そうか。それじゃあ、もう少し探してみるよ」

「おう、がんばってな」


 ターフは帰っていった。

 俺はトワさんを探してみたけど……なかなか見つからないな。


「トワさん、今日はもういないのかな……」


 諦めて帰ろうか、と思ったとき、雷獣のバトルフィールドから出てきたパーティがいた。

 その先頭にいたのはトワさんだった。

 ……なるほど、いままで戦闘中だったわけか。

 それは見つからないわ。


「……っていうか、パーティがやたらと豪華なんだけど」


 トワさんと一緒にいるのは、『ライブラリ』で料理を担当しているユキさんのほか、【魔剣姫】ハルさん、【鎧王騎】リクさん、【白騎士】白狼さんとすごく豪華なメンバーだった。

 なんで、こんな豪華なメンバーで雷獣程度を相手にしているんだろう。

 ……気にはなるけど詳しく聞く理由もないし、そこは触れないでおこう。

 あと、トワさん、右目を眼帯で隠してるけど、装備を変えたのかな?

 いきなりそれに触れるのも失礼だし、やっぱり普通に挨拶だけしておこう。


「トワさん、お久しぶりです」

「ん? ……ああ、ロックンロールだったっけ。久しぶり。依頼の話は聞いてるぞ?」

「あ、はい。その件はよろしくお願いします。ドワンさんに教えてもらって、挨拶に来たんです」

「ドワンから聞いたのか。……隠すようなことでもないし、いいか」

「すみません、突然お邪魔してしまって」

「気にしなくてもいいよ。もう検証は終わったところだし」


 そうなのか。

 できれば、刻印武器の性能を見せてもらいたかったんだけどな。


「……なんだ、刻印の効果を見てみたいのか?」

「えっと、できればでいいんですが……」

「別にいいんじゃない? 隠すようなことでもないんだしさ」

「そうだね。……今日試している刻印装備は特注品だから、他言無用でお願いしたいところだけど」

「だな。普通の刻印装備がこんなに強いとか思われたら、ほかの生産者に迷惑だぜ。なあ、トワ」


 ハルさんや白狼さん、リクさんは見せてくれてもかまわないって言ってくれてる。

 あとはトワさん次第かな。


「……あと一回くらいなら試せるか。今日のことは黙っていてくれるなら、見学していってもいいぞ」

「ありがとうございます!」


 トワさんからも許可が出た。

 早速、パーティに参加させてもらい、雷獣戦に挑むこととなった。

 そして、そこで見せてもらった武器の性能は……。


「……なんなんですか、さっきの」

「特別カスタマイズの刻印装備だな。ちょっと使う予定ができたから、作製していろいろ試してるんだ」

「さすが『ライブラリ』ですね」

「俺たち以外でも作ってるプレイヤーはいそうなんだがなぁ。コストに見合う性能かはわからないけど」


 見せてもらった武器の性能は、ゲームバランスを崩すんじゃないかってくらい高性能な武器だった。

 あんなの作れるって、やっぱり『ライブラリ』ってすごい。


「それじゃあ、これで解散だな。ロックンロールにはあとで納期の連絡をするよ」

「よろしくお願いします。竜帝レイドがきついんです」

「……そういえば、いまはイベント中で一日二回できるんだったか。装備が整ってないと、レイドとかめんどくさそうだよな」


 とりあえず、現状の話をしてからトワさんと分かれてクランに戻ってきた。

 クランでは残っていたメンバーに依頼の話を説明しておいた。

 なお、説明途中でトワさんからメールが届いて、納品日が明日の夜になったことを知ったときは皆大慌てだった。

 なにせ、支払わなくちゃいけない金額はかなり多いからなぁ。

 購入を希望するプレイヤーたちは、急いで資金を取りに行っていた。

 ……支払う代金はしっかり集まったから、なにも問題ないんだけどね。

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