296.ゴーレムの魔核集め 1

「ふむ、何故また呼び出されたかと思えば、今度はガーゴイル強化用特殊装備のシークレットクエストであるか」


 遺跡調査の続きをやっていたらしい教授を呼び出し、事情を説明すること暫し。

 教授も何故呼び出されたかがわかってきたらしい。


「つまり、そのクエストをクリアするための人数がほしいと」

「そういうわけだ。俺達2人じゃ自信がないから手伝ってくれ」

「すがすがしいまでに直球であるなぁ。まあ、断らないのであるが」

「さっすが教授。目の前に未知の情報をぶら下げたら止まらない」

「余計なお世話である。……それで、ボスはどの順序で倒していくのであるか?」

「それなんだよな。正直、もらった地図によると生息地がバラバラで……」

「どれ、地図を見せるのである……確かに、これではどこから行っても同じであろうなぁ……」

「そういうわけだ。だから今日は、手近でもっとも弱いだろうプロトタイプゴーレムαを倒そうと思うんだが」

「そうであるな。その後、【マナファウンテン】で休息を取り、明日には北に向かって出発、プロトタイプゴーレムγとガーディアンゴーレムを目指すのである」

「それがいいか。ユキは何か意見あるか?」

「ううん、特にないよ」

「では決まりであるな。一旦、【研究都市】まで移動するのであるよ。その後、【マナファウンテン】方面に向かい、プロトタイプゴーレムαを倒すのである」

「わかりました」

「了解。早速行動しよう」


 俺達は【研究都市】まで転移門で移動して、【マナファウンテン】方面に向けて騎獣を駆る。

 そういえば、半ば押し付ける形になったフォレスタニアのイベントはどうなったのだろう?


「教授、フォレスタニアのイベントってどんな調子?」

「今は外周を回って、敵の戦力をそぎ落としていっている段階である。もうしばらくすれば、巣の撃滅作戦が実行されるであろうな」

「巣の撃滅作戦ね。報酬はどんな感じなんだ?」

「巣の周囲の調査では強化結晶が複数個である。巣の撃滅作戦がどういう報酬になるかは不明であるよ」

「へぇ、そっちはそっちで進んでるんだな」

「こちらはやることがしっかりとわかっているのであるからな。ああ、あと、あの遺跡であるがインスタンス化されたフィールドのようである。クエストを受けずに近づいてもレッサーバジリスクは襲ってくるのであるが、一度でもクエストに参加したことがあるプレイヤーだと駆除済みの地域では襲われないのである。他方、クエストに参加したことがないプレイヤーだと、どこから行ってもレッサーバジリスクに襲撃されるのである」

「ふむ、その辺は、クエストを繰り返し受けられるようにするための配慮、かね」

「おそらくはそうであるな。そうでもしなければ、ワールド一回という事になるのである。つまりはワールドクエストであるな」

「シークレットではあってもワールドでない理由はそれか」

「そのようであるよ」

「トワくん、教授さん、そろそろプロトタイプゴーレムαの場所ですよ」

「おお、すまないのである。……さて、トワくん。プロトタイプゴーレムαの弱点は知っているかね?」

「弱点なんてあったっけ?」

「あるのであるよ。プロトタイプゴーレムαの弱点はデバフである。デバフへの抵抗力が極めて弱いのであるよ」

「そうなんだな。全然知らないで倒してたよ」

「プロトタイプゴーレムαはレベル40台であるからなぁ。だが、次からはそうもいかないので注意するのである」

「了解。とりあえず、目の前の問題をクリアしよう」

「それもそうであるな。召喚するのである」


 呼び出されたプロトタイプゴーレムαだったが、3人+それぞれの眷属による集中攻撃で呆気なく倒された。

 実際、デバフを使った方がかなり戦い易くなったので、弱点がデバフというのもあっているのだろう。


 さて、ドロップの結果だが……


「うん、魔核ゲット」

「私は外れたよ、よかったねトワくん」

「私も魔核であるな。収集は1個でいいはずなので、これは貰っておくのであるよ」

「ああ、そうしてくれ」


 1戦で目的の物が手に入ったため、このまま【マナファウンテン】まで一気に進んでしまう。

 そこについたら解散だ。


「さて、これで一日目は終了であるな」

「だな。次は北に進んで【工業都市】を目指すんだっけ」

「その通りである。【工業都市】の手前にエリアボスとしてプロトタイプゴーレムγが、さらにその先にあるダンジョンの入口を守るボスとしてガーディアンゴーレムがいるのであるよ」


 プロトタイプゴーレムγはともかく、ガーディアンゴーレムがどうなるかだよな。

 こっちも半端な戦力じゃないと思うんだけど。


「プロトタイプゴーレムγがレベル55、ガーディアンゴーレムがレベル65の強敵である。油断しないように注意するのであるよ」

「わかったよ。それで、教授は明日も手伝ってくれるのか?」

「その予定である。もし都合が悪くなりそうだったら連絡するのであるよ。では、さらばである」


 明日の予定を確認したら、教授は去って行ってしまった。

 現実問題、今日のうちにやっておかなきゃいけない事ってもうほとんどない。

 せいぜい、ポーション作成くらいか。


「トワくん、これからどうするの?」

「うーん、クランに戻って生産かな?」

「それじゃあ、私もそうするね。早く行こう」

「ああ、そうだな」


 俺達も転移門からクランホームへと戻り、この日は時間が許す限り生産活動に勤しむのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る