309.ショットガンの構成とカボチャ狩り(物理)
さて、土曜の夜は相変わらず続けている封印鬼の攻略だった。
さすがにもう敵の出現パターンも把握しているし、スキルも整っているので苦労はしていない。
今回のクエストで目立ったのは、やはりおっさんだろう。
昼間に作っておいたショートバレルショットガンを使い、早速大暴れしていた。
やはり、ガードしてから狙いをつけることなくすぐに攻撃できるというのは大きなアドバンテージになるようだ。
実際、それを見ていた白狼さん達もかなり驚いていたみたいだし。
封印鬼のクエストクリア後、報酬分配が終わったところで白狼さんから話しかけられた。
「トワ君、あれがショットガンの威力かい?」
「そのようですね。距離による減衰が激しいですが、シールドガンナーのような超接近戦型のガンナーならあれくらいの攻撃力が出るみたいですよ」
「なるほど。ちなみに、ロングバレルショットガンはどんな感じになるのかな?」
「そっちは試作と店売り用しか作ってませんが、ハンドガンと同程度の威力しかありませんね。モンスター相手に試し撃ちをしていないので、ヒットストップの強さはわかりませんが」
「そうなんだね。……ふむ、ロングバレルも依頼するか相談してみようかな」
「ええ、その時は教えてください。……そういえば、作るショットガンの属性って決まりましたか?」
「ああ、決まったよ。聖邪、雷氷、溶樹。この3パターンで作れるかな?」
「わかりました。それでは、明日には作っておきますので、明後日以降でしたら引き渡しができます」
「了解したよ。いや、あの威力の武器が手に入ると思うとワクワクするね」
「……ショートバレルショットガンですから相手の懐に入らないと弱いですよ?」
「そこは心得ているよ。近接戦闘もできるガンナーだから大丈夫だよ。今も、銃と剣を組み合わせて戦っているからね」
「なるほど。それなら安心ですね」
「そういうことさ。ショートバレルショットガンを使う上で注意事項ってあるかな?」
「そうですね……まず、攻撃したときに反動で必ず射線がぶれる事ですね」
「それって
「残念ながらどうにもならないと思います。攻撃力2桁の弱いショットガンを使っても、必ず銃身が跳ね上がりましたから」
「なるほど。それなら無理そうだね。他には?」
「次に弾丸の消費量でしょうか。ショットガンで攻撃する場合、一回の攻撃で弾丸を8つ消費します。これは、同種の弾丸が8発無いと攻撃できないことになりますね」
「ふむ。確か銃の弾丸って、色々な素材から作れたと思うけど?」
「はい、最弱の弾ならその辺の木の枝からでも作れます。でも、
「そうか、弾薬管理が今まで以上に大変になると。他には何かあるかい?」
「基本的なところはそれくらいでしょうか。それ以外については、実際に使ってもらって慣れてもらうのが一番でしょうし」
「なるほど、わかったよ。それじゃあ、うちのガンナーに伝えておくから」
「はい、お願いします。……それじゃあ、今日はこれで解散ですね」
「そうだね。お疲れ様」
白狼さんも戻っていったし、俺達も引き上げることにしよう。
クランホームに戻ったら今後の予定の確認だ。
「さて、今日のところはこれで解散だけど、何か話しておくことはあるか?」
「わしからは特にないのう。あえて言うならば、トワに頼まれていた銃身は全て完成していると言ったところか」
「ボクからもないかなー。依頼とかも特にないし問題ないよ」
「おじさんも大丈夫だねぇ。まあ、このショットガンの威力には驚いてるけど」
「私からもありません。最近はカボチャ集めで留守にしてる事が多いと言うくらいですね」
「それじゃあ、私から。こっちのクランに一時戻ってくることになってる曼珠沙華だけど、来週の土曜か日曜には合流する予定よ。あちらのクランとは話がついてるからそっちは気にしなくていいわね」
「了解。曼珠沙華用の工房は?」
「そっちは来てから用意する事になってるから問題なし。自分なりにアレンジしたいって言ってるから本人に任せましょう」
曼珠沙華はそういったところが凝り性だからな。
本人がやる気なんだし、任せておいて問題ないだろう。
「俺からも特にない。それじゃ、解散でいいか?」
「その前に。トワ、ショットガンだけどもう少し量産しておいて」
「うん? 構わないが、そんなに売れてるのか?」
「売れてるわね。低ランクから高ランクまで幅広く売れてるわ」
「……それって市場的にどうなんだ?」
「まあ、問題ないと考えて大丈夫ね。市場の方でも品質の高いショットガンはすぐに売れてるみたい」
「そこまで使い勝手のいい武器かね」
「細かく狙いを定めなくていいってところが受けてるんじゃないかしら? トワは遠距離型だから気にしてないみたいだけど」
「そもそも、ガンナーは中距離から遠距離で戦うものだ」
「はいはい。ともかく、売れてるわけだから増産お願いね」
「わかったよ。それで、それって今日中にやっておいた方がいいことか?」
「今日は大丈夫ね。明日も何とかもつ感じ。月曜の夜は怪しいわ」
「……それなら月曜でも大丈夫そうだな」
「……多少品切れしても問題ないと言えば問題ないけどね」
「ともかく、増産の件は了解した。ドワン、イリス、悪いけど部品の増産を頼む」
「わかった。明日の夜には増産しておこう」
「ボクもそんな感じで作っておくよー」
「それじゃあ、今日はこれで解散ね。皆、お疲れ様」
「ああ、お疲れ」
今後の予定が決まったので、今夜はフリーだ。
と言っても、寝る時間を考えると3時間程度しかないけど。
「トワくん、今日これから時間ある?」
「ああ、大丈夫だけど何かあったのか?」
「カボチャ集めを手伝ってもらおうと思って。街中のイベントでもらえる方じゃなくてモンスターを倒すともらえる方だけど」
「わかった。それで、すぐに出発するのか?」
「トワくんが大丈夫ならすぐにでも行きたいかな」
「了解、それじゃあ出発することにしよう。狩り場はどこになるんだ?」
「えーと、レベル的に雷獣付近の荒野がいいかなと思うんだけど」
「安全マージンを取るならその辺が無難か。わかった、そこに向かおう」
「うん。よろしくね、トワくん」
ユキとパーティを組んで雷獣のポータルまで転移する。
雷獣のボスエリアには何組かパーティがいて、雷獣と戦闘をしているみたいだ。
「ここのボス戦も結構人がいるみたいだね」
「クエストとかでくる必要もあるからな。それで、どの辺で戦うんだ?」
「えっと、ここからさらに西に行ったところで戦おうかなって。大丈夫かな?」
「まあ、大丈夫だろう。それじゃ、行くか」
「うん、行こう」
お互いにフェンリルを呼び出してポータルからさらに西に向かう。
たしか、ここからひたすら西に向かえば帝国があるんだったか。
「そろそろ、このあたりでいいんじゃないかな」
「わかった。そういえば、モンスターからカボチャを入手する場合って普通のモンスターを倒した場合どうなるんだ?」
「普通のモンスターを倒してもカボチャはもらえないよ。イベント専用のモンスターを倒す必要があるの。前に倒したときと同じようなモンスターだよ」
ユキが指さした先にはカボチャ頭の蛇というか、まあ、そんな感じのモンスターがいた。
周りをよく見回せば、同じようにカボチャのかぶり物をしたモンスターが複数いる。
「あのカボチャのかぶり物をしたモンスターを倒せばワイルドパンプキンが手に入るよ。多分、このあたりのモンスターだと品質は★5か★6だけど」
「そうなのか。まあ、倒してみればわかることだな」
「うん、そうだね。それじゃあ、始めよう」
それから俺とユキはパンプキンモンスター相手に狩りを続けた。
ユキの言ったとおり、手に入るワイルドパンプキンの品質は★5か★6だけど、モンスターの強さ的には格下なのでサクサク倒して集められる。
そのまま、しばらくの間狩り場を少しずつ移動しながら狩り続けた結果、あわせて100個近いワイルドパンプキンを入手することができた。
「お疲れ様、トワくん。今日はそろそろ終わりにしよう」
「わかった。……ところでこれは何に使うんだ?」
「料理に使おうと思って。マジカルパンプキンはアイテム交換用に残しておきたいし、料理にしたときの効果もマジカルパンプキンの上位互換だから」
「なるほど。それなら、また狩りに行くときは誘ってくれ」
「うん、お願い。……そうそう、ワイルドパンプキンを使えばポーションとかも作れるから作ってみたらどうかな?」
「……そうだな。少し考えてみるよ」
「うん、了解だよ。それじゃあ、帰ろう」
俺達は再び騎獣に乗って雷獣のポータルに戻りクランホームへと帰還する。
時間的にもちょうどいいし、今日はここまでだな。
明日は白狼さんからの依頼対応をしないといけないし、時間があったらワイルドパンプキンから作れるポーションとやらも作ってみたい。
イベントアイテムだから効果はあまり期待できないけど、記念に作っておくのも悪くないからな。
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